シラバス参照/View Syllabus

授業情報/Class Information

科目一覧へ戻る/Return to the Course List 2022/08/26 現在/As of 2022/08/26

基本情報/Basic Information

開講科目名
/Course
交流文化論(トランスナショナル文化特殊講義(移民・難民と日本社会))/STUDIES IN TOURISM AND TRANSNATIONAL
開講所属
/Course Offered by
外国語学部/FOREIGN LANGUAGES
ターム・学期
/Term・Semester
2022年度/2022 Academic Year  秋学期/FALL SEMESTER
曜限
/Day, Period
火4/Tue 4
開講区分
/semester offered
秋学期/Fall
単位数
/Credits
2.0
学年
/Year
2,3,4
主担当教員
/Main Instructor
高橋 雄一郎

担当教員情報/Instructor Information

教員名
/Instructor
教員所属名
/Affiliation
高橋 雄一郎 交流文化学科/TOURISM AND TRANSNATIONAL STUDIES
授業の目的・内容
/Course Objectives
8月20日にシラバスを改訂しました。変更点は教科書です。2冊目の教科書を今年6月30日に刊行された『外国人差別の現場』にし、以前にシラバスに掲載されていた『あなたのルーツをおしえてください』は産駒文献として扱います。間違えのないように気をつけてください。

「日本は単一民族国家だ」という人がいますが、大きな間違いです。どんな社会も例外なく多民族で構成されていますし、今後はもっと多民族・多文化・多言語化が進展するでしょう。このコースでは、多様性が尊重され、誰もが暮らしやすい世界の構築に向けて何が必要かを、受講生の皆さんと共に議論していきます。

今年の授業では、法務省出入国在留管理庁(入管)が、難民申請者や非正規滞在者を刑務所のような施設に収容し、強制送還している問題に焦点をあてます。在留資格(ヴィザ)の期限が切れてしまったなどで入管に摘発された人たちは、ほとんどが自費で航空券を購入して帰国しています。しかし、帰国すると迫害を受ける可能性が高い難民申請者や、同居家族や仕事など、生活の基盤が日本にある場合、最後まで帰国を拒む人たちも存在します。入管はこうした人たちを収容し、最終的には強制的に帰国させようとするのですが、人権、人道上、大きな問題になっています。

昨年、国はこうした人たちの収容、送還を容易にするために、難民申請者の送還を可能にしたり、送還忌避に刑事罰を新設したりする入管法の改正(改悪)案を国会に提出しました。また、日本語学校の学費が払えなくなり、留学ヴィザが無効になったスリランカ出身のウィシュマ・サンダマリさん(33歳)が、収容先の名古屋入管で亡くなるという痛ましい事件も起きました。体重が大幅に減少し、本人が病気を訴えていたのにもかかわらず、適切な医療へのアクセスが拒否されていた可能性の高く、遺族は国を訴える裁判の準備をしています。

このコースでは、多民族・多文化・多言語化が進む日本社会で、民族、言語、宗教などの違いから、あるいは正規の在留資格を有していないなどの理由で、生活に困難や不自由を感じている人たちについて学びます。日本国憲法が謳う「健康で文化的な生活」は、日本国籍を持たない人たちにも保障されるべきだと、私は考えています。排外主義やゼノフォビア(外国人嫌悪)を生み出す要因が日本社会の側にあるとすれば、どのようにして取り除くことができるか、誰もが幸福をつかむことのできる、誰一人排除されない社会を目指して、勉強していきましょう。

授業の形式・方法と履修上の注意
/Teaching method and Attention the course
資料の配付、連絡、課題の提出などに、manabaを使います。掲示に注意してください。初回の授業に向けたテクストや課題もmanabaに掲示します。履修登録をした方は、必ずすぐにmanabaを確認してください。

