獨協大学の国際化推進に関するビジョン

獨協大学の国際化推進に関するビジョン

「外国語教育を重視し、今後の複雑な国内および国際情勢に対処できる、国際的な視野に立つ教養人の育成」

大学創立50周年にあたる2014年に策定した「獨協大学の国際化推進に関するビジョン」について、策定後4年間の推進実績を検証するとともに、2024年の創立60周年に向け、新たな目標を示します。

学則第1条

獨協大学は、初代学長である天野貞祐先生が提示された「学問を通じての人間形成」を建学理念として掲げ、さらに、学則第1条「目的および使命」において、

「社会の要求する学術の理論および応用を研究、教授することによって人間を形成し、あわせて獨協学園の伝統である外国語教育を重視して今後の複雑な国内および国際情勢に対処できる実践的な独立の人格を育成することを目的とする」

と謳っています。

国際化推進に関する基本方針

獨協大学は、本学学則第1条に基づき、「外国語教育を重視」し、「今後の複雑な国内および国際情勢に対処できる実践的な独立の人格の育成」と「国際的視野に立つ教養人の育成」を、国際化推進に関する基本方針とします。
すなわち、学則第1条の「今後の複雑な国内および国際情勢」は、建学以来50余年を経た現在、まさに否応なくグローバル化が進む国内および国際情勢ととらえられ、国際社会においてはもとより、国内においても多様な価値観が交錯する状況と理解することができます。本学は、その中で、異質な文化や考え方を寛容かつしなやかに受け止めて「理解する力」、多様な文化的・社会的・歴史的背景を持つ人々と交流し、良好な人間関係を構築しつつ逞しく「自己発信する力」「行動する力」を持つ人格を、獨協学園の伝統である外国語教育を基礎に、さらに高い段階へと育成していくことを国際化推進に関する基本方針とするものです。

基本方針の実現のための方策

国際化推進に関する基本方針を実現するために、「1.外国語教育の充実を核とする国際的共学の場の創出」と、それを補う形での正課外の支援策として「2.学生の海外留学の促進」「3.学内の国際化」、また、COC(Center of Community)として果たすべき役割である「4.グローバル化した地域への貢献」について、具体的な目的と方策を次に掲げます。
なお本学では、2016年12月に、本学の国際化推進についての計画および重要事項を審議する全学横断的な獨協大学国際化推進委員会を学長を委員長として設け、またその下に、計画の立案および調整等を行う同国際化推進検討委員会を発足させました。両委員会を中心として、本学のさらなる国際化に向けた具体的施策を策定し、実行しています。

1.外国語教育の充実を核とする国際的共学の場の創出

多言語・多文化共生社会の中で生き、行動する独立の人格を育成する基本は、まず正課教育において行われなければなりません。本学では、すでに優れたプログラムによって行われる外国語教育が高い評価を得ており、また、すべての学部において国際的視野に立つ教養人育成のカリキュラムが編成され実践されています。しかし、それらのカリキュラムをさらに発展させるためには、さまざまなバックグラウンドを持つ学生が共通の言語で「共に学ぶ場」を今後も拡大していく必要があると考えます。そのために次の方策を掲げます。

(1) 外国語教育の充実に関しては、各言語そのものを学ぶ科目に加え、さまざまな内容を英語で学ぶ授業を「全学共通カリキュラム」の中に段階的に増やしており、2014年度は1科目でしたが、2018年度は3科目開講しています。国際的理解力の育成という教育目標のもと、学部生と留学生が共に学ぶ科目を2024年度までに10科目以上に増やすことを目標とします。

(2) 英語で専門に関するテーマを学ぶ科目を、すべての学部において設置していきます。

(3) 協定校から受け入れている留学生に対しては、現在、日本語学習のカリキュラムが組まれています。2017年度に日本語教育カリキュラムの再編を行いました。必修の日本語科目数を14コマから4コマに軽減するとともに、必修科目の「日本語(総合)」「日本語(フィールドワーク)」のほか、読解、聴解、文章表現、語彙・漢字、会話・口頭表現と、5種類の日本語選択科目を6つのレベル別に用意し、留学生が各自伸ばしたい能力に合わせて自由に履修できるようにしました。2024年度に向け、現在協定校からの留学生のみに限定しているこの日本語プログラムを、協定校以外からも広く受け入れることを検討します。なお、すでに上級の日本語能力を持つ学生に対しては、「全学共通カリキュラム」の科目などの履修が認められています。

(4) 外国語教育に外国人教員が果たす役割には大きなものがあり、本学でも多くの外国人教員が教えています。本学における外国人教員は、2014年度時点において専任19名、非常勤111名でしたが、2018年度は専任26名、非常勤117名と、専任・非常勤とも増加しています。2024度までに、さらに全学的に専任率を上げ、各外国語科目においてカリキュラムプランナー、非常勤を支援するコースコーディネーターの役割を果たしていくような人材の獲得に努めます。

(5) 海外で育った学生、日本で育ったが親のどちらかまたは両親とも外国人の学生等、さまざまな国際的背景をもつ学生が増え、大学生活を送る上で日本語能力において支障が生じている場合も見られることから、学習支援等の配慮を行っています。

2.学生の海外留学の促進

本学は、学生の長期的な人間形成(キャリアデザイン)に資する制度の一つとして留学を重視し、これを積極的に支援し、留学中の授業料免除、奨学金の支給、協定に基づく学生寮の確保、単位認定などの施策をとってきました。しかし、近年、全体的に留学に慎重な傾向が学生にみられることから、以下の方策をとります。

