シラバス参照/View Syllabus

授業情報/Class Information

科目一覧へ戻る/Return to the Course List 2022/03/28 現在/As of 2022/03/28

基本情報/Basic Information

開講科目名
/Course
労働法特殊講義/LABOUR LAW
開講所属
/Course Offered by
大学院/
ターム・学期
/Term・Semester
2022年度/2022 Academic Year  春学期/SPRING SEMESTER
曜限
/Day, Period
水3/Wed 3
開講区分
/semester offered
通年/Yearlong
単位数
/Credits
4.0
主担当教員
/Main Instructor
石井 保雄
科目区分
/Course Group
大学院科目 講義科目

担当教員情報/Instructor Information

教員名
/Instructor
教員所属名
/Affiliation
石井 保雄 法律学科/LAW
授業の目的・内容
/Course Objectives
   本講義は、法学研究科博士前期課程における「学位授与方針(DP)」の「学位の裏付けとなる『能力』」のうち「高度の専門性を有する職業に必要な学識」の修得、及び、「教育課程の編成・実施方針(CP)」のうち「法学の分野における研究に必要な基礎的能力」の育成等を目的として、主要な労働事件の裁判例の調査・検討を通じて、近時主要な関心対象となっている個別的労使関係法のみならず、集団的な労使関係法に関する法理の到達点を確認・理解することを内容とする。
 受講者はすでに学部において、すでに労働法学に関する講義を受講していることを前提に、労働法に関する「重要判例」をピック・アップして、個別的および集団的労働法の判例法理を検討したいと考えている。具体的には、ジュリスト別冊『労働判例百選』(第10版)〔2022〕から。当該テーマに関する裁判例をピック・アップして、当該事案における裁判所の判断内容を確認するとともに、それに関する学説の評価を検討することにしたいと考えています。取り上げるべき裁判例とそこで論じられているテーマについては、後述する「授業計画」を参照されたい。
授業の形式・方法と履修上の注意
/Teaching method and Attention the course
  授業の進め方としては、つぎのような講義形式を想定しています。ただし、おそらく少人数の授業となろうかと思います。まず当該事案の概要と判示内容について、私の方から説明します。その論点の確認をしたあと、そのような法的対応の是非について、参加者のあいだで、当該論点に関する議論を進めるというものです。要するに、ソクラテス・メソッドを念頭においています。
 受講者は各自、併せて、労働法学に関する概説書を読んで、当該問題に関する理論状況を確認しておいてほしいと思います。
事前・事後学修の内容
/Before After Study
  事前に下記の文献の該当箇所を読んで、事案における特徴および「論点」がいかなるものであったのかを確認しておくこと。 事後において、自らがとるべき「見解」を明確にし、その理解を説明することができるようにすること。
 以上、2つのことの実行が求められます。
テキスト1
/Textbooks1
書籍名
/Title
ジュリスト別冊『労働判例百選〔第10版〕』(2022)
著者
/Author name
村中孝史・荒木尚志〔編〕
出版社
/Publisher
有斐閣
ISBN
/ISBN
978-4-641-11557-6
その他(任意)
/other
テキスト2
/Textbooks2
書籍名
/Title
ジュリスト増刊『労働法の争点〔第3版〕』(2005)
著者
/Author name
角田邦重・毛塚勝利・浅倉むつ子〔編〕
出版社
/Publisher
有斐閣
ISBN
/ISBN
その他(任意)
/other
テキスト3
/Textbooks3
書籍名
/Title
ジュリスト増刊『新・労働法の争点』(2014)
著者
/Author name
土田道夫・山川隆一〔編〕
出版社
/Publisher
有斐閣
ISBN
/ISBN
978-4-641-11323-7
その他(任意)
/other
参考文献等1
/References1
書籍名/サイト名
/Title
『労働法』第12版
著者
/Author name
菅野和夫
出版社/URL
/Publisher
弘文堂
ISBN
/ISBN
978-4-355-31547-3
その他(任意)
/other
2019
参考文献等2
/References2
書籍名/サイト名
/Title
『労働法』第3版
著者
/Author name
西谷 敏
出版社/URL
/Publisher
日本評論社
ISBN
/ISBN
2020
その他(任意)
/other
参考文献等3
/References3
書籍名/サイト名
/Title
実務に効く労働判例精選
著者
/Author name
岩村正彦・中山慈夫・宮里邦雄〔編」
出版社/URL
/Publisher
有斐閣
ISBN
/ISBN
978-4-641-21510-8
その他(任意)
/other
2018
2018
2018
評価方法
/Evaluation
 基本的には、受講者の通常時の発表内容のあり方を重視し、これを50%とし、講義のなかでの質疑における応答内容50%とする。
備考
/Notes
関連科目
/Related Subjects
 労働法学を研究するにあたっては、憲法(人権)、民法(債権法、とくに契約法および不法行為法)について、基本的な理解が必要なので、各自修得していることを前提としたい。
到達目標
/Learning Goal
労働法の分野における特定の課題に関する日本語及び外国語の学術文献又は関連資料等に基づく講義を通じて専門的な学識を獲得し、それを学術的な議論や論文執筆の場で活用できるようにする。

