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『たむら市政だより』2026年4月号 衣類の環境負荷や循環の現状とサステナブルファッションについて

『たむら市政だより』2026年4月号 衣類の環境負荷や循環の現状とサステナブルファッションについて

2026年10月16日

『たむら市政だより』4月号の連載記事「ちょこっとエコライフ~身近な省エネを実践しよう!~」Vol. 31「衣類廃棄を減らしてサステナブルファッションに!」に記載した衣類の環境負荷や循環の現状とサステナブルファッションについて紹介いたします。

衣服の環境負荷

 図表1をみると、衣服には原材料調達段階から製造段階までに環境に大きな負担を掛けて製造されていることがわかります。例えば原材料の段階では、コットンなどの天然繊維は栽培時に多くの水を使い、化学肥料による土壌汚染などの問題も指摘されています。ポリエステルなどの合成繊維の場合も、石油資源を使い、製造時にはCO₂が排出されます。また、原材料や完成した服を輸送する過程でもCO₂が排出されます。原材料の調達から製造・輸送までを含めると、衣服1着あたりに換算すると約25.5kgのCO₂が排出され、約2,300Lもの水が使われていると言われています。また、生地を裁断した際に出る端材も年間約45,000tにのぼり、これは約1.8億着分の生地となるということです。
 このように、衣服1着ができるまでに多くの資源が使われていることがわかります。これを踏まえると、たとえ1着でも服を捨てるということが、どれだけもったいないことなのか気付かされます。それにもかかわらず、多くの衣服は可燃ごみや不燃ごみとして排出され、焼却や埋立てなどによって処理されているのが現状です。

図表1. 衣服の環境負荷
衣服の環境負荷

[出典]環境省「脱炭素ポータル」「サステナブルファッション―これからのファッションを持続可能に―」
(https://ondankataisaku.env.go.jp/carbon_neutral/topics/20210621-topic-05.html)より引用。

 衣類のCO₂排出量について詳しく見てみると、図表2に示した環境省の令和2(2020)年度調査による推計では、国内に供給される衣類のライフサイクル全体(原材料調達から廃棄まで)で約95,230千t-CO₂が排出されるとされています。比較対象となる世界の衣類によるCO₂排出量の2018年推計値、約2,106百万t-CO₂の4.5%に相当します。輸送までの上流段階で全体の94.6%を占めており、廃棄に関してはわずか1.2%に過ぎません。
 なお、図表1にある「原材料調達から製造・輸送段階まで」の衣服1着あたりのCO₂排出量は、図表2の原材料調達から輸送までのCO₂排出量を合計した90,090千t-CO₂を使って、これを2019年時点における服の国内供給量約35.3億着で割って1着当たり25.5kg-CO₂と算出したものです。

図表2. 国内に供給されている衣類のライフサイクルにわたるCO₂排出量
国内に供給されている衣類のライフサイクルにわたるCO₂排出量

[出典]環境省「令和2年度 ファッションと環境に関する調査業務―『ファッションと環境』調査結果―」2020.3 株式会社日本総合研究所リサーチコンサルティング部門事業開発・技術デザイン戦略グループ
https://www.env.go.jp/policy/pdf/st_fashion_and_environment_r2gaiyo.pdf)、16ページより引用。

衣類の環境負荷や循環の現状

 図表3は2024年版の衣類のマテリアルフローを示したものです。これによると、2024年の国内生産2万tと輸入81万tを合わせて、若干の輸出0万tを差し引いて82万tの衣類が国内の販売業者に供給されています。そのうち77万tの衣類が家庭に販売され、67万tの衣類が家庭から排出されています。そのうち可燃・不燃ごみ等として廃棄される48万tと、資源として回収されたもののリサイクルやリユースされなかった3万tを合わせて51万tが焼却・埋立・サーマルリカバリーにより処理されているので、家庭から排出された67万tの約8割(76%)が焼却等により処理されたことになります。

図表3. 2024年版 衣類のマテリアルフロー
2024年版 衣類のマテリアルフロー

[出典]環境省「衣類の資源循環システム構築に向けた現状」令和7年10月(https://www.env.go.jp/content/000349540.pdf)を参照。

「繊維to繊維リサイクル」って何?

 「繊維to繊維リサイクル」とは、製品を繊維に戻して、再び衣類などの新しい製品に生まれ変わらせるリサイクル方式です。図表4に示すように、家庭から排出された衣料品のうち、廃棄されずに再利用される方法は、リユース、ウエス化、反毛化、ケミカルリサイクルの4種類があります。反毛化では使用済み衣料を繊維状に戻し、新たな糸や不織布などとして再利用します。ただし、反毛化された繊維のすべてが再び衣料品になるわけではなく、自動車内装材などにも利用されています。経済産業省では、現時点の統計上、反毛リサイクルを含めて「繊維to繊維リサイクル」を約2.8万tと推計しています。

図表4. 衣料品の再使用・再生利用
衣料品の再使用・再生利用

[出典]経済産業省「繊維製品における資源循環ロードマップの進捗」2026年1月、製造産業局生活製品課
(https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_education/meeting_materials/assets/consumer_education_cms202_260304_03.pdf)6ぺージより引用。

