2014 学生懸賞論文入賞作品(4編)

2014 学生懸賞論文入賞作品(4編)

最優秀賞

該当作なし

優秀賞

「就職のミスマッチから解く非正規雇用問題 ~日独の比較研究から~」
経済学部経済学科4年 遠藤 功一郎 要旨はこちら

「大学英語教育におけるパブリックスピーキング活動 ―不安とストラテジーの関係性を考察して―」
国際教養学部言語文化学科3年 佐藤 望 要旨はこちら

「発展途上国の農業分野におけるリスクマネジメントのあり方 ~マイクロインシュアランスの考察を中心として~」
経済学部経営学科4年 城野 さやか 要旨はこちら

「移民との共生へ向けて ~移民犯罪の対策と国民意識の改善~」
外国語学部ドイツ語学科4年 関口 力哉 要旨はこちら

<優秀賞>
「就職のミスマッチから解く非正規雇用問題 ~日独の比較研究から~」
経済学部経済学科4年 遠藤 功一郎

 一般的に非正規雇用は正規雇用よりも賃金が低く、社会保障制度の適用が限られて いる。人的資本としての価値を高めるために必要な教育訓練も、充実しているとは言えない。
少子高齢化が進む日本において、労働生産性の向上は必須であり、不本意に非正規雇用 として働いている若者を減らすことの意義は、日本経済の将来を展望するうえで大きい。
一方、大学生が労働市場に参入する時点において、学生と企業のミスマッチにより、 毎年多くの学生が非正規雇用に追い込まれている。ミスマッチを是正出来れば、非正規 雇用労働者の削減に貢献できるのではないだろうか?日本が現在に至るまで手本として きた米国ではなく、ヨーロッパの国々との比較研究から、学生と企業のミスマッチ解消の 糸口を見出すことができるのではないだろうか?
本論文の目的は、労働市場へ参入する大学の新卒者と企業のミスマッチの解決策を、 日独の比較研究から導くことである。

<優秀賞>
「大学英語教育における パブリックスピーキング活動 ―不安とストラテジーの関係性を考察して―」
国際教養学部言語文化学科3年 佐藤 望

 大学英語教育の中でパブリックスピーキング活動は現在多く取り入れられている。
その活動で学生たちの力を伸ばしていくためには個人要因に着目し議論していく 必要があるが、本稿では不安とストラテジーを取り上げ論じていく。国際教養学部3年 生に向け英語の授業内でのプレゼンテーションに関する質問紙調査を行い、その 結果を因子分析とt検定を用いて分析した。そして、(1)学生たちにとって教員や友人 との関係は重要であり、授業内プレゼン時の不安度にも影響を及ぼすこと、(2)不安 の低い者の方が不安の高い者よりも様々なストラテジーを使う傾向にあり、聴衆を 意識したプレゼンを心がけることができていること、(3)不安の低い者の方が失敗 経験のあとでも立ち直るよう心がけており、立ち直るのが上手い傾向にあることとい う主に3つの考察をすることができた。それをもとに、本稿の結論として、今後充実さ せていくべき指導法について考えていく。

<優秀賞>
「発展途上国の農業分野における リスクマネジメントのあり方 ~マイクロインシュアランスの考察を中心として~」
経済学部経営学科4年 城野 さやか

 本論文は、1)マイクロインシュアランスの現状の外観、2)マイクロインシュアランス の限界、3)今後の途上国の農業分野におけるリスクマネジメントのあり方を提言す ること、の3つを目的とする。気候や環境に影響を受けやすい農業にとって、気候変 動リスクへの対応は重要な国際社会の課題である。途上国の貧困層向けの保険で あるマイクロインシュアランスは、新たなリスク管理策として注目が集まった。ところが、 モラル・ハザードや逆選択といった市場の失敗が問題点となった。続いて、天候イン デックス保険という新たな仕組みの保険が登場し、解決策として期待された。市場の 失敗は解決されたが、ベーシスリスクという新たな弱点が浮かび上がった。本稿が 明らかにしたことは、気候変動への対応策として、保険は持続可能性の面からもまだ 不安要素が残っているということだ。キャパシティディベロップメントのような、包括 的なアプローチを用いて、途上国のリスクマネジメントを再考するべきだ。

<優秀賞>
「移民との共生へ向けて ~移民犯罪の対策と国民意識の改善~」
外国語学部ドイツ語学科4年 関口 力哉

 「―移民の受け入れは、日本人自身の意識次第である。」昨今の日本では、少子化 進行による人口激減の予想から、「2060年問題」として取り沙汰されるようになった。そんな中、政府は2014年に入り、労働人口及び将来人口確保のため、移民政策を 提起し始めた。その反面、文化的衝突、移民の就職可能性や犯罪横行による治安 悪化に対する不安の声が上がっている。そこで、統計データを用いて、移民犯罪数の 推移や内容を分析した結果、犯罪数は近年下降傾向にあるほか、移民のみの犯罪と は限定し難い犯罪が大半を占めていた。移民政策反対の声には、暗に排斥感情が 潜んでいた。また、移民犯罪者の傾向として、在留方法の如何を問わず、社会的立場 が不安定なことを理由に犯罪に走るケースが多かった。移民は悪者であるというのは 日本人が潜在的に抱えている意識なのである。移民政策成功のためには、社会的 立場の改善のみならず、日本人の意識改善も必要不可欠なのである。

 

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