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授業情報/Class Information

科目一覧へ戻る/Return to the Course List 2023/03/22 現在/As of 2023/03/22

基本情報/Basic Information

開講科目名
/Course
日本法制史特殊研究/ADVANCED SEMINAR ON LEGAL PHILOSOPHY
開講所属
/Course Offered by
大学院/
ターム・学期
/Term・Semester
2023年度/2023 Academic Year  春学期/SPRING SEMESTER
曜限
/Day, Period
木2/Thu 2
開講区分
/semester offered
通年/Yearlong
単位数
/Credits
4.0
主担当教員
/Main Instructor
小栁 春一郎
科目区分
/Course Group
大学院科目 研究指導科目

担当教員情報/Instructor Information

教員名
/Instructor
教員所属名
/Affiliation
小栁 春一郎 法律学科/LAW
授業の目的・内容
/Course Objectives
本特殊研究は,法学研究科博士後期課程における「学位授与方針(DP)」の「学位の裏付けとなる『能力』」の「研究倫理を踏まえつつ,総合的,専門的,また学際的な特に優れた教育・研究を行える能力」の獲得を最終的な目標としつつ,「教育課程の編成・実施方針(CP)」のうち「法学・政治学の発展に資する自立した研究者」養成を目的として,主体的・自律的に,明確かつ適切な主題を設定し,論証に合致した手法を選択し,適切な先行研究をふまえ,適切な章立て・文章表現・引用を行い,正確かつ明確な結論を示す論文を作成する能力を身につけることができるよう(DP参照),演習形式で高度の専門性を要する議論を行うことを内容とする。
 授業の具体的な内容と計画は「授業計画詳細情報」に記載の通りであるが,ここに掲げられた項目はあくまで一例であり,受講生が取り組む主題との関連付けも考慮される。受講生は,外国の動向を考慮した国際的視野に立ち,積極的に社会の問題に関心を持ち,合理的な分析に基づいた,論理的・説得的な解決策を追究する能力を獲得できるよう(DP参照),各回において当該主題の特定の部分に関する報告資料を事前に作成し,特殊講義において報告し,指導教員からの指導を受け,適宜その内容等を修正する。
 具体的には,受講生は,民法典の成立後の借地借家法制や判例・学説の展開を素材に,近代日本の法制度・法思想の展開について修得し,自己の分析を説得力ある形で展開する。受講生は,春学期では,主として戦前期及び戦後占領期の判例・学説を取り上げ,秋学期は昭和40年代の借地法等改正に関連した問題やその後の平成3年の借地借家法制定,その後の法改正を辿り,その意義を解明しうるようになる。
授業の形式・方法と履修上の注意
/Teaching method and Attention the course
 本特殊研究は、原則として演習形式で行われる。受講生には、毎回、各自が設定した主題の特定の部分について、十分な準備に基づいて、資料を作成し、報告することが求められる。報告の内容については、授業内外において、特にその理解が不十分であると思われる箇所を中心に、指導教員から、学術論文等の必要な資料等が提示され、これに基づき補足説明等が行われる。これにより、受講者が設定した主題を総合的かつ精緻に理解することが可能となる。
 本特殊研究は,対面授業の形式で行う。なお,これが大学院側の事情により,実施不可能な場合は,zoom等による遠隔授業により行う。いずれの場合でも,質問等を頻繁に行い,双方向となるようにする。
事前・事後学修の内容
/Before After Study
 事前学修として,前回において指摘された文献を調査し,事前学修用資料を読了し,問題意識を明確化し,かつその体系的位置づけを考えることが必要である(2時間)。
 事後学修として,各回において与えられた課題・参考文献を読了し,各回特殊研究の内容を論点化することが必要である(2時間)。
テキスト1
/Textbooks1
書籍名
/Title
著者
/Author name
出版社
/Publisher
ISBN
/ISBN
その他(任意)
/other
テキスト2
/Textbooks2
書籍名
/Title
著者
/Author name
出版社
/Publisher
ISBN
/ISBN
その他(任意)
/other
テキスト3
/Textbooks3
書籍名
/Title
著者
/Author name
出版社
/Publisher
ISBN
/ISBN
その他(任意)
/other
参考文献等1
/References1
書籍名/サイト名
/Title
日本の土地法(第三版)
著者
/Author name
稲本洋之助・小栁春一郎・周藤利一
出版社/URL
/Publisher
成文堂
ISBN
/ISBN
4792326885
その他(任意)
/other
参考文献等2
/References2
書籍名/サイト名
/Title
震災と借地借家
著者
/Author name
小栁春一郎
出版社/URL
/Publisher
成文堂
ISBN
/ISBN
4792324157
その他(任意)
/other
参考文献等3
/References3
書籍名/サイト名
/Title
著者
/Author name
出版社/URL
/Publisher
ISBN
/ISBN
その他(任意)
/other
評価方法
/Evaluation
 出席を当然の前提とした上で、各回の報告内容及び指導教員からのフィードバックに基づく修正内容(100%)を基に、受講生が設定した主題について、学術的見地から精緻な分析・整理を行い、当該内容に関連して学術的に高度な議論を自立的かつ体系的に展開正確かつ明確な結論を示す論文を作成することができる能力が身についているか否か(DP参照)という観点から評価する。
備考
/Notes
関連科目
/Related Subjects
到達目標
/Learning Goal
日本法制史の分野における特定の研究課題について、学術的見地から精緻な分析・整理を行い、当該内容に関連して学術的に高度な議論を自立的かつ体系的に展開できるようにする。

