2020年度秋学期の授業について
2020年7月29日
学生の皆さんへ
2020年度秋学期の授業について
獨協大学学長
山路朝彦
全授業を遠隔で行ってきた春学期も終盤に至りました。授業開始前は、どのような授業が展開されるのかも想像しがたく、不安が大きかったことと思います。実際に授業が始まると個々の授業の形式がわかり、多少安心したとは思いますが、今度は課題が多すぎるという声も聞かれるようになりました。しかしそれは、皆さんが熱心に授業に参加し、懸命に課題に取り組んだということを証明しています。今学期、授業が終わるごとに課題に取り組んできたことは、確実な知識の積み重ね、理解力や文章力の向上につながっているはずです。皆さんが重ねた努力は決して裏切ることはありません。
さてこの間、大学としては、感染症拡大がいったんは沈静化に向かうかに見えた時期に、大学の機能を徐々に開放し、皆さんに大学の施設を利用してもらうことを試みました。まずは学修のために「図書館」の限定利用、就職活動支援のために「キャリアセンター」での対面相談を再開しました。これを第一段階として、もっと多くの皆さんを迎えられるような感染症防止体制の準備もしてきました。
しかし、残念ながら感染者数は再び増加に転じてしまい、拡大の一途をたどっています。現在の拡大傾向は前回を上回り、特に若い皆さんを中心とした感染が止まりません。また、秋から冬にかけてインフルエンザが流行する時期に「第二波」が来ると当初から予測されていたことはご存じの通りです。今の段階では、この秋の事態収束は想定しがたいところです。
こうした状況下で様々な検討を行ってきた結果、獨協大学は10月からの秋学期も遠隔(オンライン等)での授業を継続するという判断に至りました。
学生の皆さんとご家族の皆さまの健康と生命を守るため、地域にお住いの方々の安心と安全を守るための判断であることを理解していただきたいと思います。
一方で、学内での対面授業の設定も行うこととしました。実技・実習を伴う授業の一部と、各学部・学科において対面形式を必須とすると判断した授業については、土曜日の1時限、2時限に行う計画です。
土曜日に限定したのは、自宅などで受けているリアルタイム授業と大学での対面の授業が混在しては、通学に長時間を要する皆さんが受講できないからです。また、開講されるのは選択科目のみで、感染への不安を感じる皆さんや地方の実家で遠隔授業を受けている皆さんが必ずしも来学期に選択する必要のない科目です。したがって、この対面授業のためだけに、地方から首都圏に移動する必要はありません。
土曜日の午後は、通常は遠隔で行っている授業に関しても、補講等を対面で行うことができる時間として設定しました。感染が沈静化した段階で、先生方から一度対面での補講をやりたいのだがという相談がなされるかもしれません。こちらについても、出席できない皆さんに十分配慮することをお願いし、不利益が生じないようにします。
ただし、これらの対面授業は、感染症の拡大傾向に応じて変更する場合もありうることも付言させてもらいます。
以上の土曜日の対面授業の実施は、限定的ではありますが、図書館やキャリアセンターの一部利用再開に続き、まずは必要なことから、そして実現可能な部分から始めていこうとする現実的な対応だと理解してください。
秋学期には、先般行った学生アンケートに寄せられた皆さんの意見についても真摯に受けとめ、さらに授業の改善を図ります。皆さんの負担を軽減しつつも高い成果が生まれる授業方法、また、出席や課題の提出が確認できる方法、先生と受講する皆さんとの縦の関係ばかりではなく、受講生同士が横の連携をとることができる方法も含めて考えていきます。
この度は感染症拡大という外的な原因でこれまでの授業に関する変更を余儀なくされました。しかしながら、先生方にとっては、旧来とは違う授業の在り方をゼロから模索し、皆さんの学びの質が決して落ちることがないように努める機会となりました。先端的な機器やソフトを通して自学自修を促す指導、教材のより分かりやすい提示、明確な指示、提出課題に対する適切なコメントと評価など、秋学期に向けてさらに工夫をこらし、教育の質を高めるように引き続き先生方には再度お願いしたいと思います。学生の皆さんも、全世界で講義のデジタル化が進む中、新しい学びの方法を身につける契機として、今後の学修に取り組んでいただきたいと思います。
確実な予防策がない現在では、それぞれが接触を避け、感染の連鎖を断ち切る、遮断するしか拡大を防止する手段はありません。一人一人がその社会的責務を負っていると考えて行動してください。一刻も早くこの感染拡大が止まり、皆さんをキャンパスにお迎えしたいと願っております。それまで、皆さんの健康を心からお祈りしています。
以上