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授業情報/Class Information

科目一覧へ戻る/Return to the Course List 2022/03/28 現在/As of 2022/03/28

基本情報/Basic Information

開講科目名
/Course
会計演習(会計学)/SEMINAR IN ACCOUNTING(ACCOUNTING)
開講所属
/Course Offered by
大学院/
ターム・学期
/Term・Semester
2022年度/2022 Academic Year  春学期/SPRING SEMESTER
曜限
/Day, Period
土4/Sat 4
開講区分
/semester offered
通年/Yearlong
単位数
/Credits
4.0
主担当教員
/Main Instructor
内倉 滋
科目区分
/Course Group
大学院科目 演習科目

担当教員情報/Instructor Information

教員名
/Instructor
教員所属名
/Affiliation
内倉 滋 経営学科/MANAGEMENT
授業の目的・内容
/Course Objectives
(1) 授業の目的
 経済学研究科の学位授与方針(DP)によると、「基本的な経済学、経営学又は情報学の知識、技能および思考力を駆使して、実務的な諸課題を自ら調査し理解する能力」その他の「高度の能力を身に付けている」者に対して、「「修士(経済学)」の学位を授与する」ことが出来る、としている。本講義(演習)は、そのような視点から、「経営学」の1学科目である「会計学」に関する「知識、技能および思考力を駆使して、実務的な諸課題を自ら調査し理解する能力」の修得を通じて 社会に貢献する能力を身に付けてもらうことを、その「目的」とするものである。

(2) 授業の内容
  近年盛んに議論されてきた、あるいは 現にされている 会計学の様々な問題領域には、その根底において「資産負債アプローチ」という共通項があると言えよう。「資産負債アプローチ」という観点から問題提起がされてきた、という意味である。正味ポジション変動収益認識モデルの提案が その最も典型的な例であるが、減損会計/税効果会計/リース会計 といった領域での議論も、基本的には「資産負債アプローチ」という観点から試みられている。本講義(演習)では、そうした 「資産負債アプローチ」という観点から問題提起がされてきた様々な問題領域のうちの1つに的を絞って、深く掘り下げる、という作業を、これまでしてきた。本年度も その方針を踏襲し、本年度については、それらの問題領域のうちの1つである「税効果会計」に的を絞り、深く掘り下げる という作業をしていきたい。その際のスタンスは、「税効果会計」という問題領域を「資産負債アプローチ」という観点から考察していこう、ということではなく、「税効果会計」という問題領域に的を絞って深く掘り下げる という作業を通じて、「資産負債アプローチ」というものの 血の通った具体的な姿の一端を垣間見ることにある。
  その方針のもと、まず春学期において、主として日本語の文献により、わが国で現に制度化されている税効果会計の中身を 深く掘り下げていきたい。「会計演習(会計学)」の受講生は、制度化されている内容 (すなわち会計基準の規定内容) を単に学んでいくのみでは不十分である。それに加えて、どのような理由から そのような内容が規定されているのか を考えていくこと、とりわけ「資産負債アプローチ」という観点から そうした考察をしていくことが、受講生には求められる。
 他方 秋学期においては、春学期中に修得した税効果会計に関する基本的な知識を前提として、税効果会計に関するIASBの基準書である「IAS第12号 法人所得税」(IAS12 Income Taxes;以下、IAS12 と言う。) の原文を輪読していきたい。「会計演習(会計学)」の受講生は、まずは その原文(英語)を自ら読み、授業の場で 内容の説明を受け、それらを通じて その規定内容を理解し その背後にある理論を学んでいくことになる。
授業の形式・方法と履修上の注意
/Teaching method and Attention the course
(1) 授業の形式
 大学院の演習科目であり、受講生も少人数のため、授業の形式は対面授業とする。ライブ配信や録画配信は、行わない。

