2013 学生懸賞論文入賞作品(3編)

2013 学生懸賞論文入賞作品(3編)

入選

該当作なし

優秀賞

「商店街の衰退問題と地域活性化に向けて ~埼玉県羽生市を事例に~」
経済学部経済学科2年 田中 裕樹 要旨はこちら

「アグリビジネスがアフリカ地域にもたらす問題点とその対策」
経済学部経営学科3年 城野 さやか 要旨はこちら

審査員奨励賞

「9条改正に対する批判 ~軍事裁判所と徴兵制の問題点から考察する軍隊の本質~」
法学部法律学科2年 安部 浩生 要旨はこちら

<優秀賞>
「商店街の衰退問題と地域活性化に向けて ~埼玉県羽生市を事例に~」
経済学部経済学科2年 田中 裕樹

 近年、商店街の衰退は社会問題となっている。本論では筆者の地元である埼玉県羽生市の商店街衰退問題を事例として取り上げ、衰退原因の追究に加え今後の商店街活性化プロジェクトを提案することを目的とする。研究の結果、衰退には小売業態の変化やそれに伴う社会の変化、モータリゼーション、大型店出店など様々な要因が作用していることが判明した。中でも羽生市の商店街衰退における最も決定的な要因は、経営者をはじめとする市人口の高齢化であった。結論としては、以上の問題を解消するために高齢者をターゲットにした商店街の経営や、市民主体の地域イベントの開催や地域ブランドの推進による地域活性化、空き店舗・経営者の高齢化対策として「まちづくり会社」の設立を行うことを提案する。

<優秀賞>
「アグリビジネスがアフリカ地域にもたらす問題点とその対策」
経済学部経営学科3年 城野 さやか 

 本論文の目的は、先進国企業によるサブサハラアフリカ地域へのアグリビジネス参入の現状を明らかにするとともに、アグリビジネスを同地域の開発と有機的に結びつけるための方策を提示することである。サブサハラアフリカでは、近年、先進国企業による農業関連投資の増大という新たな潮流が同地域の農業構造に変容を迫っている。主要な国際機関はその影響を概ね肯定的に評価しているものの、アグリビジネスには見落としてはならない問題が潜んでいる。特に、ランドラッシュ、及びサプライチェーンからの小規模農家の排除は、脆弱な立場にある小規模農家が即座に生計維持の危機に陥りかねない重大なポイントである。こうした問題への対応策として、被投資国政府による投資管理体制の構築とその実行力の向上が考えられる。加えて生産者とバイヤーの両者にメリットがあるOutgrower Schemeと呼ばれる農業形態の推奨が効果的であろう。

<審査員奨励賞>
「9条改正に対する批判 ~軍事裁判所と徴兵制の問題点から考察する軍隊の本質~」
法学部法律学科2年 安部 浩生

 現行日本国憲法第二章の章題は「戦争の放棄」である。これが、自由民主党が2012年4月にまとめた『日本国憲法改正草案』では「安全保障」となってしまっている。第二次世界大戦敗戦から68年、戦後教育において「あってはならないもの」であった戦争が「あってもやむを得ないもの」に変わりつつある。こういった問題意識から、本論では軍事裁判所と徴兵制の問題点を考察することによって、「軍隊」の本質的危険性を探った。考察の結果、「軍隊」には人権を侵害してもかまわないという本質があるということが明らかとなった。軍隊は敵軍を想定する組織である以上、成員の一体化された行動とその秩序を守るための自律性がもとめられる。そういった性格から、軍隊では軍事裁判所の設置や軍隊における「服従」の教育、機密保持などが重要となる。しかし、これらを徹底してしまうと様々な人権侵害が大義のもと、平然と行われる危険性が出てくるのである。戦争に対する恐怖や嫌悪感が薄れてきた今だからこそ、「戦争の放棄」の重要性を再確認し、安全保障と人権保障のバランスを熟慮する必要があるのではないだろうか。

 

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