法学部鈴木淳一ゼミがWHO世界保健総会のシミュレーションを開催しました

法学部鈴木淳一ゼミがWHO世界保健総会のシミュレーションを開催しました

 新型コロナウイルスの世界規模のパンデミックに対する対策は、世界保健機関(WHO)が中心となって行われています。法学部の鈴木淳一ゼミナールでは、「WHOが新型コロナウイルスのパンデミックを阻止できなかったのはなぜか」という問題意識から、感染症に関する国際法について1年をかけて分析を行ってきました。
 2021年1月4日と5日の二日間に、これまでの学修のまとめとして、WHOの世界保健総会を想定して、Zoomを利用して、現在のパンデミックに対応するためのシミュレーション(Operation Covid-19)を開催しました。本シミュレーションでは、WHOが制定した感染症対応のための枠組みである国際保健規則(IHR)の改正案が検討されました。個々の学生には担当国が指定され、学生は各国から派遣された専門家となって、改正案について交渉しました。
 シミュレーションでは、遠隔会議の利点を活かして、会議文書や決議案はクラウド上で共有され、出席者の管理や投票行動管理もネットワーク上でリアルタイムになされました。
 遠隔会議は対面での会議とは異なるため、新しい工夫も試みられました。会議では他人の行動が把握できないため、参加国毎にバーチャル大使館を設置し、誰が誰と交渉しているのか相互に可視化できるようにしました。また、会議では参加者間での細やかな気持ちや本音での意思疎通が困難なことがあるため、匿名制の投稿システムを導入し、参加者の率直な感情を共有できるようにしました。
 学生の熱心な準備の結果、議論は白熱し、オンラインでの交渉は深夜にまで及びました。各国の思惑や感情が交錯する2日間の議論の後、IHRを強化する日本語及び英語の改正案が賛成多数で採択されました。

 本会議を指導した鈴木教授は、本シミュレーションについて次のようにコメントしました。
「世界はこれまでWHOのIHRを中心として感染症対策を実施してきましたが、現実の世界では、残念ながら、新型コロナウイルスのパンデミックを防ぐことができませんでした。
 学生たちは現在の世界の状況を少しでも改善するべく、遠隔授業で培った技術を駆使して、膨大な準備をして熱心に会議に臨みました。ただ、現時点で、新型コロナウイルスを封じ込めるための万能な解決策を見出すのは難しく、仮にIHRが強化されても、パンデミックを即座に終息させることには困難が予想されます。
 本シミュレーションでは遠隔授業の利点を利用しつつ、人々の自然なつながりをバーチャルな空間の中に再現することで、切磋琢磨しながら国際法について学ぶことができました。会議後に実施したアンケートからも遠隔授業でのアクティブラーニングの可能性に期待する声がありました。
 本シミュレーションに参加した皆さんが、たとえコロナ禍に翻弄される世界であったとしても、活躍されることを希望いたします。」

 本会議の成果は、今後、論文等を通じて発表される予定です。

[関連リンク]
卒業生と新型コロナウイルス対策のための意見交換会を実施しました
https://www.dokkyo.ac.jp/information/2020/20200427003408.html

法学部鈴木ゼミが新型感染症のパンデミックに関する模擬国際裁判を開催しました
https://www.dokkyo.ac.jp/information/2020/20200818003707.html