2018 学生懸賞論文入賞作品(3編)

2018 学生懸賞論文入賞作品(3編)

最優秀賞

「過労死問題を捉え直す―近代日本の労働史から―」
外国語学部交流文化学科4年 橋本 彩香 要旨はこちら
(※)論文タイトルが一部変更となりました。

優秀賞

「ポスト・グローバル時代における「国家による暗殺」―自国第一主義の視点から―」
法学部国際関係法学科4年 鶴岡 大輔 要旨はこちら

審査員奨励賞

「日本におけるMe too運動」
国際教養学部言語文化学科3年 堀江 加奈 要旨はこちら

<最優秀賞>
「過労死問題を捉え直す―近代日本の労働史から―」
外国語学部交流文化学科4年 橋本 彩香

 本稿の目的は、過労死を「現代の社会問題」として捉えるのではなく、「近代化以降の歴史的問題」として捉えなおす意義と重要性を提示することである。その方法として、日本の近代化から21世紀初頭までを、明治維新の時代、戦後の経済成長の時代、グローバル資本主義の時代の3つに区分し、各時代の経済状況、社会背景と合わせて労働環境の特徴を分析した。分析の結果、労働の形態を変えながらも、日本では近代化以降約150年に亘って同様の構造で過労死が発生していたことが見出された。この結果から、過労死は近代化以降の日本が積み重ね、確立してきた社会構造の問題であり、過労死のない社会を実現することは、近代化以降続いてきたこの社会構造を打破することであるとして、過労死を「近代化以降の歴史的問題」として捉えなおす意義と重要性を示した。

<優秀賞>
「ポスト・グローバル時代における「国家による暗殺」―自国第一主義の視点から―」
法学部国際関係法学科4年 鶴岡 大輔

 自国第一主義が台頭する近年において、国家が行為主体となる越境的暗殺が増加している。このような事情を踏まえ、本稿では、「国家による暗殺」の①現代国際社会における地位を検討し、②暗殺が政策として採用される誘因を探求し、③国際法による暗殺の規制可能性を分析することで、自国第一主義に基礎を置く「国家による暗殺」を理解することを目的としている。歴史的に許容されてきた「国家による暗殺」は、現代ではリベラルな価値と国家主権概念によって否定されている。それにもかかわらず暗殺政策が現実に引き起こされる誘因として、心理的、構造的要因、政治的レトリックが挙げられる。現代国際法を用いて「国家による暗殺」を解決する試みも、国際法自らの定める国家主権概念によって頓挫している。しかしながら、暗殺の包括的規制が容易でないものの、個別の制度、条約を用いて規制していく必要があるだろう。

<審査員奨励賞>
「日本におけるMe too運動」
国際教養学部言語文化学科3年 堀江 加奈

 明治時代から20世紀の近代日本において、女性の社会的立場は次々に変容を遂げていった。女性の社会進出を後押しした思想の最たるものはフェミニズムであったといえる。現在世界中で大きなムーブメントとなっているMe too運動も、フェミニズム的思想に支えられているといえるが、日本では、欧米諸国に比べて、Me too運動が盛んであるとは言い難い。かつて、フェミニズム運動が女性たちを突き動かしていたこの国で、この運動が活発にならないのはなぜだろうか。実際の日本におけるMe too運動の事例および、学生を対象としたアンケート調査を用いて、この疑問について考察した。

 

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