(2) 授業の方法
 春学期においては、当日のテーマに係る資料的レジメ的な中身のhandout資料を、毎回 配付する。授業は、そのhandout資料に沿って進められるが、同資料は あくまでも要点を記したものに過ぎないので、口頭説明まで的確に理解することが受講生には求められる。その後、当該内容に関する discussion を、受講生と行う。そこでの重点は、第一には 受講生がhandout資料の内容を正しく理解しているか の確認であり、第二には、handout資料にあえて載せなかった問題点への受講生の気付きを促すことである。
 秋学期においては、輪読していく予定の外国語文献を事前配付しておき、事前に目を通してきてもらう。教室では、そのことを前提として、内容の講読をしていく。その後、当該内容に関する discussion を、受講生と行う。そこでの重点は、第一には、当日講読した内容を受講生が正しく理解しているか の確認であり、第二には、講読していった際にあえて触れなかった問題点への受講生の気付きを促すことである。
 ただし「会計演習(会計学)」という科目の場合、それだけでは まだ不十分である。テーマに関連した課題を自ら考え解決していく過程が、絶対に必要である。したがって本講義(演習)では、各回の演習内容の理解を より確実なものにしていってもらう目的から、春学期,秋学期 とも、ほぼ毎回、授業の最後に、その週のテーマに関する簡単なレポート (というか、少ボリュームの小論文) を書いて提出してもらう。その レポート/小論文 は、朱を入れてきた上で 翌週 返却し、その際に 論文の形式面の問題を含めたコメントをしていきたい。
 これらの積み重ねが、内容面,形式面 を含めて、翌年度にかけて執筆していく修士論文の礎(いしずえ)になっていこう。
事前・事後学修の内容
/Before After Study
  事前学修:春学期については、毎回の授業の終わりに 次回の授業のテーマ(及び今週の授業内容との関係)を簡単に説明するので [←場合によっては、次週の予定テーマに関するhandout資料を配付する。]、次週までにその内容を事前に調べておくこと。秋学期については、その週に輪読していく予定の外国語文献の予習を、必ずしてくること。こうした事前学修に、できれば毎回2時間は割いてほしい。
 事後学修:「会計演習(会計学)」という科目の場合、以上のような事前学修とともに、事後学修も重要である。事後学修のメインは、その週の授業内容の復習であろう。しかしながら、前週に提出し 今週 返却された レポート/小論文 につき、指摘された箇所 (論文の形式面の問題を含む。) のフォローをしていく作業も、とても重要である。こうした事後学修に、できれば毎回2時間は割いてほしい。
テキスト1
/Textbooks1
書籍名
/Title
  春学期:特定の市販の教科書は、使用しない。代わりに、当日のテーマに係るhandout資料を、基本的に毎回配付する。
  秋学期:輪読していこうと考えている外国語文献に関しては、こちらで用意する。
著者
/Author name
出版社
/Publisher
ISBN
/ISBN
その他(任意)
/other
テキスト2
/Textbooks2
書籍名
/Title
著者
/Author name
出版社
/Publisher
ISBN
/ISBN
その他(任意)
/other
テキスト3
/Textbooks3
書籍名
/Title
著者
/Author name
出版社
/Publisher
ISBN
/ISBN
その他(任意)
/other
参考文献等1
/References1
書籍名/サイト名
/Title
 春学期:各週のテーマに関する参考文献等は、当該週のhandout資料に、毎週 掲載していく。
 秋学期:各週のテーマに関する参考文献等は、基本的に 前の週までに口頭で伝達する。
著者
/Author name
出版社/URL
/Publisher
ISBN
/ISBN
その他(任意)
/other
参考文献等2
/References2
書籍名/サイト名
/Title
著者
/Author name
出版社/URL
/Publisher
ISBN
/ISBN
その他(任意)
/other
参考文献等3
/References3
書籍名/サイト名
/Title
著者
/Author name
出版社/URL
/Publisher
ISBN
/ISBN
その他(任意)
/other
評価方法
/Evaluation
(1) 評価のポイント
  本講義(演習)は通年授業であるが、春学期と秋学期とで講義(演習)内容が大きく異なっている。そのため、春学期と秋学期で異なる 次のような評価ポイントを置いて、春学期分の評価と秋学期分の評価を行い、それらを合わせて通年評価をしていくこととしたい。
 春学期:春学期の本講義(演習)では、わが国で現に制度化されている税効果会計の中身を 深く掘り下げて理解していくことに、その重点を置いている。そのため、春学期分の評価においても、それらのことを受講生がきちんと修得しているか、がポイントとなる。
  秋学期:秋学期の本講義(演習)では、IASBの「IAS12」の規定内容の理解と その背後にある理論を学んでいくことに、その重点を置いている。そのため、秋学期分の評価においても、それらのことを受講生がきちんと修得しているか、がポイントとなる。

(2) 評価の手段
 評価のための具体的な手段は、毎回の授業の提出物 (その週のテーマに関する簡単なレポート) と、春学期末と秋学期末に提出してもらう 各学期中のテーマに関するレポートである。最終の評価に対するウェイトは、基本的には、期末レポート (春学期末と秋学期末の2回) の内容の評価結果を50%前後、平常点 (毎回の授業の提出物の評価結果) を50%前後としたい。
備考
/Notes
関連科目
/Related Subjects
到達目標
/Learning Goal
会計学についての修士レベルの知識をもとに問題を発見し,研究論文を作成できるようにする.

