基本情報/Basic Information

開講科目名 ／Course	会計研究（会計学）／ACCOUNTING（ACCOUNTING）
開講所属 ／Course Offered by	大学院／
ターム・学期 ／Term・Semester	2022年度／2022 Academic Year　　春学期／SPRING SEMESTER
曜限 ／Day, Period	土3／Sat 3
開講区分 ／semester offered	通年／Yearlong
単位数 ／Credits	4.0
主担当教員 ／Main Instructor	内倉　滋
科目区分 ／Course Group	大学院科目　講義科目

担当教員情報/Instructor Information

教員名 ／Instructor	教員所属名 ／Affiliation
内倉　滋	経営学科／MANAGEMENT

授業の目的・内容 ／Course Objectives	(1) 授業の目的 　経済学研究科の学位授与方針(DP)によると、｢基本的な経済学、経営学又は情報学の知識、技能および思考力を駆使して、実務的な諸課題を自ら調査し理解する能力｣その他の｢高度の能力を身に付けている｣者に対して、｢「修士（経済学）」の学位を授与する｣ことが出来る、としている。本講義は、そのような視点から、｢経営学｣の１学科目である｢会計学｣に関する｢知識、技能および思考力を駆使して、実務的な諸課題を自ら調査し理解する能力｣の修得を通じて 社会に貢献する能力を身に付けてもらうことを、その｢目的｣とするものである。 (2) 授業の内容 　本講義では、近年盛んに議論されてきた(会計学における)様々な問題領域 の根底に存する、｢資産負債アプローチ｣という共通項を、テーマとして取り上げ、その中身を具体的に紹介し、それが持っている意義を明らかにしていくことを、その｢内容｣としたい。   まず春学期において、｢資産負債アプローチ｣を明確な形で体現している [←そうとは言えない部分もあるのであるが‥] ところの、2018年3月に改訂されたIASBの｢概念フレームワーク｣(｢The Conceptual Framework for Financial Reporting｣；以下、2018年概念フレームワーク と言う。)を、その素材として取り上げる。｢会計研究(会計学)｣の受講生は、まずは その原文(英語)を自ら読み、授業の場で 内容の説明を受け、それらを通じて その規定内容を理解し その背後にある理論を学んでいくことになる。   他方 秋学期においては、まずは、資産負債アプローチとはどういうものか、資産負債アプローチのもとでは 資産,負債 等の定義はどうなるのか、資産負債アプローチのもとでは 資産,負債 等の測定は どう行われるべきなのか、といった根本的な論点を取り上げる。次いで、その｢資産負債アプローチ｣のもとで現実に行われている‘制度としての企業会計(制度会計)’における、いくつかの論点 (収益認識に関する問題, 固定資産の減損の問題, リース会計の問題 等) を取り上げていきたい。｢会計研究(会計学)｣の受講生は、それらの論点について、2018年概念フレームワークや会計基準 (IFRS及び日本基準) が どのような規定をしているのか を学び、同時に、そこにおいて提起されている様々な問題点や背後の理論を学んでいくことになる。
授業の形式・方法と履修上の注意 ／Teaching method and Attention the course	(1) 授業の形式 　大学院の講義科目であり、受講生も少人数のため、授業の形式は対面授業とする。ライブ配信や録画配信は、行わない。 (2) 授業の方法 　春学期においては、輪読していく予定の外国語文献を事前配付しておき、事前に目を通してきてもらう。そのことを前提として、内容の講読をしていく。その後、当該内容に関する discussion を、受講生と行う。そこでの重点は、第一には、当日講読した内容を受講生が正しく理解しているか の確認であり、第二には、講読していった際にあえて触れなかった問題点への受講生の気付きを促すことである。 　秋学期においては、当日のテーマに係る資料的レジメ的な中身のhandout資料を、毎回 配付する。授業は、そのhandout資料に沿って進められるが、同資料は あくまでも要点を記したものに過ぎないので、口頭説明まで的確に理解することが受講生には求められる。