所長メッセージ「環境共生研究所」
環境共生研究所所長
秋本 弘章
現代社会を考えるうえで、欠かせない視点として3つのEがあるといわれています。すなわち、Economy(経済)、Ethnicity(民族性),EcologyもしくはEnvironment(生態系、環境)です。
昨今に至るまで、人類の生活は、「環境」に支配されていました。その中で、環境による制約からの解放こそが、豊かさをもたらすと考えられてきました。すなわち、「開発」=「自然環境の改変」が重要視されてきたのです。もちろんその開発の過程において、いくつもの問題が発生しましたが、やむを得ない事象であるととらえられてきました。
日本においても高度経済成長期に発生した「公害」問題は、裁判を通じて、表面的な問題の解決は図られましたが、問題の本質は取り残されていました。その後経済のグルーバル化の進展に伴い、環境問題もグルーバルな課題として認識されるようになりました。
今日、世界で最も多くの温室効果ガスを発生させている国は中国であるといわれています。これは中国が世界有数の工業製品輸出国であり、製造工程において大量の温室効果ガスが排出されるためです。一方で先進国では温室効果ガスの発生は抑えられているようですが、これは中国などに製造工程を移転させた結果であるとも考えられます。つまり、先進国は温室効果ガスを抑制するために、工場そのものを輸出したということができます。一方、中国では工場を受け入れることで経済発展を享受してきたのです。
すなわち、環境問題は単なる自然の問題ではなく、社会や経済あるいは倫理的な問題としてとらえていくことが必要となっています。ここに人文社会系を中心に教育研究を進めてきた獨協大学環境共生研究所の意義があるものと考えます。
ところで、本研究所は2007年に犬井正教授(元学長、現名誉教諭)を所長として設立されてから、本年度で20年になります。これまでの研究成果を踏まえてさらなる研究・教育活動の深化を進めていきます。
2026年4月1日 環境共生研究所 秋本 弘章
プロフィール
秋本 弘章
あきもと ひろあき
| 1962年 | 埼玉県生まれ | |
| 1985年 |
筑波大学第2学群比較文化学類卒業 埼玉県立高等学校、東京学芸大学附属高等学校を経て |
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| 2000年 | 獨協大学経済学部専任講師(社会科教育・地理学) | |
| 現在 | 獨協大学経済学部教授 公益社団法人日本地理学会理事 |
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| 主著 |
『地理学辞典』丸善・2023年(編集委員) |