1998 学生懸賞論文入賞作品(2編)

1998 学生懸賞論文入賞作品(2編)

入選

該当作なし

佳作

「これからの獨協大学の教育について - 学問を通じての人間形成の実現に向けて -」
経済学部経済学科3年 應和 周一 要旨はこちら

<佳作>
「これからの獨協大学の教育について - 学問を通じての人間形成の実現に向けて -」
経済学部経済学科3年 應和 周一

 これからの日本の大学は大学受験者数の減少に直面していて、日本の全大学の定員と大学志願者数がほぼ同数になり、大学にとって「冬の時代」に突入するといわれている。その中で、社会全体の学歴志向や学名志向はますます強くなってきており、その結果、誰でも簡単に入れる大学と入ることが非常に難しい大学との二極化を迎えるといわれている。故にもう一度、本学初代学長の故天野貞祐氏の言葉で、獨協大学の建学の理念である「大学は学問を通じての人間形成」を見つめなおす必要があるのではないだろうか。
最初に、本学法学部の偏差値が大幅に下落した理由を考察することから始める。本学法学部では、留年する学生が他学部や他大学に比べて非常に多い。国際基督教大学では本学法学部以上に卒業を難しくしている。しかし、同大学の評判や人気が落ちているという話は聞かれず、国際基督教大学の卒業生は社会から非常に高い評価を受け、それが大学の人気や評判につながっているのである。それに対して「難しいだけの見返り」がないことが、偏差値下落に現れたのである。
現在大学では「スペシャリスト」を養成することを求められている。しかし、もうひとつ時代の先を見る必要があるのではないだろうか。ビル・ゲイツ氏はコンピュータの才能だけでなく、ビジネスの才能の二つを融合することで成功し、小室哲哉氏は持ち前の音楽の才能だけでなく、音楽に緻密なマーケティングを組み込むことで、成功を収めたのである。これを大学教育に応用すると、例えば経済学部経済学科の場合、専攻は当然「経済」で、副専攻に「コンピュータ」、又は「ドイツ語」などを、自分が将来どんな仕事に着くか、どんなキャリア形成をしたいかで副専攻を決める。その結果「経済」との相互効果が得られるのである。
短期間に集中した授業をすることで授業内容が身につきやすいとされているセメスター制の導入も必要である。現状では一年間単位で休学するか、授業と平行して行なわなければならない活動、例えば海外留学や資格取得、ボランティア活動など大学から飛び出した自主的な活動が可能になる。教員にとっても、一年間通じて授業と研究を平行して行うより、前期に授業を行い、後期に研究を行うことで双方とも充実する。学生の両方にとってプラスになることはぜひ導入するべきである。
システム工学の観点から物事を見ると、獨協大学はひとつの人工システムと捉えることができる。人工システムには必ず「目的」があり、獨協大学においての「目的」は「学問を通じての人間形成」で、このことを達成できない場合は、獨協大学というシステムのどこかに人間形成を阻害する問題があることになる。胸を張って「獨協大学では、学問を通じての人間形成という目的を達成している」、「卒業生は、グローバルな活躍をしている」と獨協大学の教員、職員、学生の全員が思え、言えるようになるまで目的達成に向かって大学を創って行くことが、獨協大学の教育のあるべき姿である。

 

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