(1) 留学に関しては、2013年度は長期留学生(交換留学、認定留学)が合計で100名、短期留学生(短期協定校留学、短期認定留学)が183名でした。2017年度は、長期留学生は合計86名、短期留学生は合計236名でした。長期留学生は、ここ数年80~90名で推移していますが、短期留学生は、年々増加しています。短期留学・長期留学の合計数を2013年度と2017年度で比較すると、17%増となりました。目標の20%増には若干及びませんでしたが、2024年度までに2017年度の20%増となることを目標とし、今後も積極的な広報を行います。
一方、留学を躊躇する要因として、留学費用や就職活動への不安があると思われます。このため、認定留学生への奨学金制度の新設、キャリアセンターの協力による「長期留学予定者のための就職ガイダンス」開催、留学中のメールによる就職活動相談などの支援を展開しています。

(2) 留学先となる海外協定校は積極的に拡大を図り、2013年度時点の14カ国・地域42大学から2018年度4月現在16カ国・地域50大学となり、2014年度に掲げた目標である50大学に到達することができました。今後は、協定校の少ない地域(フランス、北米、東南アジア等)に重点を置き、2024年度まで70大学に増やすことを目標とします。

(3) 独自に留学先を開拓した者、語学研修、ワーキングホリデー、インターンシップ、ボランティアなどに参加する学生が例年200名程度いることが、調査からわかっています。こうした自己開拓により積極的に海外に赴く学生に対し、渡航情報を申告させる制度を整えるとともに、「海外危機対応マニュアル」を作成し、緊急時の対応について全学的に周知しました。 今後は、さらに精度の高い情報を収集できるよう、工夫します。

(4) 本学ではすでに、単なる語学留学に留まらない多様な留学プログラム(海外インターンシップ、大学研修プログラム、グローバル・ビジネスパーソン育成プログラム等)を授業内外で実施していますが、これをさらに充実、発展させます。
また、2015年度に海外演習合宿の制度を整備し、2017年度までに2つのゼミが海外演習合宿を実施しています。

3.学内の国際化

当面は実際に留学に行くことのできる学生数が限定的であるなか、よりキャンパス空間自体を国際化・グローバル化することで、学内での学生生活を通して国際的視野を得ることができるように環境を整備することが必要です。そのための方策として、以下の施策を強化していきます。

(1)外国人教員の受け入れに関して、本学は30年以上にわたり海外の多くの大学と協定や提携を結び、国際的学術交流、研究者の交換や招聘に努めてきた実績があります。今後、学術交換協定校を中心に交流をより活性化し、本学の研究と教育に資する人材の招聘、交換に努めます。 また外国人教員の受け入れに伴う環境整備に関しては、現在のUR借り上げ住宅の安定的使用を継続していきます。

(2) 海外協定校から受け入れる外国人留学生は、ここ数年30~40名で推移しています。前述の協定校の少ない地域の開拓を重点的に行うとともに、従来の協定校との連携強化にも努めます。また、海外から学部、大学院に入学する外国人学生は近年減少傾向にあるため、大学ホームページ英語版の充実を急ぎ、積極的な海外広報を行って、留学生獲得に努めます。

(3) 欧米では普通となっているダブル・ディグリーなど、新たな協力関係の可能性を模索します。また、すでに海外からも応募できるように大学院の受験資格の緩和を行いましたが、今後も各国の教育事情に応じた大学院生の受け入れ方について検討していきます。

(4)学内環境において、外国人学生・留学生と一般学生とが接する場を増やすことが必要です。本学はすでにICZ(International Communication Zone)などの国際交流の施設を持っていますが、そのICZの近くに国際交流センターや日本語科目関連施設を集約し、新たな「国際交流の拠点」として発展させる構想を持っています。また本学学生と外国人留学生が共同で生活する国際寮を設ける計画についても、引き続き検討します。

(5) 学内においてはすでに国際交流センターが主催するイベント、学生のクラブやサークル、ゼミ単位での交流イベントが多数行われていますが、これらに対するさらなる支援を通して、学内の「内なる国際化」が一層進むように努めていきます。

4.グローバル化した地域への貢献

本学が位置する埼玉県、草加市周辺には多くの外国籍の市民が在住することから、本学が推進している地域とのさまざまな交流を通して地域貢献するとともに、学生が多言語、多文化社会の中で生きる市民としての意識を持てるように努めることが可能だと考えます。そのために以下の施策を行います。

(1) 地域への貢献として、すでに草加市国際交流協会との共催により「国際交流フェスティバル」など、地域の外国籍の市民との交流を行っています。地域の外国人市民への日本語学習支援のため、草加市の寄付講座として日本語のクラスをオープンカレッジで開講しています。今後はさらに、生活サポートボランティアなどが求められており、学生の経験の多様化を目指すためにもその可能性を模索します。

(2) 大学が近隣に取得した土地を、地域住民、本学学生、本学外国人留学生間の「交流の場」として活用し、学内のみならず、地域の国際化への貢献を図ります。

(3) 外国人学生・留学生のためのインターンシップは、草加市、足立区等の自治体、また「埼玉県グローバル人材向けインターンシップ」事業への参加企業・団体等を積極的に実習先として紹介するとともに、新たな実習先の開拓に努め、地域と連携して、外国人学生・留学生の日本でのビジネス体験を支援します。