その後、当該内容に関する discussion を、受講生と行う。そこでの重点は、第一には 受講生がhandout資料の内容を正しく理解しているか の確認であり、第二には、handout資料にあえて載せなかった問題点への受講生の気付きを促すことである。 　ただし｢会計研究(会計学)｣という科目の場合、それだけでは まだ不十分である。テーマに関連した課題を自ら考え解決していく過程が、絶対に必要である。したがって本講義では、各回の講義内容の理解を より確実なものにしていってもらう目的から、春学期,秋学期 とも、ほぼ毎回、授業の最後に、その週のテーマに関する簡単なレポートを書いて提出してもらう。そのレポートは、朱を入れてきた上で 翌週 返却し、その際に レポートの形式面の問題を含めたコメントをしていきたい。
事前・事後学修の内容 ／Before After Study	事前学修：春学期については、その週に輪読していく予定の外国語文献の予習を、必ずしてくること。秋学期については、毎回の授業の終わりに 次回の授業のテーマ(及び今週の授業内容との関係)を簡単に説明するので [←場合によっては、次週の予定テーマに関するhandout資料を配付する。]、次週までに その内容を 事前に調べておくこと。こうした事前学修に、できれば毎回2時間は割いてほしい。 　事後学修：｢会計研究(会計学)｣という科目の場合、以上のような事前学修とともに、事後学修も重要である。事後学修のメインは、その週の授業内容の復習であろう。しかしながら、前週に提出し 今週 返却されたレポートにつき、指摘された箇所 (形式面の問題を含む。) のフォローをしていく作業も、とても重要である。こうした事後学修に、できれば毎回2時間は割いてほしい。
テキスト1 ／Textbooks1	書籍名 ／Title   春学期：輪読していこうと考えている外国語文献に関しては、こちらで用意する。   秋学期：特定の市販の教科書は、使用しない。代わりに、当日のテーマに係るhandout資料を、基本的に毎回配付する。 著者 ／Author name 出版社 ／Publisher ISBN ／ISBN その他（任意） ／other
テキスト2 ／Textbooks2	書籍名 ／Title 著者 ／Author name 出版社 ／Publisher ISBN ／ISBN その他（任意） ／other
テキスト3 ／Textbooks3	書籍名 ／Title 著者 ／Author name 出版社 ／Publisher ISBN ／ISBN その他（任意） ／other
参考文献等1 ／References1	書籍名/ｻｲﾄ名 ／Title   春学期：各週のテーマに関する参考文献等は、基本的に 前の週までに口頭で伝達する。   秋学期：各週のテーマに関する参考文献等は、当該週のhandout資料に、毎週 掲載していく。 著者 ／Author name 出版社/URL ／Publisher ISBN ／ISBN その他（任意） ／other
参考文献等2 ／References2	書籍名/ｻｲﾄ名 ／Title 著者 ／Author name 出版社/URL ／Publisher ISBN ／ISBN その他（任意） ／other
参考文献等3 ／References3	書籍名/ｻｲﾄ名 ／Title 著者 ／Author name 出版社/URL ／Publisher ISBN ／ISBN その他（任意） ／other
評価方法 ／Evaluation	(1) 評価のポイント   本講義は通年授業であるが、春学期と秋学期とで講義内容が大きく異なっている。そのため、春学期と秋学期で異なる 次のような評価ポイントを置いて、春学期分の評価と秋学期分の評価を行い、それらを合わせて通年評価をしていくこととしたい。   春学期：春学期の本講義では、IASBの｢2018年概念フレームワーク｣の規定内容の理解と その背後にある理論を学んでいくことに、その重点を置いている。そのため、春学期分の評価においても、それらのことを受講生がきちんと修得しているか、がポイントとなる。   秋学期：秋学期の本講義では、｢資産負債アプローチ｣のもとで現実に行われている‘制度としての企業会計(制度会計)’における、いくつかの論点について、2018年概念フレームワークや会計基準 (IFRS及び日本基準) が どのような規定をしているのか を学び、同時に、そこにおいて提起されている様々な問題点や背後の理論を学んでいくことに、その重点を置いている。そのため、秋学期分の評価においても、それらのことを受講生がきちんと修得しているか、がポイントとなる。 (2) 評価の手段 　評価のための具体的な手段は、毎回の授業の提出物 (その週のテーマに関する簡単なレポート) と、春学期末と秋学期末に提出してもらう 各学期中のテーマに関するレポートである。最終の評価に対するウェイトは、基本的には、期末レポート (春学期末と秋学期末の2回) の内容の評価結果を50％前後、平常点 (毎回の授業の提出物の評価結果) を50％前後としたい。
