シラバス参照/View Syllabus

授業情報/Class Information

科目一覧へ戻る/Return to the Course List 2023/08/29 現在/As of 2023/08/29

基本情報/Basic Information

開講科目名
/Course
倒産法/INSOLVENCY LAW
開講所属
/Course Offered by
法学部法律学科/LAW LAW
ターム・学期
/Term・Semester
2023年度/2023 Academic Year  秋学期/FALL SEMESTER
曜限
/Day, Period
木2/Thu 2
開講区分
/semester offered
秋学期/Fall
単位数
/Credits
2.0
学年
/Year
3,4
主担当教員
/Main Instructor
小川 健

担当教員情報/Instructor Information

教員名
/Instructor
教員所属名
/Affiliation
小川 健 法律学科/LAW
授業の目的・内容
/Course Objectives
 個人や会社が「倒産する」と、これらの当事者や関係者は社会から抹殺されてしまうかのように思われがちである。
 確かに、無計画な借入れや支出、投資を行った結果として倒産に至る者は多い。しかし、そのような無計画な借入や投資の資金を提供した側にも責任の一端が認められる場合は少なくない。また、倒産の結果、一般社会の外にはじき出される者が増えるとすれば、社会は不安定にならざるをえない。さらに、倒産者と取引していた、また今後取引の可能性を持っていた人々にとっては、取引相手が倒産して社会から抹殺されてしまうとすれは、取引の機会が減少することにもなる。
 こうしたことから、現代の倒産処理は、債権者の債権の本来的な満足をある程度は犠牲にしても、倒産者の社会活動の継続や再開をなるべく可能にするようなやり方で行われる。たとえば、個人倒産者の債務等を清算するにあたって、倒産者に財産を幾分かは残し、原則として残りの債務の負担からは解放するし、企業倒産では、収益をあげている部門等はこれを売却することで、売却先で社会的な活動を続けることを可能にしつつ債権者に対する弁済財源を増加させることが行われる。倒産手続は、決して「倒産者についての残務整理」ではなく、経済活動が円滑に働くなくなった「倒産」という病理状態を正常な状態に戻す作用を行っているのである。
 本講義では、倒産手続の全体像の把握を試みるとともに、近年大きな改正が行われたこの制度の今後の行方も担当者とともに考える。

○ディプロマポリシーおよび卒業後の進路との関係
 本講義を通じて、経済的に破綻した個人や法人は、どのように扱われるのか、その結果として彼らはどうなるのかを知ることにより、法の社会への関わり方、法的なものの考え方(リーガル・マインド)を理解し、経済的な破綻に至らずに活動を行う方法や、破綻した場合にも傷口を広げないためにはどうしたら良いのか、またその後の活動再開も考えて行動することができるようになるであろう。
卒業後様々な分野で社会活動をする場合にも、こうして自らの行動の意味を理解し、その方向性を決めることで社会に的確に貢献することができるようになろう。

○カリキュラムポリシー(CP)と履修系統図上の位置付け
本講義は、法学部のCPにおける専門教育に分類され、法学部履修系統図における「手続法」分野の民事部門の発展段階(法律関係の具体化に関わる部門)をなす。
授業の形式・方法と履修上の注意
/Teaching method and Attention the course
講義形式の授業であるが、受講者の講義への積極的な参加を期待する。
   2023年度は大学キャンパスにおいて対面形式で授業をすることを原則とする。大学に通学することが困難な学生もいることを考え、教室ではPC画面をプロジェクターに投影し、遠隔で授業参加する受講者についてはZoomを使って画面共有により、いずれの場合も事前に提示したシラバスに書き込みをし、これを口頭で説明しつつ、授業を行う。
 なお、COVID-19の感染状況等によっては、対面ではなく遠隔方式のみの授業を行うことになる場合もある。
対面、遠隔いずれの受講についても、時間割通りの時程で授業を行うこととする。
 遠隔方式で授業参加する可能性のある履修者には、事前にPCとネット接続環境の整備、Zoomアプリのインストールとその最新版への更新をお願いしたい。
 遠隔方式については通信状況が悪い場合も考えられるので、画面共有で示したノートはmanaba等にULする。ただ、時間割どおりに履修せず、データを溜めてしまえば、遅れを取り返すことは基本的に不可能であるので、出席の確認はする。manabaにある資料はあくまで補助手段であり、ZoomRoomに入室して話を聞いていなければ理解は容易ではないものと思う。必要があれば質問をしていただきこれに対応することでデータのみでは得られない理解の欠落を埋めることにしたい。
 試験やレポートによる得点の他に、有意義な質問をしてくれた受講者には、下記「評価方法」に記した加算をする。
 受講者への連絡通信手段としては、最初の週はPortaIIとmanabaの両方で行うが、二週目以降はmanabaを主に利用する予定である。
事前・事後学修の内容
/Before After Study
 講義の項目は事前に予定表等を配布するので、参考書等で自分なりの理解をした上(2時間)で講義に望んでほしい。講義内容が自分の理解と異なっていれば質問をするなどして自身の理解を、また場合によっては講義の内容を修正することで互いに問題点の理解を深めたい。質問に対する回答についても、考察した上、納得ができなければ再度質問をしてほしい。
テキスト1
/Textbooks1
書籍名
/Title
著者
/Author name
出版社
/Publisher
ISBN
/ISBN
その他(任意)
/other
※備考欄を参照
テキスト2
/Textbooks2
書籍名
/Title
著者
/Author name
出版社
/Publisher
ISBN
/ISBN
その他(任意)
/other
テキスト3
/Textbooks3
書籍名
/Title
著者
/Author name
出版社
/Publisher
ISBN
/ISBN
その他(任意)
/other
参考文献等1
/References1
書籍名/サイト名
/Title
倒産処理法入門 第5版
著者
/Author name
山本和彦
出版社/URL
/Publisher
有斐閣
ISBN
/ISBN
978-4-641-13789-9
その他(任意)
/other
税込定価: 2,640円
参考文献等2
/References2
書籍名/サイト名
/Title
ポケット六法
著者
/Author name
出版社/URL
/Publisher
有斐閣
ISBN
/ISBN
その他(任意)
/other
参考文献等3
/References3
書籍名/サイト名
/Title
デイリー六法
著者
/Author name
出版社/URL
/Publisher
三省堂
ISBN
/ISBN
その他(任意)
/other
評価方法
/Evaluation
学期末レポートによる評価を原則とする。
レポートの課題は、:原則としてmanabaを通じて出題する。