/Time
授業計画(主題の設定)
/Class schedule
授業の内容
/Contents of class
事前・事後学修の内容
/Before After Study
1 借地借家法史の概要 不動産の利用において極めて重要な役割を果たす借地借家権法の主な問題点である,対抗力,存続期間,借地権・借家権の譲渡転貸,賃料不払い対策などの諸論点について概括的に把握する。
2 民法典不動産賃貸借法の問題① 民法典の不動産賃貸借規定を概観し,債権的構成が特徴であること及び賃借人保護に欠ける点が多かったことを理解し,物権と債権の基本的相違について明確化する。
3 民法典不動産賃貸借法の問題② 民法不動産規定は,不動産賃借権の対抗要件を登記としたが,それは,旧民法典に由来することを把握する。
4 建物保護法の成立① 建物保護法前史として,地震売買の弊害がどのようなものであったかを判例を中心に解明する。
5 建物保護法の成立② 建物保護法の意義及び重要判例について理解し,民法体系において位置づける。
6 借地法・借家法の成立① 借地法・借家法制定前の帝国議会における立法運動を概観し,借地法・借家法の特徴を把握する。
7 借地法・借家法の成立② 借地法・借家法制定後の重要裁判例を分析・検討・体系化する。
8 借地借家調停法の成立① 借地借家制度と密接に関連する調停法について,その他の調停制度の発達と関連させながら把握する。
9 借地借家調停法の成立② 借地借家調停が大きな意義を果たした関東大震災後の借地借家問題を資料に基づき解明する。
10 借地借家臨時処理法の成立① 関東大震災後の借地借家問題の解決のための借地借家臨時処理法が,罹災借家人に優先借家権を与えたことを,同法の制定前の裁判例との関連で把握する。
11 借地借家臨時処理法の成立② 借地借家臨時処理法の裁判例を検討し,優先借家権が実際に認められた例が非常に少ないことを解明・分析する。
12 罹災都市借地借家臨時処理法① 第二次大戦後の戦災復興のため,罹災都市借地借家臨時処理法が制定され,罹災借家人に優先借地権を認め,多くの紛争の原因となったことを分析・解明する。
13 罹災都市借地借家臨時処理法② 優先借地権と建物保護法との関連を明確化する。
14 罹災都市借地借家臨時処理法③ 優先借地権と土地区画整理との関係を分析・解明する。
15 正当事由制度の裁判例 正当事由の裁判例を検討し,借主・貸主の必要度比較方式が主流になったことを理解し,その法的意義を解明する。
16 信頼関係理論判例の展開① 判例は,借地人・借家人の軽微な賃料不払い等への救済法理として,信頼関係理論を使っていることを具体的裁判例との関連で明確化する。
17 信頼関係理論判例の展開② 借地権・借家権の無断譲渡・天体に対する賃貸人の解除権を制限するために,判例が,信頼関係理論を採用していることを明らかにする。
18 昭和41年借地法等改正① 昭和41年借地法・借家法改正が,借地権譲渡に関連して,裁判所の許可制度を設けたことなどを制定前の最高裁判決との関連で,明確化する。
19 昭和41年借地法等改正② 昭和41年借地法改正が設けた借地非訟の制度を,訴訟・非訟に関する最高裁の理論の中で位置付ける。
20 立退料関連判例法理① 賃貸人が,正当事由の補完事由として,立ち退き料を提供することができることを認めた判例等を分析・体系化する。
21 立退料関連判例法理② 立ち退き料さえ払えば,正当事由が具備することになるのかなど,立ち退き料関連裁判例を分析し,判例理解を明確化する。
22 借地借家法の成立① 平成3年成立の借地借家法について,とりわけ定期借地権がなぜ設けられたかを明らかにする。
23 借地借家法の成立② 造作買取請求権などに関する借地借家法の意義を解明する。
24 定期借地権の実際 定期借地権が当初戸建て分譲住宅供給のために使われたことを当時の資料分析等をもとに解明する。
25 定期借地権の近時のあり方 現在では,定期借地が戸建て分譲のために使われることはほとんどないこと及びその理由を解明する。
26 定期借地に関する裁判例 平成11年借地借家法改正で設けられた定期借家権の制度的特徴及び裁判例を検討し,その分析を明確化する。
27 災害と借地借家 阪神・淡路大震災での借地借家紛争の特徴を明らかにし,災害と法という新たな分野が生まれたことを明らかにし,法学の歴史の中に位置づける。
28 借地借家法の意義 近代日本の歴史において,借地借家の法制度がどのような役割を果たしたかについて明確化する。

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