獨協大学学術倫理規程
獨協大学学術倫理規程
2019年4月1日 制定
第1章 総則
(目的)
第1条 この規程は、獨協大学学則第1条に定める社会の要求する学術の理論及び応用を研究、教授することによって人間を形成するという本学の目的に則り、人類の福祉及び世界平和を志向し、個人の尊厳及び生命倫理を尊重し、人間、社会及び自然の調和的発展に奉仕し、地球環境の保全に十分な配慮をすることを基礎とする研究活動における倫理的な態度及び行動規範(以下「学術倫理」という。)、並びに、本学で行われる研究の公正性と信頼性を確保するために守るべき学術倫理の基準とそれを遵守するために必要な方策を定める。
(研究者)
第2条 この規程において、研究者とは、本学に雇用されて研究活動に従事している者をいう。
2 研究者の指導の下で本学の施設や設備を利用して研究に携わる学生及び大学院生の研究については、学術倫理に関しては、その指導する研究者を当該研究を代表する研究者とする。
3 前項に定める学生及び大学院生は、学術倫理に関しては、研究者と同様の責務を負う。
(最高管理責任者)
第3条 学長は、本学におけるすべての研究の最高管理責任者として、学術倫理及び研究倫理の保持並びに研究費の運営及び管理が適正に行われるよう体制の整備を行う。
(統括管理責任者)
第4条 総合企画部長は、最高管理責任者の責務を補佐するため、統括管理責任者となる。
2 統括管理責任者は、最高管理責任者の命を受けて、学術倫理及び研究倫理の保持並びに研究費の運営及び管理が適正に行われるよう指導及び監督する責務を負う。
(研究に関わる部局責任者)
第5条 各学部長は、当該学部に所属する研究者の研究に関わる部局責任者となる。
2 研究に関わる部局責任者は、本規程に定める学術倫理の実現のために努めなければならない。
第2章 研究者の責務
(法令に対する責務)
第6条 研究者は、学術倫理に関する国際的に認められた規範、規約及び条約、国内の法令並びに本学が定める規程を守らなければならない。
(研究者の責務)
第7条 研究者は、その研究において生命の尊厳及び個人の尊厳を尊重しなければならない。
2 研究者は、学術研究が社会からの信頼と負託の上に成り立っていることを自覚し、その信頼と負託に反することのないよう誠実に行動しなければならない。
3 研究者は、自国及び他国の、文化、慣習及び規律を深く理解し、これをみだりに侵すことのないよう努めなければならない。
4 研究者は、自らの研究の成果が、研究者の意図に反して、社会の要求にもとる破壊行為又は軍事行為に転用される可能性があることを認識し、研究の実施、成果の公表にあたっては、内容に留意し並びに手段及び方法を選択しなければならない。
5 研究者は、人間を直接の対象として心身に関する情報を収集して行う研究については、特に生命の尊厳及び個人の尊厳に配慮しなければならない。
(研究活動における不正行為の防止)
第8条 研究者は、あらゆる研究活動において、ねつ造、改ざん、盗用その他の不正行為を行わないこと及びこれに加担しないことと共に、研究及び調査データの適切な取り扱いを徹底し、不正行為の発生を未然に防止するよう研究環境の整備に努めなければならない。
2 研究活動上の不正行為の防止のために求められる研究者の責務については別に定める。
(研究費の適正な使用)
第9条 研究者は、研究の実施及び研究費の使用にあたっては、研究の助成目的を最大限に尊重するとともに、学内諸規程及び研究費ごとに定められた条件及び使用ルールを守り、適正な使用に努めなければならない。
2 研究費の適正な使用のために求められる研究者の責務については別に定める。
(研究組織の適切な管理)
第10条 研究者は、共同研究者、研究分担者、研究協力者その他共同で研究にあたる者(以下「共同研究者等」という。)がいる場合には、共同研究者等が対等なパートナーであることを理解し、お互いの学問的立場を尊重し、共同研究者等に対しては誠意をもって接しなければならない。
2 学生が前項に定める共同研究者等となるときは、当該学生に不利益が生じないように十分に配慮しなければならない。
(資料及びデータの利用並びに管理)
第11条 研究者は、研究のための資料及びデータの、収集、保管及び管理を適切に行わなければならない。
2 前項の収集、保管及び管理に関して求められる研究者の責務については別に定める。
(インフォームド・コンセント)
第12条 研究者は、研究のために人の行動、思想信条、財産状況、若しくは心身に関する個人の情報又はそれらのデータの提供を受ける場合には、当該情報又はデータを提供した研究対象者、研究対象者の保護者及び研究対象者の法律上の権限を有する代理人(以下「研究対象者等」という。)に対して、その収集目的及び収集方法並びに使用目的及び使用方法の説明を行い、研究対象者等の書面による明確な同意を得なければならない。社団、財団その他の団体(以下「団体等」という。)から、当該団体等に関する資料、情報又はデータの提供を受ける場合も同様とする。
