2004 学生懸賞論文入賞作品(3編)

2004 学生懸賞論文入賞作品(3編)

入選

該当作なし

佳作

該当作なし

努力賞

「日米地位協定~2004.8.3 輸送機墜落事故の視点から~」
ドイツ語学科3年 相原 涼 要旨はこちら

「ひきこもりと仮想現実」
経済学科3年 鴫村健太郎 要旨はこちら

「日本の高齢化社会について~高齢者介護における問題点を考える~」
経営学科2年 江戸屋 佑軌 要旨はこちら

<努力賞>
「日米地位協定~2004.8.3 輸送機墜落事故の視点から~」
ドイツ語学科3年 相原 涼

8月中旬、沖縄国際大学に米軍機が墜落した。この事件の論点は、地位協定である。この協定は、日米安保の中で、在日米軍の地位を定めているものである。内容としては、在日米軍への優遇が主なものである。この協定が立ちはだかったため、日本の管理内の大学構内に墜落したにもかかわらず、米軍が周辺地域を封鎖し、日本側の立ち入りを認めず、非公開で検証が行われ、それを日本としては容認するしかなかった。しかし、政府は、国家レベルの事故でありながら、積極的にこの理不尽な状況を解決しようとはしなかったし、圏外の国民の事故への意識の低さも問題であった。
今回の事故に対しても言えることだが、常日頃から、日本は米国に依存しすぎである。強い国と協力関係を結んでおけば、安全だと考えている。つまり、自国の主張がない。今回のこの事故を機に、日本側が米国に対して、強い姿勢で対応し、これからの日米関係に、日本側の主張を積極的にしていくべきではないだろうか。

<努力賞>
「ひきこもりと仮想現実」
経済学科3年 鴫村健太郎

「ひきこもり」は20歳代に多く大半が男性である。「ひきこもり」に到る経緯は本人や周囲の環境が異なるため百人百様であると言われている。私は対面して人間関係を構築していくコミュニケーション手段が現代社会から排除されてきている点に、ひきこもりが増加している根本的な原因があると考えた。
1980年代から1990年代以降はテレビゲームの普及により室内遊びが定着し、独りで過ごす時間が増加した。そして、携帯電話(インターネット機能付き)の普及によって、対面もせず声も出さないコミュニケーションが可能となった。こうした社会環境に適応してきたことで、対人関係能力の低下が表面化し社会的不適応者が増加しているのではないかと考えた。そして、これまでのテレビゲームとインターネットが融合したオンラインゲームは、現在「ひきこもり」の可能性になる原因と考えられているため、10代を中心に利用されている現状が懸念されている。

<努力賞>
「日本の高齢化社会について~高齢者介護における問題点を考える~」
経営学科2年 江戸屋 佑軌

現在、日本は高齢化の急速な進行により、様々なメディアによって、「高齢化社会」に対する問題点が取り上げられ、その将来に対する関心が高まっている。中でも「高齢者の介護問題」が注目されている。今回は高齢者をめぐる現状を分析しつつ、高齢者にとってどのような介護が求められているのかを考えてみた。
まず、現在の高齢者をめぐる現状を把握するため、統計局のデータを分析し、問題点を挙げてみた。もっとも問題となるものは、介護する人の減少、孤立化などであった。次に、具体的に高齢者に対してどのような介護が求められているのかを考察した。
・介護をする人が不足するが、要介護者に対し様々な介護サービスを提供する必要があるため「バランスのとれた介護」が求められる。
・介護を支援し、社会全体で相互扶助の関係を築く「ネットワーク作り」をすること大切である。
結論として、上記の2点を取り入れた社会形成が求められる。

審査委員長 講評
下川 浩

 今回は「獨協大学創立40周年」を記念し、本学発展の現状を学内外の皆さんに知っていただくために、特に「建学の精神に立ち返り、『批判的精神』をもってものごとを考えよう!」という副題を付けて、40周年を祝うにふさわしい論文を募りましたが、結果は期待を大きくはずれ、「入選」どころか「佳作」に該当する文章もありませんでした。
応募総数が13編と少ないうえ、個人的な体験のレポートまたは感想文、あるいはほとんど引用、しかも文献よりウェブサイトからの統計数字の借用にほんの少し自分の意見をつけたものがほとんどでした。
課題テーマ「ひきこもりを考える」を選んだものが5編ありましたが、わずかに鴫村さんの「ひきこもりと仮想現実」のみが対面コミュニケーションの欠如を高度情報化社会の技術の産物と関係づけて述べ、アプローチのしかたでほかのものより優れたところがありました。とはいえ「ひきこもり」に関する専門文献は多数あるにもかかわらず、そういう文献にほとんどまったくあたらずに論を展開しようとしたところに無理がありました。
「信」については2編の応募がありましたが、いずれも体験レポートの域を出ないものでした。 自由論題の中では江戸屋さんの「日本の高齢化社会について」と相原さんの「『日米地位協定』」(いずれも副題省略)の2編が時宜にかなったテーマで応募されましたが、前者は統計数字についての独自の分析に欠け、後者は関連法規や米軍再編などの現状との関連づけがほしかったところです。
「40周年記念」の「入選作」「佳作」の名に値する文章が無かったのは残念ですが、上に挙げた3編は、指摘された欠点を改善する努力をされれば、次の機会には優れた論文を寄せられるようになるだろうという期待を込め、「努力賞」を新設し、これを授けることにいたしました。それにより、3人の方々をはじめとする皆さんの奮起をうながしたいと思います。

 

 

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