備考 ／Notes
関連科目 ／Related Subjects
到達目標 ／Learning Goal	会計学についての修士レベルの知識を修得し，会計に関連する諸問題を分析できるようにする．

回 ／Time	授業計画（主題の設定） ／Class schedule	授業の内容 ／Contents of class	事前・事後学修の内容 ／Before After Study
1	通年講義である本講義全体のオリエンテイション	本講義における 授業の目的や内容,授業の形式,授業の進め方,事前･事後学修の内容,参考文献等の紹介の仕方,評価方法 といった事柄を、具体的に説明する。
2	IASBの概念フレームワークの意義,会計基準との違い,米国基準における概念フレームワークの概要 等	上記テーマを説明した後、｢2018年概念フレームワーク｣(IASB)の｢ ｢概念フレームワーク｣の地位及び目的｣の箇所(pars.SP1.1-SP1.5)の原文(場合によりその一部)を輪読していく。
3	一般目的財務報告の目的：概要説明	｢2018年概念フレームワーク｣は、｢一般目的財務報告｣書の作成のためのものである。今日は、｢2018年概念フレームワーク｣の｢一般目的財務報告の目的｣の箇所の概要を、具体的に説明する。
4	一般目的財務報告の目的：原文 (＝｢2018年概念フレームワーク｣；以下同じ。) の輪読	｢2018年概念フレームワーク｣の｢一般目的財務報告の目的｣の箇所 (pars.1.1-1.23) の原文 (場合によりその一部) を輪読していく。
5	一般目的財務報告において有用な財務情報の質的特性：概要説明及び原文の輪読	｢2018年概念フレームワーク｣の｢有用な財務情報の質的特性｣の箇所(pars.2.1-2.43)の概要説明をした後、同箇所(pars.2.1-2.43)の原文(場合によりその一部)を輪読していく。
6	一般目的財務報告における 財務諸表と報告企業：概要説明及び原文の輪読	｢2018年概念フレームワーク｣の｢財務諸表と報告企業｣の箇所(pars.3.1-3.18)の概要説明をした後、同箇所(pars.3.1-3.18)の原文(場合によりその一部)を輪読していく。
7	一般目的財務報告における資産の定義：概要説明及び原文の輪読(輪読はpars.4.1-4.2を含む。)	｢2018年概念フレームワーク｣の｢資産の定義｣の箇所(pars.4.3-4.25)の概要説明をした後、同箇所(pars.4.1-4.25)の原文(場合によりその一部)を輪読していく。
8	一般目的財務報告における 負債の定義：概要説明及び原文の輪読	｢2018年概念フレームワーク｣の｢負債の定義｣の箇所(pars.4.26-4.47)の概要説明をした後、同箇所(pars.4.26-4.47)の原文(場合によりその一部)を輪読していく。
9	一般目的財務報告における 持分,収益,費用 の定義：概要説明及び原文の輪読	｢2018年概念フレームワーク｣の｢持分の定義｣と｢収益及び費用の定義｣の箇所(pars.4.63-4.72)の概要説明をした後、同箇所の原文(場合によりその一部)を輪読していく。
10	一般目的財務報告における 認識及び認識の中止：概要説明及び原文の輪読	｢2018年概念フレームワーク｣の｢認識及び認識の中止｣の箇所(pars.5.1-5.33)の概要説明をした後、同箇所(pars.5.1-5.33)の原文(場合によりその一部)を輪読していく。
11	一般目的財務報告における 測定：概要説明	｢2018年概念フレームワーク｣の｢測定｣の箇所(pars.6.1-6.95)の概要を、具体的に説明する。
12	一般目的財務報告における 測定：原文の輪読	｢2018年概念フレームワーク｣の｢測定｣の箇所(pars.6.1-6.95)の原文(場合によりその一部)を輪読していく。