2 研究者は、前項に定める提供を受けた資料、情報又はデータに基づく研究結果を研究成果として公表する場合には、公表に関する書面による明確な同意を研究対象者等又は団体等から得なければならない。
(個人情報の保護)
第13条 研究者は、前条で収集した資料、情報及びデータに含まれる個人情報の保護に努めなければならない。
2 前項に定める個人情報の保護については別に定める。
(研究成果の適切な公表)
第14条 研究者は、その研究成果の公表において、論拠の学問的信頼性の確保に十分に留意しなければならない。
2 先行研究の引用は、公正かつ適切に行わなければならない。
3 研究者は、学術論文その他の論文の形式によって研究成果を公表する場合には、その著作者の表記並びに先行研究の内容の利用及びその著作権について、研究組織、学会、学術誌その他の機関における研究分野に固有の慣行やルールを十分に尊重しなければならない。
(安全管理及び生命倫理の尊重)
第15条 研究者は、研究実施上、放射線、放射性同位元素、遺伝子組換え生物、外来生物、核燃料物質、劇毒物、環境汚染物質その他環境及び安全に対して有害となるおそれのある物質を取扱う場合には、関連する法令、本学諸規程、関連省庁及び学会その他の機関において定められた指針又はガイドラインを守らなければならない。
第3章 大学の責務
(不正行為の防止)
第16条 本学は、研究活動に関わる不正行為を防止するために必要な措置を講じるものとする。
2 研究活動に関わる不正行為を防止するために必要な措置については別に定める。
(啓発活動)
第17条 本学は、研究者の学術倫理及び研究倫理に対する意識を高揚するために、必要な啓発及び倫理教育の計画を策定し、実施するものとする。
2 研究倫理に対する意識の高揚に必要な方策については別に定める。
(相談等への対応)
第18条 本学は、学術倫理及び研究倫理に関する、苦情、相談及び告発に対して、適切に対応するための措置を講ずるものとする。
2 研究倫理に関する前項の措置については別に定める。
(学術倫理委員会)
第19条 本学は、学術倫理に関する事項を審議するため、学術倫理委員会を設置する。
2 学術倫理委員会の委員は、次の者がなる。
(1)統括管理責任者
(2)研究に関わる部局責任者
(3)各研究科委員長
(4)各研究所所長
(5)本学の研究者ではない法律の専門家
(6)その他学内外の有識者
3 前項第5号及び第6号の委員の員数は1人、任期は2年とし、最高管理責任者が任命する。ただし、再任を妨げない。
4 統括管理責任者は、学術倫理委員会の委員長として学術倫理委員会を統括する。
5 最高管理責任者は、委員のうちから統括管理責任者の指名に基づき、副委員長を任命するものとする。
6 副委員長は、統括管理責任者を補佐し、統括管理責任者に故障があるときは、統括管理責任者に代わりその職務を行う。
(招集、定足数及び議決)
第20条 学術倫理委員会は、学術倫理委員会の委員長が招集するものとする。
2 学術倫理委員会は、委員の3分の2以上が出席しなければ議事を開き議決をすることができない。
3 議決を要する事項については、出席者の3分の2以上の賛成をもって決する。
(学術倫理委員会の職務)
第21条 学術倫理委員会は、次の各号に掲げる事項について審議するものとする。
(1)獨協大学学術倫理規程の運用及び解釈に関して最高管理責任者から諮問を受けた事項
(2)第24条第2項の規定に基づき、最高管理責任者から付託された申請の審査に関する事項
(3)獨協大学学術倫理規程の改廃に関して最高管理責任者から諮問を受けた事項
(4)学術倫理の意識の高揚に必要な方策に関して最高管理責任者から諮問を受けた事項
(5)その他学術倫理の遵守のために必要な事項
(審査の申請)
第22条 次に掲げる研究に着手する研究者は、学術倫理委員会の審査を求めることができる。
(1)武器、兵装、戦略その他軍事行為に転用されるおそれのある事項に関する研究
(2)生命倫理及び人間の尊厳をそこなうおそれのある研究
2 次に掲げる研究の審査は、それぞれ当該各号に定める研究者による申請に基づいて行うものとする。
(1) |
本学の研究者が単独で行う研究 |
|
当該研究者 |
(2) |
本学に所属しない研究者と本学に所属する単独の研究者とが共同で行う研究 |
|
本学に所属する当該研究者 |
(3) |
本学に所属しない研究者と本学に所属する複数の研究者とが共同で行う研究 |
|
本学に所属する研究者のうちで、その代表となる研究者 |
(4) |
第2条第2項に定める研究 |
|
当該研究を代表する研究者 |
3 前項に定める審査の申請は、申請をする研究者が所属する学部の学部長である研究に関わる部局責任者に対して申請書その他の書面(以下「申請書等」という。)を提出して行う。
(申請書等)
第23条 前条第3項に定める申請書には、以下の事項を記載しなければならない。
(1)申請者の氏名、所属及び職位
