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授業情報/Class Information

科目一覧へ戻る/Return to the Course List 2022/08/26 現在/As of 2022/08/26

基本情報/Basic Information

開講科目名
/Course
社会科学概論-1/INTRODUCTION TO SOCIAL SCIENCES -1
開講所属
/Course Offered by
法学部総合政策学科/LAW POLICY STUDIES
ターム・学期
/Term・Semester
2022年度/2022 Academic Year  春学期/SPRING SEMESTER
曜限
/Day, Period
月4/Mon 4
開講区分
/semester offered
春学期/Spring
単位数
/Credits
2.0
学年
/Year
1,2,3,4
主担当教員
/Main Instructor
嶋津 格

担当教員情報/Instructor Information

教員名
/Instructor
教員所属名
/Affiliation
嶋津 格 総合政策学科/POLICY STUDIES
授業の目的・内容
/Course Objectives
この授業で学生諸君が身につけるはずのことは、これから政治・法・経済・社会に関する様々な問題(社会科学が扱う対象)にぶつかりながら成長してゆくための暫定的な(思想的)「海図」に当たるものを身につけることである。この海図はどこまでいっても不完全なものだし、様々な経験と学習によって今後どんどん修正されてゆくものだが、色々な学習と経験によって修正される元になる出発点での海図に当たるものは、やはり不可欠である。私の場合、これは同時に私の思想遍歴を語る、という側面ももっている。なお、ここで身につけるはずのものの中には、一見魅力的に見えるが単純に信じてしまうと実際には致命的であるかもしれない、様々な「イデオロギー」に対する耐性も含まれる。正しいように見える革命思想、世直し、単純な市場信仰、民主主義万能論、歴史発展法則主義、過激平等主義(≒identity politics)・・・これらは、この「海図」が示す、避けるべき暗礁、その他危険地帯である。多くの思想は、それらがなければ人類が経験せずに済んだ大規模な悲劇を、人間世界にもたらす原因にもなったからである。この目的のため、革命理論、自由主義、保守主義などを代表する何人かの思想家たちの考え方の概略を学生諸君が理解できるように、授業を進めるつもりである。個々の思想の概略で満足できない諸君は、具体的思想の本体に挑戦してみてほしい。
授業の形式・方法と履修上の注意
/Teaching method and Attention the course
授業は教室での対面講義の形式で行う。授業に出ない学生諸君も授業を聴くことができるように、授業時に録音をしてmanaba上に音声ファイルをアップする。しかし学生諸君は、できるかぎり実際に対面授業に出席してほしい。授業形態の変更がある場合には、manabaを通して連絡するので、注意していてほしい。また、manabaの「個別指導」を利用すると、学生と教員のプライベートな対話が可能になる。これまでも多くの学生が、このルートを通して様々な質問やコメントをくれたし、私もそのほとんどに回答した。そしてその応答を、個人情報を削除して、manabaの掲示板にアップして、他の学生にも読めるようにした。今年の授業についても、同じ試みをしたい 。
事前・事後学修の内容
/Before After Study
この授業ではテキストとなる1冊の本を指定していないが、参考となる抜粋や論文はmanabaにアップするので、down loadして事前に読んでほしい(2時間)。それと別に、各思想家の著書などは読書リストとして事前に挙げるので、原典に目を通してみることを勧める(事後学習として毎回2時間×14回=28時間あれば、2~3冊は読めるはず)。また、授業を聴いて考えたこと、わからないことを、質問やコメントとして上記の「個別指導」に書いてみよう。また掲示板にアップする、他の学生がした質問などとそれに対する嶋津の回答を読むことも、参考になると思う。質問が授業の内容から外れてもかまわないので、ラジオのリスナーからの葉書、みたいなノリの質問も、くれるとうれしいです。
テキスト1
/Textbooks1
書籍名
/Title
著者
/Author name
出版社
/Publisher
ISBN
/ISBN
その他(任意)
/other
※備考欄を参照
テキスト2
/Textbooks2
書籍名
/Title
著者
/Author name
出版社
/Publisher
ISBN
/ISBN
その他(任意)
/other
テキスト3
/Textbooks3
書籍名
/Title
著者
/Author name
出版社
/Publisher
ISBN
/ISBN
その他(任意)
/other
参考文献等1
/References1
書籍名/サイト名
/Title
自生的秩序――ハイエクの法理論とその基礎
著者
/Author name
嶋津 格
出版社/URL
/Publisher
木鐸社
ISBN
/ISBN
4-8332-9009-X
その他(任意)
/other
昔に出た本ですがまだ買えます。私の学位論文が本になったもの。
参考文献等2
/References2
書籍名/サイト名
/Title
著者
/Author name
出版社/URL
/Publisher
ISBN
/ISBN
その他(任意)
/other
参考文献等3
/References3
書籍名/サイト名
/Title
著者
/Author name
出版社/URL
/Publisher
ISBN
/ISBN
その他(任意)
/other
評価方法
/Evaluation
2019年度までの試験は、ケルゼン、マルクス、ポパー、ハイエク、ロールズなどが書いた文章(和訳文)と、それら思想家について書かれた文章を多数並べて、それらを書いた人は誰か、それらは誰の思想を解説した文章か、を選択式で選ぶ方式をとっていた(択一式試験、100%)。2022年度もできればこの方式に戻したいと考えている。しかし、一斉試験が難しい場合には、期末レポート(100%)にせねばならないかもしれない。manabaでの連絡に注意してほしい。択一式試験の場合、よく私の授業を聴いていれば、抜粋されている文章が誰の文章かが大体わかるはずである。それぞれの思想家は、論じているテーマと内容が相互にまったく異なるから、ポイントをつかめれば、間違えることはほとんどなくなるだろう。まあ、キーワード集もmanabaにあげるので、それを利用して、択一式試験で高い点を取る学生も毎年いるようである。この種の記憶力は私にはないので、感心させられるところではある。逆に、出来が悪くて心配になる学生もいるが、不可が大量に出ることがないよう、相対評価として成績の調整も行う。
関連科目
/Related Subjects
法思想史、法哲学、法社会学
備考
/Notes
それぞれの思想家からの抜粋、関連論文の一部など参考文献はmanabaに挙げるので、それぞれdown loadして読んでほしい。さらに進んで思想家自身の著書を読む場合の、比較的読みやすい本の情報も、manabaにアップする。
到達目標
/Learning Goal
法学、政治学の視点から現代の社会問題を正確に解釈し、個別の事象について見解を示すことができるようにする。

