『たむら市政だより』2025年6月号 省エネ効果の算出根拠とエコな使い方
2025年6月1日
『たむら市政だより』6月号の連載記事「ちょこっとエコライフ～身近な省エネを実践しよう！～」Vol. 22「冷蔵庫でかしこく省エネ」で記載した、冷蔵庫の省エネ効果の算出根拠とエコな使い方について解説します。
省エネ効果の算出根拠
冷蔵庫の使い方を少し見直すだけで、大きな省エネ効果が得られます。まず、物を詰め込みすぎないことです。冷蔵庫に物を詰め込みすぎると、冷気の循環が悪くなってしまい、温度を保つために温度調節機能が稼働し続けることで、消費電力が無駄に増えてしまうのです。
また、冷蔵庫に物を詰め込みすぎてしまうと、冷気が全体に行き渡らず、庫内の温度が上昇しやすくなります。それによって、食品が痛みやすくなってしまい、食品ロスの原因にもなります。食品を収納するときは、7割を目安として、奥の壁が見える程度に隙間を開けることがよいとされています。そして、必要以上に食品を買い過ぎないようにしましょう。これに関する省エネ効果の算出根拠は図表1にまとめてあります。
資源エネルギー庁「省エネポータルサイト」によると、冷蔵庫の中身を詰め込んだ状態から半分に減らした場合、年間の電力削減量は43.84(kWh)となるという試算があります。図表1の1つ目の表は、この電力削減量に電気料金の換算係数28.94(円/kWh)をかけて、年間で約1,270円の節約となると計算されます。
また、年間の電力削減量43.84(kWh)にCO2排出係数0.402(kg-CO2/kWh)をかけて、年間で約17.6(kg-CO2)の排出削減となると計算されます。
また、庫内の量を半分にすることで冷気の循環が良くなり、温度設定を「強」から「中」に下げても十分に冷却効果が得られます。図表1の2つ目の表はこの設定変更による削減効果を計算したものですが、年間43.84(kWh)の電力削減量になるという試算から、電気料金で約1,790円の節約、CO2排出量は約24.8(kg-CO2)の削減となると計算されます。
*1 年間使用量は、経済産業省資源エネルギー庁「省エネポータルサイト―家庭向け省エネ関連情報 無理のない省エネ節約―」の冷蔵庫
*2 金額換算係数
電気は、東北電力従量電灯Bの電力量料金120kWhをこえ300kWhまで36.37円-燃料費調整単価7.43円(2025年6月)より算出。
従量電灯B
燃料費等調整単価表
*3 「年間電気料金削減額」は、100未満の数を十の位で四捨五入して算出。
*4 CO2排出係数
電気は、環境省「電気事業者別排出係数一覧 令和7年提出用 (株)東北電力」より参照。
冷蔵庫のエコな使い方
冷蔵庫は少し使い方を工夫するだけで、エコにつながります。上で説明した取り組み以外のものについては以下のような点に注意しましょう。
冷蔵庫のドアを開ける回数や、開けている時間を短くする
冷蔵庫を必要以上に開け閉めしないようにしましょう。また、開けるときにはさっと必要なものを取り出して、すぐに閉めるようにしましょう。これも庫内の温度を上げないようにするポイントです。記事に書きましたが、何をどこに入れたかわからなくなるということを経験したことがある方も多いと思いますが、食品を詰め込み過ぎないことで、ドアを開けて探す時間を短くできるので、この点からも詰め込まないことがエコなのです。
冷蔵庫は壁から適切な隙間をあけて設置する
これは冷蔵庫を買い替えて設置する時に注意して欲しいことですが、設置場所ピタリのサイズで設置するのではなく、若干壁との間に適切な隙間を確保することが大事です。壁とピッタリくっついていると放熱スペースが確保できず、冷蔵庫の寿命が縮んだり、電気代が余分にかかる原因になります。近年の冷蔵庫は昔の冷蔵庫よりも冷却効率が良くなり省エネ対策も施されていますが、冷蔵庫の左右の側面は5㎜以上の隙間を確保しましょう。冷蔵庫の上から天井までは5㎝ほどの隙間を確保しましょう。でも、冷蔵庫によっては、冷蔵庫の上に物を置くことができる製品もあるということですから、購入する際に確認しましょう。なお、冷蔵庫の背面は、隙間を空ける必要はないということです。
冷蔵庫の側面や前面に紙などを貼らない
冷蔵庫の側面や前面に、献立表、レシピなど貼っているご家庭も多いのではないでしょうか。冷蔵庫のドアに庫内に入っている食品のメモを貼っておくと、一見、ドアを開けてから探す手間が減らせてエコのように思えます。しかし、上で述べたように、冷蔵庫の側面や前面からは熱が逃げる仕組みになっていますので、紙を貼ることで、その熱が逃げにくくなってしまい、その分消費電力が上がってしまうので、冷蔵庫に紙などを貼るのはよくないのです。
[参考文献]
経営学科2年 高橋