毎週の授業のフィードバックをクラスのフェイスブック・グループに書き込んでいただく予定です。これについては初回の授業で説明します。

昨年とは内容が異なるので重複履修を可とします。

秋学期、このコースが始まる頃にコロナが終息していると期待しています。可能であればエスニック・コミニュティーを訪問したり、学外のイヴェントやセミナーに参加したり、教室の外に出るフィールドワークもおこなっていきましょう。品川の入管収容施設に面会に行くことも考えています。

また、授業ではディスカッションが中心になります。受講生には積極的な参加をお願いします。

購入をお願いするテクストが2冊あります。一冊は本人のちょっとしたミスから在留資格を失い、入管に収容されてしまう主人公を描いた、直木賞受賞作家、中島京子さんの小説『やさしい猫』、フィクションですが、リサーチには入管問題を専門に扱う指宿昭一、駒井千会弁護士が全面的に協力し、裁判場面などとてもリアルな内容になっています。可能なら授業開始前に入手して読み始めてください。

もう一冊はジャーナリストの安田浩一さんと安田菜津紀さんが今年の6月に出版された、朝日新書『外国人差別の現場』です。

また、春に公開したシラバスに記載されていた安田菜津紀さんの『あなたのルーツを教えてください』は参考文献として使います。

次ページの授業計画は昨年のままになっています。今年のものは、初回の授業で詳しく説明します。

事前・事後学修の内容
/Before After Study
テクストや課題の予習復習、背景となる歴史や社会状況を調査、問題点や質問事項を整理して授業に臨むこと。授業後は復習と授業へのフィードバックが必要です。
テキスト1
/Textbooks1
書籍名
/Title
やさしい猫 
著者
/Author name
中島京子
出版社
/Publisher
中央公論 2021 定価2000円+税
ISBN
/ISBN
978-4-12-005455-6
その他(任意)
/other
Duoにも教科書として手配しておきますが、可能であれば早めに購入して読み始めてください。最初の3章(96ページまで)ぐらい。
テキスト2
/Textbooks2
書籍名
/Title
外国人差別の現場
著者
/Author name
安田浩一 安田菜津紀
出版社
/Publisher
朝日新書 定価850円+税
ISBN
/ISBN
978-4-02-29517-8
その他(任意)
/other
テキスト3
/Textbooks3
書籍名
/Title
その他、新聞記事の抜粋など、manabaを通じて配付します。
著者
/Author name
出版社
/Publisher
ISBN
/ISBN
その他(任意)
/other
参考文献等1
/References1
書籍名/サイト名
/Title
あなたのルーツを教えてください
著者
/Author name
安田菜津紀
出版社/URL
/Publisher
左右社 2022 定価1800円+税
ISBN
/ISBN
その他(任意)
/other
参考文献等2
/References2
書籍名/サイト名
/Title
著者
/Author name
出版社/URL
/Publisher
ISBN
/ISBN
その他(任意)
/other
参考文献等3
/References3
書籍名/サイト名
/Title
著者
/Author name
出版社/URL
/Publisher
ISBN
/ISBN
その他(任意)
/other
評価方法
/Evaluation
毎週のフィードバックを含むポートフォリオ(100%)
関連科目
/Related Subjects
備考
/Notes
到達目標
/Learning Goal
交流文化に関する各種分野について特定の専門知識を習得し、分析のうえ見解を提示できるようにする。

/Time
授業計画(主題の設定)
/Class schedule
授業の内容
/Contents of class
事前・事後学修の内容
/Before After Study
1 イントロダクション ワタシタチハニンゲンダ
2 移民 移民・難民の定義、世界の動向
3 労働者 労働者として働き、生活可能な社会を
4 定住 在留資格と定住者の権利
5 教育 多様な教育をすべての子どもに保障する
6 貧困 貧困の再生産を止めるために
7 多様性 出身文化と継承文化
8 言語 多言語社会をめざして
9 国籍 複数国籍の容認を
10 差別 ヘイトスピーチの根絶を
11 難民 難民が認定され、安心して申請できる国を目指して
12 非正規移民 アムネスティの実施可能性を探る
13 収容 不必要な収容を廃止へ
14 まとめ マジョリティーが変わることから出発しよう

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