/Time
授業計画(主題の設定)
/Class schedule
授業の内容
/Contents of class
事前・事後学修の内容
/Before After Study
1 ケルゼン1(法実証主義) 法とは人間が意志によって作るものでそれに尽きる、とする法理論について。 以下、事前・事後学習で読むべき文献については、その都度manabaにアップする。
2 ケルゼン2(民主主義論) 価値相対主義的民主主義論理解。価値判断はどれも同列なのか。誤りはありえない?
3 マルクス1(歴史哲学) ヘーゲルを「逆立ち」させ、唯物論の立場に立つ歴史哲学。歴史の進歩は必然か。
4 マルクス2(搾取論) 労働価値説に基づいて論証される資本家の搾取。資本家は搾取によって富んでいるのか。
5 ポパー1(科学哲学) 科学的法則の証明不可能性。反証の試みとそれを生き残った仮説の集まりとしての科学。
6 ポパー2(開かれた社会論) プラトン、ヘーゲル、マルクスを「知」の幻想に基づく全体主義として批判する自由社会論。
7 ハイエク(ウィーン学派の経済学) 近代経済学の源泉の一つであるウィーン学派。主観的価値論。発見過程としての競争論。
8 ハイエク(理性の傲慢を批判する思想史) 人間理性への過信として説明される近代合理主義。擁護される進化論的理解。
9 ハイエク(隷従への道理論と自由の擁護) 当時物議をかもし多くの経済学者を敵に回したが、今も古びない社会主義批判。
10 マクロ経済学的発想(ケインズ、スティグリッツなど)について 個人の活動だけでは解決できない不況の場合に国家の経済政策が必要だとするマクロ経済政策。
11 ロールズ1 思想の世界を大きく変えた『正義論』。まずはその概要と説得力を確認する。
12 ロールズ2 正義論の前提にある平等主義とその批判的検討。後期ロールズの評価。
13 オークショット(イギリス保守主義) 「哲学的」理論一般に対する不信と伝統への信頼を述べる英国保守主義。「合理主義」は否定的言葉。
14 ファインバーグ(古き米国のリベラリズム) 現在の米国リベラリズムが平等に執着するのとは異なって、個人の尊厳を中心にした米国における古典的な自由主義の理論。

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