2012 学生懸賞論文入賞作品(2編)

2012 学生懸賞論文入賞作品(2編)

入選

自殺問題から紐解くミクロネシア連邦チューク州の社会変容」
国際教養学部言語文化学科3年 前野 安代 要旨はこちら

佳作

「外国語学習者の言語別に見る学習動機の特徴
-大学生へのアンケート調査を通して-」
国際教養学部言語文化学科3年 堀本 あおい 要旨はこちら

「マイクロファイナンスの変容と問題点」
経済学部経済学科2年 黒澤 拓也 要旨はこちら

審査員奨励賞

「ヨーロッパの言語政策『母語プラス2言語』の有効性を考える ~ルクセンブルクとドイツを比較考察して~」
国際教養学部言語文化学科 3年 橋川 駿一 要旨はこちら

<入選>
「自殺問題から紐解くミクロネシア連邦チューク州の社会変容」
国際教養学部言語文化学科 3年 前野 安代

 太平洋の赤道以北、グァム島の真下に位置しているミクロネシア連邦。607もの島々で構成されるこの連邦内では、今なお手つかずの豊かな自然と共に11万1千人の人々が暮らしている。同国は、1947年に日本の統治下からアメリカ合衆国の統治下へと移行したのであるが、それに伴い若者の自殺率が上昇するという事態が起こった。大自然が残るこの南国の地で、多くの若者が自殺をする原因とは一体何なのだろうか。また、若者を自殺へと導いてしまう社会とはいったいどのようなものなのだろうか。本論では、ミクロネシア連邦の中で最も人口が多いチューク州に焦点を当て、自殺の現状、自殺者を取り巻く社会を考察し、改善すべき問題点を探る。

<佳作>
外国語学習者の言語別に見る学習動機の特徴―大学生へのアンケート調査を通して―
国際教養学部言語文化学科 3年 堀本 あおい

 本論では、外国語を専攻として学ぶ大学生への言語選択の動機づけに関するアンケート調査を行い、言語別に学習動機の特徴を明らかにすることを目的とした。アンケート調査の結果を因子分析した結果、韓国語・中国語・スペイン語の間で異なる特徴が明らかになった。韓国語選択者は国際性を求めつつも、韓国という国や韓国語自体への関心がより強いことがわかった。中国語選択者は、近年のグローバル化や中国の世界進出、中国語の需要の高まりを考慮しており、中国語をスキルとして身に付けようと考えている人がより多いと判明した。スペイン語選択者は、ヨーロッパ社会やラテンアメリカ社会に関心をより強く持っているとわかった。また、この結果から大学生が大学の講義に求めることを言語別に判明し、今後の効果的な外国語教育への示唆を探ることができた。

<佳作>
マイクロファイナンスの変容と問題点
経済学部経済学科 2年 黒澤 拓也

 途上国の発展と開発は地球規模の課題となっており、世界の様々な開発機関や政府関連団体等が従事してきた。この課題を解決するための支援のひとつとしてマイクロファイナンス(microfinance)がある。マイクロファイナンスは、少額融資を主な金融サービスとして取り扱っており、一般的な銀行の貸付対象とならない貧困層の事業拡大資金の源となっている。 マイクロファイナンスは、国連ミレニアム開発目標(MDGs)を達成する手段として有効であると考えられており、国連はマイクロファイナンス事業とMDGsの達成を明確に関連付けた。しかし、近年では、マイクロファイナンスが、貧困改善策の一つであるにもかかわらず、本来の目的と異なるマイクロファイナンス機関の商業化等の問題が生じている。本稿では、これが問題となっている原因と今後のマイクロファイナンスについての展望を述べる。

<審査員奨励賞>
ヨーロッパの言語政策『母語プラス2言語』の有効性を考える ~ルクセンブルクとドイツを比較考察して~
国際教養学部言語文化学科 3年 橋川 駿一

 本稿は欧州連合が定める言語政策「母語プラス2言語」に着目し、その政策が実際にヨーロッパにおいて達成されているか、またその有効性について考えたものである。筆者は実際にドイツとルクセンブルクにおいてフィールドワークを実施した。その結果を分析すると、ドイツにおいてこの政策の目標は達成されたとは言えなかったが、ルクセンブルクにおいては、おおむね達成され、母語に加えて「2言語」以上使用できる可能性を示唆した。理由として、ドイツ語の広がりは多様だが、ルクセンブルク語は少数言語である。また、近年では両国共に移民問題が浮き上がっており、言語面がより複雑化している。さらに、欧州連合における政治経済活動は国境を超える。その三点を考えて、母語を超えて、なおかつ「リンガ・フランカ」に頼らず、「プラス2」にとどまらず、より多くの言語でコミュニケーションすることが大切なのではないだろうかと考える。

 

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