/Time
授業計画(主題の設定)
/Class schedule
授業の内容
/Contents of class
事前・事後学修の内容
/Before After Study
1 通年授業である本講義(演習)全体のオリエンテイション 本講義(演習)における 授業の目的や内容,授業の形式,授業の進め方,事前・事後学修の内容,参考文献等の紹介の仕方,評価方法 といった事柄を、具体的に説明する。
2 税効果会計の 必要性, 基本的な仕組み, 歴史的経緯 等について (争いのある論点の紹介を含む。) 租税とか何か, 租税費用の内容, 税効果会計の必要性 (租税費用は財務会計上の費用だと言えるのか、との問題提起を含む。), 税効果会計の基本的な仕組み, 歴史的経緯 といった事柄を、具体的に説明する。
3 税効果会計に対する2つのアプローチ:「繰延法」と「資産負債法」について 税効果会計に対する2つのアプローチである「繰延法」と「資産負債法」の概要を、具体的に説明する。資産負債アプローチの枠組みと「資産負債法」との親和性についても、言及する。
4 米国における税効果会計について:歴史的な経緯と現行の(税効果会計に関する)米国基準の概要 上記テーマを説明した後、現行の米国基準 (FASB ASC,Topic740,Income Taxes) が規定する「連立方程式法」という特殊な方法に関する問題点の提起をする。
5 国際会計基準における税効果会計について:歴史的な経緯と現行の(税効果会計に関する)IFRS基準の概要 税効果会計は、国際会計基準においても制度化されている。その 国際会計基準における税効果会計の 発展/展開 の経緯と、現在の税効果会計に関するIFRS基準(「IAS12」)の概要を、具体的に説明する。
6 わが国における税効果会計について:歴史的な経緯と現行の(税効果会計に関する)日本基準の概要 わが国における税効果会計の 発展/展開 の経緯と、現在の税効果会計に関する日本基準 (「税効果会計に係る会計基準」(1998年10月30日 企業会計審議会) 他) の概要を、具体的に説明する。
7 資産負債法に基づく税効果会計の対象である一時差異について 資産負債法に基づく税効果会計は、簿価と「税務基準額」との間に「一時差異」が存在するときに適用されるものである。その一時差異というものの概要を、具体的に説明する。期間差異,永久差異 についても言及する。
8 一時差異に適用される法定実効税率について 税効果会計では、一時差異額に法定実効税率を乗じて繰延税金額を計算していく。実効税率とは何か という点から、法定実効税率を表す式の意味を、具体的に説明する。法定実効税率の現行の水準についても、言及する。
9 繰延税金資産の回収可能性について 税効果会計を適用した結果 認識される「繰延税金資産」は、回収可能性が無い額を控除して計上する必要がある。その手続きを、「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」にのっとって、具体的に説明する。
10 繰延税金 負債/資産 特論1:繰延税金 負債/資産 は、負債/資産 定義に合致しているか、について 繰延税金 負債/資産 に関する特論として、繰延税金 負債/資産 は 概念フレームワークの 負債/資産 定義を満たすものだと言えるのか、との問題提起をし、それに関するdiscussionを受講生と行う。
11 繰延税金 負債/資産 特論2:資産負債法による繰延税金 負債/資産 は割引計算されるべきか、について 繰延税金 負債/資産 に関する特論として、資産負債法による繰延税金 負債/資産 は 割引計算されるべきか、との問題提起をし、それに関する discussion を受講生と行う。
12 連結財務諸表における一時差異とは何か、どのようなものが それに相当するのか、について 上記テーマを説明した後、連結財務諸表上の「のれん」勘定の当初認識額に対する繰延税金の認識の是非、というテーマでの discussion を受講生と行う。
13 連結財務諸表における税効果会計固有のその他の論点:子会社 資産,負債 評価差額に係る問題 等について 上記テーマ(子会社への投資の評価減に係る問題を含む。)の説明後、“子会社の 資産/負債 と比較すべき「税務基準額」には2つのものがある”との見解の是非というテーマで受講生とdiscussionを行う。
