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授業情報/Class Information

科目一覧へ戻る/Return to the Course List 2022/03/28 現在/As of 2022/03/28

基本情報/Basic Information

開講科目名
/Course
国際経済特殊研究(東アジア・中国経済論)/INTERNATIONAL ECONOMY(EAST ASIAN AND CHINESE ECONOMY)
開講所属
/Course Offered by
大学院/
ターム・学期
/Term・Semester
2022年度/2022 Academic Year  春学期/SPRING SEMESTER
曜限
/Day, Period
月3/Mon 3
開講区分
/semester offered
通年/Yearlong
単位数
/Credits
4.0
主担当教員
/Main Instructor
全 載旭/CHUN Chai Wook
科目区分
/Course Group
大学院科目 講義科目

担当教員情報/Instructor Information

教員名
/Instructor
教員所属名
/Affiliation
全 載旭/CHUN Chai Wook 経済学科/ECONOMICS
授業の目的・内容
/Course Objectives
 この授業は経済学研究科博士前期課程の学位授与方針(DP)に掲げる学位の裏付けとなる「能力」1・2・3を養成することを目的にする。
 経済学研究科の教育課程の編成・実施方針(CP)に掲載されている総合的、専門的、また学術的な教育・研究に対応できるカリキュラムであるという教育目標に向けて授業を行う。
 アジアNIEsは、1960年代に入ってから他の開発途上国に先がけて高成長を続けてきた。アジアNIEsはどのように急速な経済成長を実現しえたのであろうか。輸出主導による工業化政策と海外直接投資誘致や技術導入を通じて高い成長を発展してきたという共通認識がある。工業製品の輸出が工業化を主導し、その工業化が高度経済成長を牽引したのである。アジアNIEsの高度成長は日本を追いかけ、それにASEANのいくつかの国、次いで1990年に入って中国がこのレースに加わった。こうした東アジア諸国が次々と追いかけるような経済発展は雁行型経済発展と呼ばれる。
 本講義では、開発経済学の観点からアジアNIEsの工業化政策、つまり輸入代替工業化、輸出志向工業化政策などについて考察する。また東アジア経済の雁行型経済発展を分析する。世界第2位の経済大国に成長した中国の経済発展についても検討する。

授業の形式・方法と履修上の注意
/Teaching method and Attention the course
 基本的には輪読形式で行う。必要に応じて講義をすることもある。
事前・事後学修の内容
/Before After Study
 テキストの範囲の授業内容を確認し、議論ができるようにしてください。また授業で議論された内容を纏めて次回で提出してください。
テキスト1
/Textbooks1
書籍名
/Title
開発経済学と現代中国
著者
/Author name
中兼和津次
出版社
/Publisher
名古屋大学出版会
ISBN
/ISBN
その他(任意)
/other
テキスト2
/Textbooks2
書籍名
/Title
新版開発経済学-諸国民の貧困と富
著者
/Author name
速水佑次郎
出版社
/Publisher
創文社
ISBN
/ISBN
その他(任意)
/other
テキスト3
/Textbooks3
書籍名
/Title
著者
/Author name
出版社
/Publisher
ISBN
/ISBN
その他(任意)
/other
参考文献等1
/References1
書籍名/サイト名
/Title
圧縮された産業発展
著者
/Author name
川上桃子
出版社/URL
/Publisher
名古屋大学出版会
ISBN
/ISBN
その他(任意)
/other
2012年
参考文献等2
/References2
書籍名/サイト名
/Title
雁行型経済発展論(第1卷、第2卷、第3卷)
著者
/Author name
小島清
出版社/URL
/Publisher
文真堂
ISBN
/ISBN
その他(任意)
/other
参考文献等3
/References3
書籍名/サイト名
/Title
巨大化する中国経済と世界
著者
/Author name
小島麗逸・堀井伸浩編
出版社/URL
/Publisher
アジア経済研究所・IDE-JETRO
ISBN
/ISBN
その他(任意)
/other
評価方法
/Evaluation
プレゼンテーション(50%)と提出されたレポート(50%)により評価する。
備考
/Notes
関連科目
/Related Subjects
到達目標
/Learning Goal
国際経済についての博士レベルの知識を修得し,国際経済に関連する諸問題を精密に分析できるようにする.