/Time
授業計画(主題の設定)
/Class schedule
授業の内容
/Contents of class
事前・事後学修の内容
/Before After Study
1 内定取消 9 大日本印刷事件(最2小判昭54・7・20)
 採用内定の法的性質と取消の有効性の要件を理解する。
 事前にテキストおよび参考文献にあげたものにおける今回の該当箇所について、内容を確認し、事後は授業と文献を読み返し、理解の定着を図るかること。
2 試用期間 10三菱樹脂事件(最大判昭48・12・12)
 入社日以降の就労の際の「試用期間」の法的性質と満了時の本採用拒否の法的意義と有効性の要件を理解する。
 
 事前にテキストおよび参考文献にあげたものにおける今回の該当箇所について、内容を確認し、事後は授業と文献を読み返し、理解の定着を図るかること。
3 非正規従業員の賃金差別  丸子警報機事件(長野地上田支判平8・3・15)
 同じ業務に従事しながら、正社員と非正社員との間で労働条件内容が異なることについて、加古と現在の違いを理解する。
 
  事前にテキストおよび参考文献にあげたものにおける今回の該当箇所について、内容を確認し、事後は授業と文献を読み返し、理解の定着を図るかること。
4 男女の賃金差別  兼松事件(東京高判平20・1・31)
 男女間賃金差別と男女雇用均等法の展開を追跡して、現在の到達点を理解すること。
  事前にテキストおよび参考文献にあげたものにおける今回の該当箇所について、内容を確認し、事後は授業と文献を読み返し、理解の定着を図るかること。
5 セクハラ 17 福岡セク・ハラ事件(福岡地判平4・4・16)
 セクシュアル・ハラスメントに関するリ―ディング・ケースである本件裁判例の理論構成と今日の法的到達点を理解する。
  事前にテキストおよび参考文献にあげたものにおける今回の該当箇所について、内容を確認し、事後は授業と文献を読み返し、理解の定着を図るかること。
6 就業規則 22 第四銀行事件(最2小判平9・2・28)
 就業規則の法的性格と、その不利益変更が肯定される要件の判断のあり方について、理解する。
  事前にテキストおよび参考文献にあげたものにおける今回の該当箇所について、内容を確認し、事後は授業と文献を読み返し、理解の定着を図るかること。
7 業務命令 24 国鉄鹿児島事件(最2小判平5・6・11)
 使用者の業務命令の限界について、理解する。
  事前にテキストおよび参考文献にあげたものにおける今回の該当箇所について、内容を確認し、事後は授業と文献を読み返し、理解の定着を図るかること。
8 職務発明 30 オリンパス事件(最3小判平15・4・22)
 従業員の使用者に対する信義則上負担する付随義務の具体的な内容である「職務発明」について理解する。
  事前にテキストおよび参考文献にあげたものにおける今回の該当箇所について、内容を確認し、事後は授業と文献を読み返し、理解の定着を図るかること。
9 出向・転籍 63 新日本製鐵(日鐵運輸第2)事件(最2小判平15・4・18)
 企業間人事異動としての両者の異同を確認し、その法的効力のげんかいについて理解する。
  事前にテキストおよび参考文献にあげたものにおける今回の該当箇所について、内容を確認し、事後は授業と文献を読み返し、理解の定着を図るかること。
10 人事考課と賃金 59 マナック事件(広島高判平13・5・23)
 賃金額の決定について重要な役割をはたし人事考課の法的性格とその限界について理解する。
  事前にテキストおよび参考文献にあげたものにおける今回の該当箇所について、内容を確認し、事後は授業と文献を読み返し、理解の定着を図るかること。
11 退職年金  松下電器事件(大阪高判平18・11・28)
 退職手当としても一時金方式とくらべた年金方式の法的性格とその不利益な変更の限界について理解する。
  事前にテキストおよび参考文献にあげたものにおける今回の該当箇所について、内容を確認し、事後は授業と文献を読み返し、理解の定着を図るかること。
12 労働時間 35 三菱重工長崎造船所事件(最1小判平12・3・9)
 法的な労働時間概念を理解する。
  事前にテキストおよび参考文献にあげたものにおける今回の該当箇所について、内容を確認し、事後は授業と文献を読み返し、理解の定着を図るかること。
13 時間外労働 38 日立製作所武蔵工場事件(最1小判平3・11・28)
 労働者の時間外労働義務の限界について、理解する。
  事前にテキストおよび参考文献にあげたものにおける今回の該当箇所について、内容を確認し、事後は授業と文献を読み返し、理解の定着を図るかること。
14 年次有給休暇 45 時事通信社事件(最3小判平4・6・23
 年休権の法的性格とその具体的な実現のあり方について理解する。
