2021年 第32回獨協インターナショナル・フォーラム

2021年 第32回獨協インターナショナル・フォーラム

Albert CAMUS: L'amour de vivre アルベール・カミュ : 生きることへの愛

日程

2021年12月3日(金) 13:15~18:15
2021年12月4日(土) 9:30~18:30

開催方法 Zoomウェビナー オンライン開催
主催 獨協大学外国語学部フランス語学科・獨協大学国際交流センター
共催 日本カミュ研究会
後援 国際カミュ学会、フランス大使館/アンスティチュ・フランセ、日本フランス語フランス文学会、埼玉県、草加市、獨協大学同窓会
協賛 株式会社サイマル・インターナショナル、株式会社白水社
使用言語 日本語・フランス語(同時通訳) 
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概要

2010 年、アルベール・カミュの没後50 周年を記念して、私たちは第22回獨協インターナショナル・フォーラム「アルベール・カミュ:現在への感受性」を開催しました。それから10年が経過し、世界は未曽有のパンデミックに直面して、カミュが『ペスト』で描いた闘いが私たちの目の前で現実のものとなりました。日本の読者にとって、カミュは「不条理」と「反抗」の作家として知られています。しかし、彼のすべての作品の基盤にあるのは強烈な「生きることへの愛」であることは、これまであまり指摘されてきませんでした。『ペスト』の中では、タルーがリユーに次のように言っています。「もちろん、犠牲者のために闘わなくてはならない。けれども、他方でなにかを愛することをやめれば、闘うことは無意味になってしまう」※。「不条理「反抗」に続いて、カミュが構想していた「愛」を主題とした作品群は、1960 年不慮の自動車事故による早世のため未完に終わってしまいました。しかし彼は、24 歳のときにアルジェで出版した処女エッセイ集『裏と表』に収録された一篇に「生きることへの愛」の表題を与えました。17 歳で当時は不治の病であった結核に罹患し、以後つねに死と直面することを余儀なくされた彼は、限られた生の領域を汲みつくそうとして、生きることへの強烈な「愛」を抱き続けました。カミュの作品を初期からつぶさに見れば、そこには一貫して「愛」の主題があることがわかるでしょう。 カミュは地中海の自然、海や太陽をこよなく愛し、女性たちを情熱的に愛し、優しい母や家族、自分が育った土地であるアルジェの貧民街、そして祖国アルジェリアを愛しました。彼はまた、スポーツや演劇活動がもたらす友愛を大切にしました。生きることへの愛にあふれたカミュは、同時に戦争や搾取によって堕落した時代が生み出す数々の問題に立ち向かいました。そして彼は、人間にとっての根源的価値である正義と自由を愛し、それを守りぬこうとしたのです。 こうして、その作品のすべてを通して、愛の作家としてのカミュのもうひとつの顔があきらかになります。私たちはそれを12 月3日・4日に開催される第32 回獨協インターナショナル・フォーラムの主題にすえたいと思います。

日程および参加者

12月3日(金)

13:15 - 13:30 開会式
開会挨拶:山路 朝彦(獨協大学学長)
13:30 - 14:30 講演 I
三野 博司(奈良女子大学名誉教授)
:カミュの作品における「愛」
〔司会:高塚 浩由樹(日本大学国際関係学部准教授)〕
休憩
15:00 - 16:30

セッション I 『幸福な死』から『異邦人』へ
〔司会:千々岩 靖子(国際基督教大学客員准教授)〕

ジェイソン・ヘルベック(ボイシ州立大学 フランス語・フランス語圏文学教授、世界諸言語学部長)
:『幸福な死』における「幸福への要求」あるいはカミュ的認識の「華麗な播種」

ギヨーム・ジャンメール(高麗大学校教授)
:『異邦人』における生きることへの愛――翻訳の比較

渡辺 惟央(東京大学大学院地域文化研究科フランス科博士課程・パリ第8大学博士課程)
:『異邦人』における言葉と愛 ―ムルソーの言語観について―

休憩
17:00 - 18:00

セッション II 災厄の時代
〔司会:フィリップ・ヴァネ(獨協大学名誉教授)〕

マリー=テレーズ・ブロンドー(国際カミュ学会副会長)
:災厄の時代における生きることへの愛

フランク・プラネイユ(地中海アルベール・カミュフォーラム副会長)
:世界はまだ最後に「歴史」に勝つことができるだろうか?

18:00 - 18:15

朗読 I
ジョルジュ・ヴェスィエール(獨協大学専任講師)

12月4日(土)

9:30 - 11:00

セッションIII 自然の中で、または自然を前にして:生とその有限性
〔司会:高塚 浩由樹(日本大学国際関係学部准教授)〕

徐 佳華(台湾国立中央大学人文学部フランス語学科副教授)
:自然と人間のあいだで――カミュの視点

稲田 晴年(静岡県立大学国際関係学部名誉教授)
:自然を前にしたカミュ

ソフィー・バスティアン(カナダ・ロイヤル・ミリタリー・カレッジ教授)
:生きることへの愛――不治の致命的慢性病から見て
(※当初予定していた発表タイトルより変更になりました)

休憩
11:15 - 12:15

セッション IV カミュは(反)ヒューマニストか?
〔司会:根木 昭英(獨協大学専任講師)〕

竹内 修一(北海道大学教員)
:『反抗的人間』に於ける「人間への愛」

青柳 悦子(筑波大学人文社会系教授)
:愛の不可能性が生む愛

12:15 - 12:30

朗読 II 
獨協大学在学生

休憩
13:15 - 14:15

セッション Ⅴ 愛の作品群へ
〔司会:千々岩 靖子(国際基督教大学客員准教授)〕

安藤 智子(九州大学および西南学院大学非常勤講師)
:「反抗」から「愛」へ

高塚 浩由樹(日本大学国際関係学部准教授)
:「生きて、創造しなければならない」― アルベール・カミュにおける「愛の作品群」への困難な移行

休憩
14:30 - 16:45

パネル・ディスカッション 生きることへの愛、カミュと同時代の三人
〔司会:フィリップ・ヴァネ(獨協大学名誉教授)〕

アンドレ・ブルトン
(ソフィー・バスティアン:カナダ・ロイヤル・ミリタリー・カレッジ教授)
ジャン=ポール・サルトル
(根木昭英:獨協大学専任講師)
ルネ・シャール
(フランク・プラネイユ:地中海アルベール・カミュフォーラム副会長)

休憩
17:00 - 18:00

講演 II
アンヌ・プルトー(西部カトリック大学准教授)
:生きることへの愛、女性の仕事?
〔司会:根木 昭英(獨協大学専任講師)〕

18:00 - 18:15

朗読 III
ジョルジュ・ヴェスィエール(獨協大学専任講師)

18:15 - 18:30

閉会式
閉会挨拶:前沢 浩子(獨協大学国際交流センター所長)

パンフレット

上の画像をクリックするとプログラムをご覧いただけます。

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