1991年 第5回獨協インターナショナル・フォーラム

1991年 第5回獨協インターナショナル・フォーラム

「学校に未来はあるか:文化認知科学による検討」

日時 1991年12月20日(金)~ 21日(土)2日間
主催 国際交流センター
主旨 今フォーラムでは、今日の言語学における一潮流である機能主義言語学を取り上げ専門的な討論を行う。機能主義言語学はコミュニケーションの場における言語の機能を重視し、そこに働く規則性や法則の発見を通じて言語の本質に迫ろうとするものである。今回のフォーラムではこの分野の第一線で活躍中の日米の研究者により最新の研究成果を討論しあい、機能主義言語学の今後を展望する。
第一日目には、機能主義言語学における認知に関する諸問題を扱う。まず、意味論と認知構造に関わる発表では、意味論の基本概念であるeventの概念の基本的な再検討と、条件文の修得の研究を通じて自然言語における条件文の本質を探る。続いて談話の情報処理をメンタル・スペース理論に基づいて分析する試みと証拠性に関する日本語の談話の特徴を認知的に分析する。
第二日目は、機能主義言語学における統語論に関する諸問題を扱う。最初に同一指示に関するいわゆるanaphoricisland現象を語用論的に分析し、また左方転移構文の談話における機能を明らかにし言語能力に関して重要な主張を行う。その後、より深く形式主義言語学の領域に踏み込んだもので、いわゆる動詞末尾型の言語において動詞よりも後ろに生じる要素を支配する原理を探る。また最近の形式主義の主要な理論において唱えられているVP内主語の仮説を批判し、機能主義の立場から新たな分析を示す。
共同企画 獨協大学外国語学部英語学科
獨協大学大学院外国語学研究科
コーディネーター 波多野 誼余夫(獨協大学教養部教授)
松丸 壽雄(獨協大学教養部教授)
参加者 【報告者】
田窪 行則(九州大学教授)
金水 敏(神戸大学助教授)
神尾 昭雄(獨協大学教授)
高見 健一(静岡大学助教授)
Prof. Paul Hopper(カーネギー・メロン大学・アメリカ)
Prof. Noriko Akatsuka(カリフォルニア大学ロサンゼルス校・アメリカ)
Prof. Gregory Ward(ノースウェスタン大学・アメリカ)
Prof. Ellen Prince(ペンシルバニア大学・アメリカ)
Prof. John Whitman(コーネル大学・アメリカ)
Prof. Susumu Kuno(ハーバード大学・アメリカ)

【討論者】
益岡 隆志(神戸市外国語大学助教授)
柴谷 方良(神戸大学教授)
中島 平三(東京都立大学教授)
Prof. John Hinds(名古屋学院大学)
内容掲載 獨協国際交流年報 第5号(1992・9月発行)