卒業・修了される皆さんへのメッセージ(3月20日)

卒業・修了される皆さんへのメッセージ(3月20日)

 ご卒業・修了おめでとうございます。獨協大学の教職員一同、皆さんのご卒業・修了を心からお祝い申し上げます。このたび学部を卒業する学生の数は、合計で1,940名、大学院の修了生は6名になります。 

 現在、新型コロナウイルス感染症は、国内外を問わず終息の様子を見せるどころか拡大と拡散の一途をたどっています。「大学は学問を通じての人間形成の場である」を建学の理念とする獨協大学は、言うまでもなく教育と研究の場であり、そこには自由な出会いと交流が保障されなければなりません。同時に、教育と研究、学修のための良好で安全な環境を、獨協大学にかかわるすべての人に提供しなければならないと考えています。今般の感染症は、そうした自由な出会いと交流のための良好な環境の維持を妨げるものです。この猛威を振るっている感染症を早期に終息させるために、卒業・修了される皆さんをはじめ、ご父母、教職員等すべての関係者の安全に配慮するとともに、感染症拡大を防止することが最重要課題であると考え卒業式・大学院学位記授与式中止という苦渋の決断をせざるをえませんでした。

 大学生活の最後の区切りとして、卒業生・修了生とご家族の皆様方にとって大切な節目となる式典を中止することは、大学としても残念でなりません。卒業式・大学院学位記授与式の有無にかかわらず、卒業生・修了生の皆さんにとって、獨協大学は皆さんの母校であり続けることは確かです。

 今、振り返ってみれば、皆さんにとっておそらくあっと言う間の大学生活だった気がするのではないかと思いますが、この間に、皆さんの知識量や技能、論理的思考力、他人を思いやる力など、大きく成長したはずです。また多くの友人や、かけがえのない恩師を得るなど、皆さんの生活の幅は随分と広がったものと思います。

 獨協大学はカント哲学の泰斗として知られる天野貞祐先生を初代学長として、1964年に草加の地に開学してから昨年55年を迎えました。皆さんは、獨協大学55年の歴史と、獨協大学の母体である獨協学園136年の歴史を掲げて、誇りと自信をもって、4月から社会人としての新たな歩みを始めることになります。天野貞祐先生が示された「大学は学問を通じての人間形成の場である」という本学の建学理念は、大学は単に学問を教授する場ではなく、教える者と学ぶ者が一体となって人間形成という営為を成し遂げる場であるということです。「人と自然と建物が調和する」この緑豊かな獨協大学のキャンパスで、貴方はどのような学びを究め、どのように人間性を高めることができたのでしょうか。それぞれが得たものを、これからの社会における活動の場で、存分に活かしていって欲しいと願っています。

 皆さんを迎える現代の社会は、ご存知のように未曾有の変化に直面しています。イギリスのEU離脱や、アメリカと中国の貿易戦争、朝鮮半島の非核化の動向、東アジアや西アジアの地政学的なリスク、そして今回の新型コロナウイルス感染症の拡大・拡散などによって、現在、世界を取り巻く状況が大きく変化し不安定化し、不確実化しています。しかし、世界的規模でのグローバリゼーションの流れは避けることができません。世界の政治経済をはじめ、もはや多国間の連携協力を前提としなければ進展しないほど大規模化・多様化しています。

 グローバリゼーションは、多様化と画一化の両面をもち合わせているのと同時に、格差社会の一因ともなっていて、誰もが自主独立を生き抜くことのできるような世界を創出しているとは言えないことも認識しておく必要があります。人とも自然ともつながりをなくし、自分で考えることすら放棄して、イデオロギーや強いリーダーや、暴力やテロなどに救いを求めている世界の状況が見てとれます。そして、国家主義と力の覇権が、個人を脅かす時代へと向かっています。客観的な事実だと思われることも、容易に信じられない時代に私たちはいると言えるのではないでしょうか。

 日本社会をめぐる状況が内外ともに、これほど激しく変動している時代にあっては、現状の仕組みや、私たちの思考方法を根本から疑う視点も持ち合わせながら、グローカルすなわち、グローバルであると同時にローカルな視点を持ち、情報を分析し、何が虚構で何が事実なのかを自ら判断し、決断し、行動することが求められます。

 本日卒業・修了の皆さん方には、これから働いたり活動したりする場所や内容がどのようなものであっても、常にグローバルであるとともにローカルな課題にも対応できるセンスとスキルと自信に、より一層の磨きをかけ、それを仕事に生活にフルに活用することで、揺るぎない人生を築いていただきたいと思っています。常に世界の動きとともに、足もとにも目を向け、人生を先手、先手で積極的に設計し、逞しく生き抜いて下さい。

 自然界と同じく、人生には照る日、輝く日ばかりではなく、雨の日も、風の日も、時に暴風雨の日もあるのです。 どのような境遇にあっても決して腐ることなく、夢や希望を持ち続けること、そして自分を磨く努力を日々怠らないことです。そして、それぞれの夢や希望をしっかりと持ち続け、自らを磨き上げて、やがて訪れるチャンスを確実に掴み取って下さい。

 最後に、獨協大学を巣立っていく全ての卒業生・修了生が、これから社会に出て有意義で幸福で健康な人生を歩んでいくことを祈念して、学長メッセージを終えることにします。皆さんのこれからのご活躍を、心からお祈りいたします。

2020年3月20日

獨協大学 学長 犬井 正

ページトップへ