外国語教育研究所 第15回公開講演会を開催しました

外国語教育研究所 第15回公開講演会を開催しました

2025年12月3日

外国語教育研究所(所長:岡田圭子経済学部経済学科教授)は、11月29日(土)に京都大学大学院の松下佳代教授を講師にお迎えし、「『学習としての評価』とは何か―ライティング教育とパフォーマンス評価をめぐって」というテーマで、第15回公開講演会をZoomウェビナーにて開催しました。

講演会の冒頭では、Jerry Z. Muller 氏の著作 The Tyranny of Metrics が紹介され、大学や学校だけでなく、医療、警察、軍、ビジネスなど、社会のあらゆる領域にメトリクス(測定・測定法・測定基準・測定値といった意味を併せ持つ)が広く浸透している現状が示されました。そのような「測りすぎ」の時代にこそ、学習者自身が学習を自己モニタリングし、自己修正・調整を行う「学習としての評価(assessment as learning)」が重要である、と強調されました。

特に、学習者の能力をパフォーマンスを通して評価する「パフォーマンス評価」は、学習としての評価として有効に機能し、学習者にとってはそれに取り組むこと自体が学習経験となり、学びを深める営みになることが説明されました。講演の後半では、ライティング教育におけるパフォーマンス評価の具体例が示され、さらに生成AI時代の英語ライティング教育に関する先行研究や実践例もご紹介いただきました。

教育におけるパフォーマンス評価は、最終的なパフォーマンスだけでなく、そこに至るまでのプロセスや学習者自身の学びも含めて評価する必要があること、また、学びの核心はプロセスの中にあるため、評価課題は取り組むこと自体が学習経験となる教育的価値の高いものを設定すべきこと、などが述べられました。このことは、生成AI時代のライティング教育においてますます重要であり、評価の在り方を見直していく必要性が強調されました。

当日は、日本各地だけでなく海外からの参加もあり、合計142名が参加しました。質疑応答では多くの質問が寄せられ、たいへん充実した講演会となりました。

『学習としての評価』とは何か―ライティング教育とパフォーマンス評価をめぐって