(2)研究課題名
(3)研究実施者の所属及び氏名(第2条第2項関連)
(4)共同研究者等の氏名、所属及び職位
(5)研究期間
(6)添付書類の種類
2 申請書に添付する必要のある書面については、別に定める。
(申請のための手続)
第24条 第22条第3項に定める審査の申請を受けた研究に関わる部局責任者は、その申請書等を受け取った日から起算して2週間以内に最高管理責任者にその旨を通知しなければならない。
2 前項の通知を受けた最高管理責任者は、通知を受けた日から起算して2週間以内に申請に係る研究の審査を学術倫理委員会に付託しなければならない。
3 前項の規定に拘わらず、最高管理責任者は、申請に係る研究が、本学以外の適正な機関の審査による承認を既に受けていることを理由として前項に定める付託をせずに、当該研究の実施について、その承認をすることができる。
4 前項に定める承認の結果の通知については、第28条の規定を準用する。
(審査)
第25条 学術倫理委員会の審査においては、申請に係る研究がこの規程に適合しているか否かの判断に基づいて行うものとする。
2 審査の付託を受けた学術倫理委員会は、審査のために必要な資料の提出を、当該申請をした研究者に求めることができる。
3 審査は、公平で客観的に行なわなければならない。
4 学術倫理委員会の委員が、申請に係る研究を行う研究者であるときには、審査の審議に加わることができない。
(審査結果)
第26条 学術倫理委員会の審査においては、以下に掲げるいずれかの結論を示さなければならない。
(1)承認
(2)条件付承認
(3)不承認
2 審査結果には、前項に定める結論に加えて理由を付さなければならない。
(報告)
第27条 前条に定める審査の結論及び理由は、付託を受けた日から起算して、1月以内に最高管理責任者に報告しなければならない。
(審査結果の伝達)
第28条 前条の報告を受けた最高管理責任者は、その内容を当該研究に関わる部局責任者に通知するものとする。
2 前項の通知を受けた研究に関わる部局責任者は、その内容を当該申請をした研究者に伝達するものとする。
(再審査)
第29条 審査結果に異議のある研究者は、異議の根拠となる資料を添えて、研究に関わる部局責任者に対して、前条第2項の伝達を受けた日から起算して2週間以内に再審査の請求をすることができる。
2 再審査の手続については、第22条ないし第28条の規定を準用する。
(研究遂行中の審査)
第30条 すでに着手している研究が第22条第1項各号に定める研究であるときは、その研究について、学術倫理委員会の審査を求めることができる。
2 前項に定める審査については、第22条ないし第29条の規定を準用する。
(守秘義務)
第31条 委員は、申請書等に記載された研究の対象者に関する情報及び広義の知的財産となる可能性のある内容その他職務上知りえた秘密を他に漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。
(終了報告)
第32条 研究者は、学術倫理委員会の審査において承認を受け、当該研究を行った場合で、その研究が終了したときには、研究終了報告書を提出しなければならない。
(苦情、相談及び告発)
第33条 学術倫理に関する苦情、相談及び告発は、これらに係る研究を行う研究者が所属する学部の学部長である研究に関わる部局責任者にするものとする。
2 前項の苦情、相談及び告発を行った者の保護については、獨協大学公益通報者の保護に関する規程第14条を準用する。
第4章 その他
(事務所管)
第34条 この規程に関する事務は、総合企画部総合企画課が所管する。
(規程の改廃)
第35条 この規程の改廃は、学術倫理委員会に諮ったのちに、全学教授会の審議を経て、学長が行う。
附 則( 2019年規程第18号)
この規程は、2019年4月1日から施行する。
※以下省略
学術倫理の審査に必要な書類に関する細則
2019年4月1日施行
第1条 学術倫理の審査に関して必要な書類は、この細則の定めるところによる。
第2条 学術倫理規程第22条第3項に定める申請書その他の書面は次の各号に定める書面をいう。
(1)学術倫理審査申請書(様式1)
(2)獨協大学における学術倫理審査に関するチェックシート(様式2)
(3)研究計画書(様式3)
(4)インフォームド・コンセント チェックシート(様式4)
(5)アンケート募集文書
(6)アンケート説明及び同意書
(7)参考文献
(8)調査票・アンケート用紙・インタビューガイド
第3条 学術倫理規程第32条に定める終了に必要な書面は研究終了報告書(様式5)とする。
第4条 この細則に関する事務は、総合企画部総合企画課が所管する。
第5条 この細則の改廃は、学術倫理委員会に諮ったうえで、学長が行う。
附則(2019年規程第18号)
この規程は、2019年4月1日から施行する。
附 則(2024年規程第9号)
この規程は、2024年3月13日から施行する。