13	一般目的財務報告における 表示,開示：概要説明及び原文の輪読	｢2018年概念フレームワーク｣の｢表示及び開示｣の箇所(pars.7.1-7.22)の概要説明をした後、同箇所(pars.7.1-7.22)の原文(場合によりその一部)を輪読していく。
14	春学期中の講義の総復習	春学期の第2回～第13回の講義の総復習を行う。
15	秋学期の本講義のオリエンテイション	本講義の秋学期における 授業の目的や内容,授業の形式,授業の進め方,事前･事後学修の内容,参考文献等の紹介の仕方,評価方法 といった事柄を、具体的に説明する。
16	資産負債アプローチについて	制度としての企業会計を支えている基本的な枠組みである｢資産負債アプローチ｣という考え方の概要を、具体的に説明する。
17	資産負債アプローチのもとでの資産の定義について	資産負債アプローチのもとでの資産の定義規定の概要を、具体的に説明する。なお、2018年概念フレームワークの該当箇所(原文)の輪読は、春学期に実施済み。
18	資産負債アプローチのもとでの負債の定義について	資産負債アプローチのもとでの負債の定義規定の概要を、具体的に説明する。なお、2018年概念フレームワークの該当箇所(原文)の輪読は、春学期に実施済み。
19	資産負債アプローチでは資産等は 理論上 将来のキャッシュフローの現在価値で測定すべきこと について	現在価値に割り引く方法には｢伝統的アプローチ｣と｢期待キャッシュフローアプローチ｣の2つの考え方がある。それらの概要を、具体的に説明する。なお、現在価値での測定と公正価値測定との関係にも言及する。
20	資産負債アプローチのもとでの 持分,収益,費用 の定義について	資産負債アプローチのもとでの 持分,収益,費用 の定義規定の概要を、具体的に説明する。なお、2018年概念フレームワークの該当箇所(原文)の輪読は、春学期に実施済み。
21	資産負債アプローチの枠組みにおける売上収益の認識の考え方(正味ポジション変動収益認識モデル)について	正味ポジション変動収益認識モデルには、現在出口価格アプローチと当初取引価格アプローチという2つの考え方がある。それらの考え方の概要を、具体的に説明する。なお、現実的に制度化されたものは後者の方である。
22	｢国際財務報告基準第15号 顧客との契約から生じる収益｣(以下、IFRS15 と言う。) について	当初取引価格アプローチによる収益認識モデルである IFRS15 の概要を、具体的に説明する。重要なpar.については(例えば、履行義務の充足に関するpars.31-34の規定)、英語の原文を輪読する。
23	わが国の ｢収益認識に関する会計基準｣(2018年3月30日 企業会計基準第29号) について	やはり当初取引価格アプローチによる収益認識モデルである、わが国の ｢収益認識に関する会計基準｣(2018年3月30日 企業会計基準第29号；企業会計基準委員会) の概要を、具体的に説明する。
24	固定資産の減損について(｢国際会計基準第36号 資産の減損｣(以下 IAS36)の概要説明を含む。)	まずは、資産負債アプローチの枠組みにおける会計処理の1つである固定資産の減損手続きの概要を、具体的に説明する。次いで、IAS36 の概要説明をし、重要なpar.については、英語の原文を輪読する。
25	リース会計について (｢国際財務報告基準第16号 リース｣(以下 IFRS16)の概要説明を含む。)	まずは、リース取引に対する会計処理手続きの概要を、具体的に説明する。次いで、IFRS16 の概要説明をし、重要なpar.については、英語の原文を輪読する。
26	退職給付債務について (現行規定は 資産負債アプローチの観点からは問題がある、との問題提起を含む。)	わが国の｢退職給付に関する会計基準｣(2012年5月17日 企業会計基準第26号；企業会計基準委員会) にのっとって、退職給付債務に対する会計処理手続きの概要を、具体的に説明する。
27	法人所得税について (｢国際会計基準第12号 法人所得税｣(以下 IAS12) の概要説明を含む。)	まずは、資産負債アプローチの枠組みにおける法人所得税の会計処理手続きの概要を、具体的に説明する。次いで、IAS12 の概要説明をし、重要なpar.については、英語の原文を輪読する。
28	秋学期中の講義の総復習	秋学期の第16回～第27回の講義の総復習を行う。