 しかし図表5を見ると、経済産業省の推計では、反毛リサイクルを含む「繊維to繊維リサイクル」は約2.8万tで、家庭から排出される衣類67万tの約4%にとどまっています。一方、67万tのうち約14%は海外輸出や国内リユースなどに回っています。

図表5. 衣料品のリサイクル
衣料品のリサイクル

[出典]経済産業省「繊維製品における資源循環ロードマップの進捗」2026年1月、製造産業局生活製品課
(https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_education/meeting_materials/assets/consumer_education_cms202_260304_03.pdf)7ぺージより引用。

サステナブルファッションのススメ

 「繊維to繊維リサイクル」がまだ技術面や価格面での制約があって確立されていない今、家庭から可燃・不燃ごみとして廃棄される衣類を削減(リデュース)する取り組みが大事になってきます。家庭から可燃・不燃ごみとして廃棄される衣類を減らすためには、私たち一人ひとりが服との付き合い方を見直すことも大切です。こうした、衣服の生産から販売、着用、廃棄まで、環境や人、社会に配慮する考え方を「サステナブルファッション」といいます(注*)。サステナブルファッションは「サステナブルな服」というある特定の商品群だけを指すのではなく、服との付き合い方全体を持続可能なものに変えていく考え方や取り組みなのです。

(注*)環境省、経済産業省及び消費者庁では、繊維製品にかかる過程から生じる環境負荷の低減を図り、国内のファッションを持続可能なものとしていくために、サステナブルファッションを推進しています。そこでは、「サステナブルファッション」を、衣服の生産から販売、着用、廃棄に至るプロセスにおいて将来にわたり持続可能であることを目指し、生態系を含む地球環境や関わる人・社会に配慮した取組のことと定義しています。 環境省報道発表2026年08月06日「サステナブルファッション・パートナーを募集します!」(https://www.env.go.jp/press/press_05393.html)を参照。

 環境省は、サステナブルファッション・キャンペーンにおけるコンセプトを図表6のように公表しています。また、図表7と8は、環境省がそれぞれサステナブルファッションに向けたアクションとイメージをまとめたものです。まず、1年以上着ていない、クローゼットに眠っている服を見直してみましょう。まだ着られる服は、リサイクルショップに持ち込んだり、必要とする人に譲ったりすることで、長く活用できます。新しく服を購入するときにも、本当に必要かを考え、環境に配慮した素材や長く着られる品質・デザインのものを選ぶことが大切です。購入した服は、洗濯や保管、修理などを工夫しながら、できるだけ長く着てみましょう!

図表6. サステナブルファッション・キャンペーンにおけるコンセプト
~「衣替え」でクローゼットから循環をはじめよう~
  • 〇今ある衣類を点検し、お手入れしながら愛着をもって大切に着続け、捨てる選択肢が減るように。
  • ・長く愛用した服でしか出せない、着れば着るほど馴染む独特のこなれた着用感と色合いを楽しんでみる。
  • ・古くなったと感じる服でも、お直しやリペアで手を加えて、新たな魅力を再発見してみる。
  • 〇「もう着ない」衣類はリユースを、「もう着られない」衣類はリサイクルを。資源を次のひと・世代へ。
  • ・もう着ないと思っても、他の人、別の世代の人には新鮮なデザインかもしれない。リユースをして、衣替えを「宝探し」にしてみる。
  • ・身近に衣類の回収スポットがあるか、衣替えの機会に探してみる。
  • 〇生産地や品質やデザインの面で「価値ある一着」を選び、クローゼットにお迎えを。
  • ・衣替えのタイミングで、流行りが終わって着なくなってしまった衣類が無いか、確認してみる。
  • ・衣服を選ぶ際には、何シーズン着られそうか、自分のライフスタイルにあったものなのかを考えてみる。
  • ・買い物の際は、タグやラベルを見たり、店員さんに聞いたりして、衣服の素材や生産地、製造過程など、その一着ならではの衣類の物語と魅力に目を向けてみる。
  • 〇リユース品、バイオ繊維やリサイクル繊維などのサステナブル素材を使った衣類にも目を向けて、その服ならではの背景や魅力を楽しみながら選んでみる。
  • ・リユース品やリサイクル素材を使った衣類が、どのようにつくられ、次につながっているのかを知ってみる。
  • ・価格等だけでなく、自分にとって心地よく、長く着たいと思える一着かどうかを、背景も含めて選んでみる。

環境省報道発表資料2026年06月05日「サステナブルファッションに関するキャンペーンで用いるロゴマーク及びキャッチコピーを募集します」
(https://www.env.go.jp/press/press_04896.html)を参照。

図表7. サステナブルファッションに向けたアクション
 サステナブルファッションに向けたアクション

[出典]環境省「第四次循環基本計画の第2回点検及び循環経済工程表の策定について」(参考資料)(https://www.env.go.jp/content/000083904.pdf)、99ページ。

図表8. サステナブルファッションのイメージ
サステナブルファッションのイメージ

[出典]環境省「第四次循環基本計画の第2回点検及び循環経済工程表の策定について」(参考資料)(https://www.env.go.jp/content/000083904.pdf)、100ページ。

国際環境経済学科 米山