本講義の種額が、倒産手続の全体像を把握し、「経済的に破綻した個人や法人は、どのように扱われるのか、その結果として彼らはどうなるのか」を考え、理解することであることに鑑み、その基本的な問題についてのレポート作成者の理解と考え方を問う問題を出題します。大問二つを出題し、それぞれについて少なくとも二問からレポート作成者が選択できるものとします。

評価基準は以下の通りです:
     問いに正面から答えていること。
     解答のポイントを押さえていること。
     解答者の意見が表明されていること。
     説明の論理に破綻がないこと。
     設問に対する解答以外の余計な記載のないこと。
     文章、レイアウトのバランスが取れていること。
     提出されたファイル形式が指定されたものであること。
     以上を総合的に評価して採点する。

さらに質問と問題の指摘については、いずれについても一回あたり最大5点を加算するので、有意義な質問、指摘を是非お願いしたい。
関連科目
/Related Subjects
備考
/Notes
テキストを強いて挙げれば、山本和彦「倒産処理法入門」第5版(2018 有斐閣)¥2,640。
参考文献:倒産関係法登載の携帯六法には、有斐閣「ポケット六法」と、三省堂「デイリー六法」があるが、いずれも会社更生法は抄録である。
到達目標
/Learning Goal
倒産手続の基本的な枠組み、倒産処理手続の流れ、倒産手続に現れる機関などについて正確に解釈し、個別の事象について見解を示すことができるようにする。

/Time
授業計画(主題の設定)
/Class schedule
授業の内容
/Contents of class
事前・事後学修の内容
/Before After Study
1 《倒産法概論》1
倒産手続とは
(倒産手続の目的、倒産手続に用いられる手法、個別執行との関係)
2 《倒産法概論》2 倒産手続の類型、倒産処理の現況、国際倒産の問題点
3 《倒産法概論》3 倒産手続の開始原因、倒産手続の流れ、手続原則
(破産、会社更生、民事再生、特別清算における異同)
4 《破産手続》
手続開始決定、公告、債権調査、不服申立(破産、会社更生、民事再生、特別清算における違い)
5 《破産手続》手続開始の効果1 手続開始の効果、他の手続との調整(破産、会社更生、民事再生、特別清算における違い)
6 《破産手続》手続開始の効果2 共有関係、双務契約、継続的契約等(破産、会社更生、民事再生、特別清算における違い)
7 《破産手続》破産財団の確定1 取戻権、別除権(破産、会社更生、民事再生、特別清算における違い)
8 《破産手続》破産財団の確定2 相殺権、否認(破産、会社更生、民事再生、特別清算における違い)
9 レポート作成日 学期前半に取り上げた事項の中から、担当者が課題を示し、受講者各自レポートを作成する。
10 《破産手続》手続に関係する機関 破産、会社更生、民事再生、特別清算における違い
11 《破産手続》破産財団の保全と債権者の手続参加 保全、債権届出、倒産債権・財団債権・共益債権、届出の効果、債権調査、債権者表の作成と認否(破産、会社更生、民事再生、特別清算における違い)
12 《破産手続》手続の終了 配当、廃止、免責(破産、会社更生、民事再生、特別清算における違い)
13 《特別の倒産手続》 住宅資金貸付債権、外国倒産処理、簡易再生、小規模個人再生、給与所得者再生
14 まとめ まとめ

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