『たむら市政だより』2025年12月号 川や海を守る、生活排水を汚さない小さな工夫
2026年1月20日
『たむら市政だより』12月号の連載記事「ちょこっとエコライフ~身近な省エネを実践しよう!~」Vol. 28「川や海を守る、生活排水を汚さない小さな工夫」に記載した生活排水処理に関する詳細やアクリルたわしの作り方について紹介いたします。
生活排水の種類について
生活排水の種類は、大きく分けてトイレから出る汚水と、台所・お風呂・洗濯などから出る生活雑排水の2つがあります。では、これらの排水はどのようにしてきれいな水に戻り、川や海へ還っていくのでしょうか。
排水の処理方法
下水処理場や家庭の浄化槽の中には、実は多くの微生物がすんでいます。私たちが流した汚水は、これらの微生物が汚れ(有機物)をエサとして食べ、分解してくれることによって浄化されます。つまり、汚水処理とは機械の力だけでなく、小さな生き物たちの力によって支えられているのです。
浄化槽の種類について
この処理を行う設備には、処理場へ管をつなぐ下水道と、各家庭の敷地内に埋める浄化槽があります。実は浄化槽には、性能が大きく異なる2つのタイプが存在することをご存じでしょうか。
1つ目は単独処理浄化槽です。これはトイレの汚水だけを浄化し、台所やお風呂から出る生活雑排水は、浄化されずにそのまま側溝や川へ流れてしまいます。2つ目は合併処理浄化槽です。こちらはトイレの汚水と生活雑排水の両方を一緒に処理できます。2001(平成13)年4月1日以降に浄化槽を新しく設置する場合、合併浄化槽の設置が義務付けられています。川や海を汚す原因の多くは、実は未処理のまま流される生活雑排水にあります。単独処理浄化槽を使い続けていると、この雑排水を垂れ流してしまうことになるのです。
田村市の生活排水処理の現状
図表1は、日本の主なし尿処理・生活排水処理システムを模式図にしたものです。日本では、し尿および生活雑排水を処理する施設は「下水道」、「農業集落排水施設」、「浄化槽」に分けられます。また、し尿だけを処理する施設として、「単独処理浄化槽」と「汲み取り便所」がありますが、「単独処理浄化槽」は2001年4月より原則新しく設置することができなくなり、「汲み取り便所」については。新しく設置されたものはほとんどありません。
[出典]環境省「日本におけるし尿処理・分散型生活排水処理システム」(https://www.env.go.jp/recycle/jokaso/publicity/pamph/)6ページを参照。
以下のグラフは、田村市における生活排水処理の現状の内訳を示したものです。
[出典]福島県田村市環境課「生活排水処理の現状と課題について」
(https://www.city.tamura.lg.jp/soshiki/59/assets/04_%25E8%25B3%2587%25E6%2596%25994_%25E7%2594%259F%25E6%25B4%25BB%25E6%258E%2592%25E6%25B0%25B4%25E5%2587%25A6%25E7%2590%2586%25E2%2580%25A6.pdf)6ページの「表2 生活排水処理形態別人口の実績及び生活排水処理率等」より作成。
図表2を見ると、下水道への接続や合併浄化槽の整備が進み、68.9%の方が適正な処理を行える環境にあります。しかし残りの31.1%のご家庭では、まだ単独処理浄化槽や汲み取り便槽を使用しているため、生活雑排水が処理されずに川へ流れています。また、下水道や合併浄化槽が整備されていても、油や汚れを大量に流せば、微生物による分解が追いつかず、処理施設に大きな負荷がかかります。水質汚濁の指標の一つであるBOD(生物化学的酸素要求量)を下げ、環境を守るためには、ハード面の整備(合併浄化槽への転換など)に加え、各家庭で「汚れの元を流さない」というソフト面の取り組みが不可欠です。
合成洗剤と環境負荷について
記事本文でも触れた通り、洗剤やシャンプーに含まれる「合成界面活性剤」は、汚れを落とす力が強い反面、水環境への影響も懸念されています。「適量を使う」「環境配慮型製品を選ぶ」ことに加え、「紙で拭くなどあらかじめ汚れを落とすことで、洗剤の使用量そのものを減らす」ことが、最も確実な環境保全策となります。そこで私たちが推奨するのが「アクリルたわし」の活用です。
アクリルたわしの作り方
アクリルたわしは、アクリル100%の毛糸で編んだたわしです。なぜ洗剤なしで汚れが落ちるのでしょうか?その秘密は繊維の構造にあります。アクリル繊維の表面には目に見えないミクロの溝があり、その溝が油汚れやホコリを削ぎ落として吸着してくれます。ここでは、船引小学校での授業でも実践した、簡単に作れるアクリルたわしの作り方をご紹介します。
用意するもの
- アクリル100%の毛糸玉(100均などに売っているもの)
- 縦10cm、横15㎝前後の段ボール(毛糸を巻き付けるのに使用)
- はさみ
作り方の手順
①毛糸の端を10cmくらい残し、段ボールにあてる。
②毛糸を段ボールに50回まきつける。
③段ボールを折り、毛糸をとりはずす
④毛糸を取りはずしたら、短い糸と長い糸を見つける。
⑤短い糸を毛糸に3回まきつけ、長い糸と短い糸でむすぶ。
⑥長い部分をはさみで切る。
⑦毛糸をほぐしたら、完成!!
今日からできるアクリルたわし以外の工夫
アクリルたわしを使う以外にも、図表3のようなすぐにでもできる対策はたくさんあります。とくに以下の3つを意識するだけで、環境負荷は下がります。
- 汚れは「拭き取って」から洗う
油汚れのひどい皿やフライパンは、古紙やボロ布で拭き取ってから洗いましょう。マヨネーズ大さじ1杯を流すと、魚が棲める水質に希釈するには、お風呂約13杯分の水が必要と言われています。 - 三角コーナーには水切りネットを
細かな食品カスも有機物であり、水の汚れの原因になります。 - 適量を守る
洗剤やシャンプーは、メーカーが推奨する適量を守りましょう。多く使っても洗浄力は変わらないことが多いです。
[出典] 環境省 全国生活排水対策連絡協議会・全国生活排水対策重点地域指定市町村連絡協議会「生活排水読本ー広げよう キレイな水のある暮らし」(https://www.env.go.jp/water/seikatsu/pdf/all.pdf)を参照。
私たちが何気なく流しているその水は、地域の川へ、そして海へと繋がっています。田村市の豊かな自然を守るため、ぜひ今日からアクリルたわしを取り入れてみてください。
法律学科3年 中尾 交流文化学科2年 有泉