2024年度9月卒業式・学位記授与式を挙行しました
2024年9月20日
9月20日、2024年度9月卒業式・学位記授与式を天野貞祐記念館大講堂で挙行し、90名の卒業生が本学を巣立っていきました。
前沢浩子学長は式辞で次のように卒業生に呼びかけました。
「獨逸学協会学校初代校長の西周先生は、philosophyには「哲学」、artには「芸術」、reasonには「理性」といった新しい言葉を作り出して、それまでの日本にはなかった新しい考え方を日本の人々にもたらしました。ところがfreedomやlibertyはなかなか日本語にできませんでした。西周先生は「自主」「自在」「自由」といくつもの訳語を使いながら、試行錯誤しています。それまでの伝統的な日本社会にfreedom, libertyにあたる概念がなかったことも一因ですが、欧米の社会でもfreedomやlibertyとはどのようなものかは、単純には説明できない難しい課題だったからでもあります。自由は言葉としても、概念としても、そして実際にそれを行使することも、決して簡単ではないのです。多くの先人たちが、自由とは何かを考え、自由のために戦い、そして日本語の訳語を考え、自由が保障される社会の制度設計のために議論を積み重ねてきました。私たちはその歴史の中に生きています。近年、「空気が読めない」ということを、コミュニケーション能力の欠如や、集団生活への配慮のなさとして、非難する傾向が強まっているように思います。みなさんもこれから組織の中で働くとき、自分の頭で考えることをやめて、組織や集団の論理に従ってしまいがちなこともあるでしょう。仲間と一緒にいれば、その仲間うちの雰囲気でなんとなく行動してしまうこともあるでしょう。でもそんな時でも、これでいいのか、本当はどうすべきなのかと、そう考える勇気を失わないようにしてください。あえて「空気を読まず」に立ち止まり、一人で考えてみる勇気を持ってみてください。それがみなさん一人一人の自由です。本学の創立者である天野貞祐先生はドイツの哲学者カントの研究者であり、翻訳者でもありました。そのカントもまた内なる理性にしたがって行動することが、自由に生きるためのもっとも大切な条件だと主張していました。今日はみなさんの出発の日です。今日から皆さんの人生が新たに始まります。みなさんが、勇気を持ったひとりひとりの自由な市民として出発してくれることを信じ、願っています」
また、卒業生を代表して中里麗さん(交流文化学科)は「自分ができることを探し出した時の決断と努力のおかげで、大学生活で様々なことを経験し大きく成長できたと感じています。憧れの国であったフランスへの旅行や留学、2年間で16か国・50都市への旅行、そして人生の中で大きな挑戦であったフランスのカレーという街にある難民キャンプでのボランティア活動等を通じ、人との出会いが新たな言語を勉強するきっかけになり、言語のおかげでまた人と出会うことができるという幸せな循環のもと、心で通じ合える素晴らしさと、国や背景が異なっていても同じ人間であると感じることができました。勉強すると、人は優しくなる。そう学び、この4年半で大きな人間へと成長できました。大学生活で出会ったすべての方々に心より感謝いたします」と謝辞を述べました。
学位取得者は次のとおりです。
外国語学部 | ドイツ語学科 | 11名 |
---|---|---|
英語学科 | 20名 | |
フランス語学科 | 5名 | |
交流文化学科 | 5名 | |
国際教養学部 | 言語文化学科 | 18名 |
経済学部 | 経済学科 | 13名 |
経営学科 | 10名 | |
国際環境経済学科 | 6名 | |
法学部 | 法律学科 | 1名 |
国際関係法学科 | 1名 | |
総合政策学科 | 0名 | |
90名 |