  事前にテキストおよび参考文献にあげたものにおける今回の該当箇所について、内容を確認し、事後は授業と文献を読み返し、理解の定着を図るかること。
15 業務上災害  大分労基署長(大分放送)事件(福岡高判平5・4・28)
 出張中の滞在先での事故が労災補償法上、保護されるべき労働災害の該当性の判断基準について理解する。
  事前にテキストおよび参考文献にあげたものにおける今回の該当箇所について、内容を確認し、事後は授業と文献を読み返し、理解の定着を図るかること。
16 通勤災害 48 国・羽曳野労基署長事件(大阪高判平19・4・18)
 労災とは区別された、通勤途上災害に関する逸脱と中断の法的意味について理解する。
  事前にテキストおよび参考文献にあげたものにおける今回の該当箇所について、内容を確認し、事後は授業と文献を読み返し、理解の定着を図るかること。
17 過労自殺 49 電通事件(最2小判平12・3・24)
 過労自殺が労災に該当する場合の法的要件と、使用者の民事責任のあり方について理解する。
  事前にテキストおよび参考文献にあげたものにおける今回の該当箇所について、内容を確認し、事後は授業と文献を読み返し、理解の定着を図るかること。
18 会社分割 67 日本IBM事件(東京高判平20・6・26)
 会社分割に際しての、労働関係の継続と法的保護のあり方について理解する。
  事前にテキストおよび参考文献にあげたものにおける今回の該当箇所について、内容を確認し、事後は授業と文献を読み返し、理解の定着を図るかること。
19 解雇権 72 高知放送事件(最2小判52・1・31)
 解雇権濫用法理について、理解する。
  事前にテキストおよび参考文献にあげたものにおける今回の該当箇所について、内容を確認し、事後は授業と文献を読み返し、理解の定着を図るかること。
20 整理解雇 74 東洋酸素事件(東京高判昭54・10・29)
 労働者の責めに帰せられるべきものではない、使用者の経営上の理由による解雇の有効性の要件を理解する。
  事前にテキストおよび参考文献にあげたものにおける今回の該当箇所について、内容を確認し、事後は授業と文献を読み返し、理解の定着を図るかること。
21 有期契約の更新拒否 80 日立メディコ事件(最1小判昭61・12・4)
 期間の定めのある労働契約の更新拒絶の有効性について理解する。
  事前にテキストおよび参考文献にあげたものにおける今回の該当箇所について、内容を確認し、事後は授業と文献を読み返し、理解の定着を図るかること。
22 管理職組合  中労委(セメダイン)事件(最1小判平13・6・14)
 一般職ではなく、管理職の地位にある者たちによる労働組合の結成のあり方について理解する。
  事前にテキストおよび参考文献にあげたものにおける今回の該当箇所について、内容を確認し、事後は授業と文献を読み返し、理解の定着を図るかること。
23 ユニオンショップ 83 三井倉庫事件(最1小判平1・12・14)
 ユニオン・ショップ協定の法的有効性について理解する。
  事前にテキストおよび参考文献にあげたものにおける今回の該当箇所について、内容を確認し、事後は授業と文献を読み返し、理解の定着を図るかること。
24 組合活動 87 大成観光事件(最3小判昭57・4・13)
 企業内組合活動の権利性について、リボン闘争を素材に理解する。
  事前にテキストおよび参考文献にあげたものにおける今回の該当箇所について、内容を確認し、事後は授業と文献を読み返し、理解の定着を図るかること。
25 労働協約による不利益変更 91 朝日火災海上(石堂)事件(最1小判平9・3・27)
 労働協約の不利益変更の法的有効性について理解する。
  事前にテキストおよび参考文献にあげたものにおける今回の該当箇所について、内容を確認し、事後は授業と文献を読み返し、理解の定着を図るかること。
26 ピケ 95 御国ハイヤー事件(最2小判平4・10・2)
 争議行為の正当性要件をピケティングを素材に考える。
  事前にテキストおよび参考文献にあげたものにおける今回の該当箇所について、内容を確認し、事後は授業と文献を読み返し、理解の定着を図るかること。
27 ロックアウト 100 丸島水門事件(最3小判昭50・4・258)
 ロックアウトの有効性要件について考える。
  事前にテキストおよび参考文献にあげたものにおける今回の該当箇所について、内容を確認し、事後は授業と文献を読み返し、理解の定着を図るかること。
28 不当労働行為――使用者の中立保持義務 107 日産自動車事件(最3小判昭60・4・23)
 使用者の中立保持義務の意義について、考える。
  事前にテキストおよび参考文献にあげたものにおける今回の該当箇所について、内容を確認し、事後は授業と文献を読み返し、理解の定着を図るかること。

科目一覧へ戻る/Return to the Course List