14 春学期中の講義(演習)の総復習 春学期の第2回~第13回の講義(演習)の総復習を行う。
15 秋学期の本講義(演習)のオリエンテイション 本講義(演習)の秋学期における 授業の目的や内容,授業の形式,授業の進め方,事前・事後学修の内容,参考文献等の紹介の仕方,評価方法 といった事柄を、具体的に説明する。
16 「IAS12」における 目的 等に関する規定について:概要説明及び原文の輪読 「IAS12」の「目的」の箇所(no paragraph number) 及び「範囲」の箇所(pars.1-4)の概要説明をした後、同箇所の原文(場合によりその一部)を輪読していく。
17 「IAS12」における 定義に関する規定について:概要説明及び原文の輪読 「IAS12」の「定義」の箇所(pars.5-11)の概要説明をした後、同箇所(pars.5-11)の原文(場合によりその一部)を輪読していく。
18 「IAS12」における 当期税金 負債,資産 の認識に関する規定について:概要説明及び原文の輪読 「IAS12」の「当期税金負債及び当期税金資産の認識」の箇所(pars.12-14)の概要説明をした後、同箇所(pars.12-14)の原文(場合によりその一部)を輪読していく。
19 「IAS12」における 将来加算一時差異に関する規定について:概要説明及び原文の輪読 「IAS12」の「将来加算一時差異」の箇所(pars.15-23)の概要説明をした後、同箇所(pars.15-23)の原文(場合によりその一部)を輪読していく。
20 「IAS12」における 将来減産一時差異に関する規定について:概要説明及び原文の輪読 「IAS12」の「将来減産一時差異」の箇所(pars.24-33)の概要説明をした後、同箇所(pars.24-33)の原文(場合によりその一部)を輪読していく。
21 「IAS12」における 税務上の繰越欠損金等 等に関する規定について:概要説明及び原文の輪読 「IAS12」の「税務上の繰越欠損金及び繰越税額控除」と「未認識の繰延税金資産の再検討」の箇所(pars.34-37)の概要説明をした後、同箇所の原文(場合によりその一部)を輪読していく。
22 「IAS12」における 子会社,支店 等に対する投資 等に関する規定について:概要説明及び原文の輪読 「IAS12」の「子会社、支店及び関連会社に対する投資 並びに共同支配の取決めに対する持分」の箇所(pars.38-45)の概要説明をした後、同箇所の原文(場合によりその一部)を輪読していく。
23 「IAS12」における 測定に関する規定について:概要説明及び原文の輪読 「IAS12」の「測定」の箇所(pars.46-56)の概要説明をした後、同箇所(pars.46-56)の原文(場合によりその一部)を輪読していく。
24 「IAS12」における 純損益に認識される項目 等に関する規定について:概要説明及び原文の輪読 「IAS12」の「純損益に認識される項目」と「純損益の外で認識される項目」の箇所(pars.57-57A,pars.58-65A)の概要説明をした後、同箇所の原文(場合によりその一部)を輪読していく。
25 「IAS12」における 企業結合により生じる繰延税金 等に関する規定について:概要説明及び原文の輪読 「IAS12」の「企業結合により生じる繰延税金」と「株式に基づく報酬取引から生じた当期税金及び繰延税金」の箇所(pars.66-68C)の概要説明をした後、同箇所の原文(その一部)を輪読していく。
26 「IAS12」における 表示に関する規定について:概要説明及び原文の輪読 「IAS12」の「表示」の箇所(pars.71-78;pars.69-70 deleted)の概要説明をした後、同箇所(pars.71-78)の原文(場合によりその一部)を輪読していく。
27 「IAS12」における 開示に関する規定について:概要説明及び原文の輪読 「IAS12」の「開示」の箇所(pars.79-88)の概要説明をした後、同箇所(pars.79-88)の原文(場合によりその一部)を輪読していく。
28 秋学期中の講義(演習)の総復習 秋学期の第16回~第27回の講義(演習)の総復習を行う。

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