『たむら市政だより』6月号 エアコンの快適な省エネ方法

『たむら市政だより』6月号 エアコンの快適な省エネ方法

『たむら市政だより』6月号の連載記事「ちょこっとエコライフ~身近な省エネを実践しよう!~」Vol. 10「エアコンの快適な省エネ方法」」のエアコンの省エネ効果の算出根拠や エアコンの効率のよい使い方 について説明します。

エアコンのフィルター清掃をしたときの省エネ効果

資源エネルギー庁「省エネポータルサイト」では、フィルターが目詰りしているエアコン(2.2kW)とフィルターを清掃したエアコンの消費電力を比較して、エアコンのフィルター清掃による省エネ効果を算出しています。ここでは、その消費電力の削減量に、最新の東北電力の金額換算係数とCO2排出係数を用いて、年間料金と年間CO2排出量の削減量を計算しました。

エアコンフィルターの清掃前と清掃後の省エネ効果

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  単位 年間削減量
(各単位)*1
金額換算係数
(単位当たり円)*2
年間料金(円) CO2排出係数
(㎏-CO2*3
年間CO2排出量 (㎏-CO2
エアコン kWh 31.95 26.27 840 0.477 15.2
[出典]

最近では「お掃除機能付きエアコン」も登場してきており、忙しくてこまめに掃除ができない人、高所での作業が苦手な人にはおすすめです。「お掃除機能付きエアコン」はフィルターに溜まったホコリを自動できれいにしてくれます。そのため、フィルター掃除の手間を軽減できます。また、商品によっては、「内部クリーン」と書かれたリモコンもあり、エアコン内部を洗浄してくれる機能を搭載したものもあり、自動掃除機能とは異なり、送風により内部を乾燥させてニオイを抑制してくれる効果があります。
しかし、何もしなくて良いわけではありません。自動掃除機能はフィルターに付いたホコリや塵などを取ってくれますが、ゴミが溜まるダストボックスの中身は定期的に捨てなければいけません。また、こびりついてしまった汚れなどなかなか落ちない汚れなどもあるので、注意です。
メリット・デメリットを理解したうえで、お掃除機能付きエアコンを購入してみるのも良いかもしれません。

エアコンの冷房設定温度を1℃上げた時の省エネ効果

エアコンの冷房設定温度を1℃上げた時の省エネ効果についても、資源エネルギー庁「省エネポータルサイト」に掲載されています。そこでは外気温度31℃で、エアコン(2.2kW)の冷房設定温度を27℃から28℃に1℃上げた場合(使用時間:9時間/日)を想定して省エネ効果を算出しています。
ちなみに、「省エネポータルサイト」には、冷房と比較して消費電力量が多い暖房の場合についても、外気温度6℃で、エアコン(2.2kW)の暖房設定温度を21℃から20℃に1℃下げた場合(使用時間:9時間/日)を想定して省エネ効果を算出しています。
以下の表は、最新の東北電力の金額換算係数とCO2排出係数を用いて、年間料金と年間CO2排出量の削減量を計算したものです。

エアコンの設定温度を変更した場合の省エネ効果の算出根拠

横にスクロールできます→
  単位 年間削減量
(各単位)*1
金額換算係数
(単位当たり円)*2
年間料金(円) CO2排出係数
(㎏-CO2*3
年間CO2排出量 (㎏-CO2
冷房 kWh 30.24 26.27 790 0.477 14.4
暖房 kWh 53.08 26.27 1390 0.477 25.3
[出典]

エアコンの効率のよい使い方

エアコンのフィルター清掃や外出時にカーテンを閉めることで室内温度の上昇を抑えることを本文内に掲載しましたが、エアコンを快適に使いながら、電気代を節約するための賢い使い方について紹介します。

1.「空気の通り道」を確保する―室外機のまわりをスッキリさせましょう―

「空気の通り道」を確保するために本記事では、フィルター掃除の説明をしましたが、ほかにもしておかなければいけないことがあります。それは、室外機のまわりをスッキリさせておくことです。室外機には室内の熱を逃がす役割があります。そのため、室外機周辺に障害物などがあると吸込口や吹出口がふさがれてしまい、熱を効率的に逃すことができず、無駄な電力消費につながります。室外機の周りには、余計なものは置かないようにしましょう。

室外機まわりの適切な環境
適切な室外機まわりの適切な環境
適切でない室外機まわりの適切な環境

2. 「エアコンの心臓」圧縮機の安定運動

エアコンは、室内機で集めた室内の熱を冷媒というガスにのせて、室外機から外に逃がし、部屋を涼しくしています。その冷媒を循環させる役割を担っているのが、「圧縮機」です。圧縮機を動かす消費電力は全体の約80%にもなるので、圧縮機の負担を減らすことが省エネにとってポイントとなります。
圧縮機の負担を減らす仕組みは3つあります。

  1. スイッチのオン・オフを控えましょう
    エアコンはスイッチを入れた直後に勢いよく部屋を冷やそうとします。その時に圧縮機は多くの熱を運ぶため運動の力を強めます。その後、部屋が適温になるとそれを維持しようと力を落とします。そして部屋が暖かくなると動きを強めます。オン・オフを繰り返してしまうと圧縮機への負担が高まる頻度が多くなってしまい、消費電力が増加します。ダイキンの実験では日中30分ほどの外出であれば、オフにするよりもつけっぱなしのほうが電気代は節約につながったという結果があります。
  2. 風量を調整しましょう
    早く部屋を冷やしたいとき、室温を低くしようとするときがあると思います。しかし、設定温度を下げると、より多くの熱を運ばなければならず、圧縮機の負担が多くなってしまいます。そんなときは設定温度を下げる代わりに、風量を上げるとよいです。風量を上げるとファンの音が大きくなり、多くの電力を使用していると感じますが、ファンが使う電力は圧縮機が使う電力よりもとても少ないので、省エネかつ電気代の節約につながります。
  3. 「風量自動」を活用しましょう
    節電のために風量を弱めにすると、熱を集めるのに時間がかかってしまい、その分圧縮機に負荷がかかり、余計な電気を使ってしまいます。むしろ風量自動に設定すると、熱をどんどん運び出し、素早く部屋を涼しくします。また、必要な分の熱を減らし、その後は温度維持のために安定運転を続けてくれます。

3. 部屋の温度のムラをなくす

暖かい空気は上昇する傾向があり、冷房を使用していると、天井付近と床付近とでは空気の温度に差が出てしまいます。エアコンは一般的に高い位置にあり、室内機が空気を吸い込んで室温を判断します。温度にムラがある部屋だと床付近は十分に涼しく感じていても、天井付近の暖かい空気を吸い込んで「設定温度に達していない」と判断し、必要以上の運転をしてしまう可能性があります。
温度のムラをなくすポイントは2つあります。

  1. 風向を「水平」にしましょう
    冷たい空気は床付近にたまる傾向があります。そのため、最初から「下向き」にするのではなく、上から下に冷気が自然に下りるようにすることで、温度のムラを抑え、電気代の節約につながります。 また、エアコンの風が直接当たる不快感などを和らげることにもつながります。
  2. 空気清浄機を活用しましょう
    風向を「水平」にするのにプラスして、空気清浄機や扇風機、サーキュレーターを使用するとさらに温度のムラを抑えることができます。エアコンと向かい合わせに置き、ななめ上、天井方向に風を吹き出すようにすると、室内の空気をかき混ぜて温度のムラを和らげることができます。
空気清浄機を活用して温度のムラを和らげる仕組み
空気清浄機を活用して温度のムラを和らげる仕組み

国際環境経済学科4年 丹野