/Time
授業計画(主題の設定)
/Class schedule
授業の内容
/Contents of class
事前・事後学修の内容
/Before After Study
1 貧困と開発経済学 開発途上国が貧困を脱するにはどのような枠組みが必要なのか、さらにはその考え方の枠組みを使ってどのような開発のための政策を立てるべきなのかについて思考を深める。
2 農工2部門モデル 一国の経済発展過程における転換点とは、開発経済学においてどのように考えられるか、この問題を考える理論的枠組みが二重構造モデルである。この理論について詳しく考察する。
3 工業化と労働力移動 近代部門の雇用吸収力と、それに応じて発生する農工間労働移動のありようを考察する
4 輸入代替工業化政策(Ⅰ) 輸入代替工業化政策は保護主義的工業化である。アジアを含む大半の開発途上国が採用した戦略がこれである。輸入代替工業化政は何か、またアジア諸国の輸入代替はどのように行われてきたのかについて概観する。
5 輸入代替工業化政策(Ⅱ) アジアの輸入代替工業化には高い評価を与えられている。しかし、この戦略には同時に多様な問題点を含んでいる。これらの問題について理論的に考察する。
6 輸出指向工業化政策(Ⅰ) アジア諸国は輸入代替工業化から輸出指向工業化への転換を試みた。こうした試みを通じて、アジア諸国の工業化がどれほど大きく進捗したかについて検討する。
7 輸出指向工業化政策(Ⅱ) 輸出指向工業化とは、工業製品の輸出が工業化を促進するというパターンである。アジアNIESはいかにしてこのパターンを実現したのかを理解する。
8 資本移動と経済成長(Ⅰ) 外国資本の流入が開発途上国の発展をどのように促進するのか、または、阻害するのかについて議論する
9 資本移動と経済成長(Ⅱ) 外国資本といってもその中身はきわめて多様である。資本移動を、公的資本と民間資本に分けて分析する。
10 技術移転(Ⅰ) なぜ開発途上国の技術要求はかくも高いのか、理由は、開発途上国の経済成長にとって必要だからである。技術が経済成長にとって重要な要因であることについて成長会計で明らかにする。
11 技術移転(Ⅱ) 先進国から開発途上国へ技術移転することは、開発途上国の発展にとって好ましいことである。技術移転はどのような法則に規定されるかについて検討する。
12 経済成長と所得分配(Ⅰ) 開発途上国は経済開発を始めるにあたって所得分配の不平等化を経験せざるをえない。こうした開発途上国経済成長が所得分配に与える影響を把握し、問題解決への道を探る。
13 経済成長と所得分配(Ⅱ) 不平等が経済成長とともに変化する可能性は、S.クズネッツによって最初に示された。彼は経済発展の初期には所得分配が悪化し、後に平等化するという仮説を提示した。この仮説の有効性について分析する。
14 不平等の要因 開発途上国の初期発展過程で不平等化をもたらす大きな要因を検討し、その対策を探求する。
15 雁行型経済発展(Ⅰ) 雁行型経済発展は、ある国が急速に成長し、他の国々が次々に後を追うように成長するパターンをさす。その理論モデルについて詳しく理解する。
16 雁行型経済発展(Ⅱ) 雁行型経済発展の好例として東アジアがある。戦後日本が高度成長を成し遂げ、それにNIESが、次いでASEAN4か国が、1980年代後半からは中国が加えるようになった。このような成長メカニズムを明らかにす
17 直接投資主導型経済成長 外国直接投資は、遅れた開発途上国が、新しい工業を設立し、工業化をスタートさせるのに最も有効な方策であるといえる。この直接投資主導型経済成長が東アジアでどのように進展してきたかを考察する。
18 東アジア経済の自己循環メカニズム 東アジア経済において、直接投資の流れと貿易の流れの対応関係を深く究明する。
19 東アジア経済のダイナミズムの変化 東アジア地域の世界経済におけるプレゼンスが通貨危機前後でどのように変化したのかを探る。
20 東アジアの奇跡と「開発主義体制」 「キャッチ・アップ型」の工業化に成功した東アジアのほとんどの国は「強い国家」を特徴としている。このような東アジアでの「開発主義体制」と経済成長とのメカニズムを明らかにする。
21 「東アジアモデル」とその特徴 戦後多くの開発途上国が開発に成功せず、貧困や停滞に悩むのに反して、東アジア諸国は急速な経済成長を果たした。この「東アジアモデル」の特徴について考察する。
22 東アジアの成長と日本の役割 戦後の日本と東アジアの関係は、基本的には垂直分業によって成り立っていた。アジアNIESの成長に果たした日本の役割として、指摘されるようになった「太平洋トライアングル」構造について考察する。
23 台頭する中国経済 978年以降、改革・開放を旗印にした開発戦略に転換することによって中国経済は大きな飛躍を遂げた。なぜそれが成功したのかを経済発展の初期条件を踏まえながら考察する。
24 中国の農村はいかに変化したか? 貧しい農業国からの脱出に成功した中国が農業の近代化と農村部の都市化を評価する。
25 中国の工業構造の変化と工業成長の要因 重化学工業に偏った中国の工業化は何を意味しているのか、また工業の成長要因を明らかにする。
26 社会主義市場経済とは何か? 社会主義市場経済の概念などについて概観する。
27 社会主義市場経済の特徴と限界 中国における社会主義市場経済の特徴を理解し、政治の民主化を伴わない市場経済化には内在的な限界を明らかにする。
28 「中国モデル」とは何か 「中国モデル」と呼ばれる特殊な経済制度の内容を理解し、今後の発展方向について展望する。

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