シラバス参照/View Syllabus

授業情報/Class Information

科目一覧へ戻る/Return to the Course List 2021/08/23 現在/As of 2021/08/23

基本情報/Basic Information

開講科目名
/Course
国際NPO論b/INTERNATIONAL NPO(B)
開講所属
/Course Offered by
経済学部国際環境経済学科/ECONOMICS ECONOMICS ON SUSTAINABILITY
ターム・学期
/Term・Semester
2021年度/2021 Academic Year  秋学期/FALL SEMESTER
曜限
/Day, Period
金5/Fri 5
開講区分
/semester offered
秋学期/Fall
単位数
/Credits
2.0
学年
/Year
2,3,4
主担当教員
/Main Instructor
長瀬 理英

担当教員情報/Instructor Information

教員名
/Instructor
教員所属名
/Affiliation
長瀬 理英 国際環境経済学科/ECONOMICS ON SUSTAINABILITY
授業の目的・内容
/Course Objectives
 学科専門科目として、持続可能な発展のための国際社会システムの構築を探り、国際的な政治社会・経済社会・市民社会の相互依存関係において問題を捉える能力を身につける。特に、国際NPOの取り組みについて具体的事例を踏まえながらも理論的背景について考察していく。「貧困」をテーマに取り上げ、まず、「貧困」とは何か、様々な定義があること、定義の違いによって取り組み方にも違いがあることが理解できる。
 主なアプローチには、主流にある経済成長アプローチ、新しい枠組みを提供しているケイパビリティ・アプローチおよびこれに基づく「人間開発」や具体的実践として国際NPOを中心に取り組まれている「持続可能な生計」や「権利に基づくアプローチ」がある。
また、直接的な支援のほかに、アドボカシーとして政府や企業の政策に影響を与えていくアプローチも検討する。「持続可能な開発目標」(SDGs)や「企業の社会的責任」(CSR)に対し国際NPOがどのような取り組みをしているか、理解できる。
 概念的な把握だけでなく、具体的な事例を踏まえ、各々のアプローチが実際に生じている問題を解決するうえでどのように有効か、または有効でないかについて考え、自分が国際NPOであればどのようなアプローチをとるか、どのような効果が期待できるかについて考えることができる。
授業の形式・方法と履修上の注意
/Teaching method and Attention the course
 初回授業は対面形式で行う。講義形式を基本とするが、毎回授業で出す課題についてグループ討論で意見交換してもらう。
 各受講生はグループ討論を踏まえ、manabaのレポート機能を通じて自分なりの回答を提出する。
 
 教室に居ながらにして「貧困」の実相を知る手段としてドキュメンタリー映画『ダーウィンの悪夢』を視聴し、その他の調査・研究の結果を紹介しながら、「貧困とは何か」について考える。また、2016年に日本国内で論議を呼んだ「貧困女子高生」をとりあげ、映像資料などを通じて「貧困とは何か」について考える。
そのうえで、最近の「人間開発」など新しい取り組みの理論的根拠となっている「ケイパビリティ・アプローチ」について事例や演習を通じて理解するとともに、応用としての「人間開発」、「持続可能な生計アプローチ」などについて事例を踏まえて理解する。
「国際NPO論a」と関連はするが、特に受講の前提とはしない。したがって、「国際NPO論a」をとっていなくても受講可能。
事前・事後学修の内容
/Before After Study
 上記「授業の形式・方法」に沿って、討論に参加できるよう予習しておくこと(約1時間)。復習をしながら毎回の授業課題に回答する(約1.5時間)。復習や課題への取り組みを通じて理解できないことがあれば、質問できるようにしておくこと(約0.5時間)。
テキスト1
/Textbooks1
書籍名
/Title
毎回の授業用に資料を配布する
著者
/Author name
出版社
/Publisher
ISBN
/ISBN
その他(任意)
/other
テキスト2
/Textbooks2
書籍名
/Title
著者
/Author name
出版社
/Publisher
ISBN
/ISBN
その他(任意)
/other
テキスト3
/Textbooks3
書籍名
/Title
著者
/Author name
出版社
/Publisher
ISBN
/ISBN
その他(任意)
/other
参考文献等1
/References1
書籍名/サイト名
/Title
「『普遍的価値』と『人間の安全保障』」甲斐田他共編著『小さな民のグローバル学』
著者
/Author name
長瀬理英
出版社/URL
/Publisher
SUP上智大学出版
ISBN
/ISBN
9784324099445
その他(任意)
/other
2016
参考文献等2
/References2
書籍名/サイト名
/Title
『貧困の克服』
著者
/Author name
アマルティア・セン/大石りら訳
出版社/URL
/Publisher
集英社
ISBN
/ISBN
9784087201277
その他(任意)
/other
集英社新書、2002年
参考文献等3
/References3
書籍名/サイト名
/Title
著者
/Author name
出版社/URL
/Publisher
ISBN
/ISBN
その他(任意)
/other
評価方法
/Evaluation
平常点:60%(毎回授業の課題への回答)、期末レポート:40%
評価基準は主として、①設問に対する応答が適切かどうか、②適切な形式が採用され、論理的ならびに説得力のある文章が展開されているかどうか、③批判的な考察を含め、十分に思考・判断がなされているかが中心となる。
関連科目
/Related Subjects
国際NPO論a
備考
/Notes
到達目標
/Learning Goal
国際NPO(非営利組織)に関する専門知識を習得し、国際的なNPOの事業や活動等について分析のうえ、見解を提示できるようにする。

/Time
授業計画(主題の設定)
/Class schedule
授業の内容
/Contents of class
事前・事後学修の内容
/Before After Study
1 イントロダクション/オリエンテーション 授業の概要。NPOとは何かについて理解する。 「非/Non」について積極的な意味・意義があることを振り返ること。
2 「貧困とは何か」(1):ヴィクトリア湖周辺住民の生活―生態系、加工産業。地域経済と人びとの生活の変化 ドキュメンタリー映画『ダーウィンの悪夢』の前説、私たちとの関係、前半部の視聴。 ドキュメンタリー映画の内容について「あってはならない状態とは何か」、「そうした事態はなぜ生じたのか」について振り返ること。
3 「貧困とは何か」(2):ヴィクトリア湖周辺住民の生活―漁民および妻子への影響 『ダーウィンの悪夢』後半部の視聴。映画には表現されなかった事実についての補足・深掘り。 「あってはならない状態とは何か」、「そうした事態はなぜ生じたのか」について振り返ること。特に、補足された事実を踏まえて深掘りすること。
4 「貧困とは何か」(3):貧困のとらえ方とはかり方 『ダーウィンの悪夢』から「貧困とは何か」について考える。「絶対的貧困」、「相対的貧困」からはとらえれれないあ「あってはならない状態」としての「貧困」。 さまざまな「貧困」の定義と、違いについて理解すること
5 ケイパビリティ・アプローチの視点と取り組み(1):絶対的貧困、相対的貧困、ケイパビリティの貧困 日本国内における「貧困女子高生」をめぐる論議について、「絶対的貧困」、「相対的貧困」、「ケイパビリティからみた貧困」について考える。 「貧困女子高生」をめぐる論議について、『NHKニュース』、NHK『見えない貧困』、フジドラマ『健康で文化的な最低限度の生活』の視聴を通じ、自分なりに「貧困」の違いを振り返ること
6 ケイパビリティ・アプローチの視点と取り組み(2):ケイパビリティ・アプローチとは何か ケイパビリティ・アプローチとは何か。定義、所得アプローチとの比較。フランスなどにおける実際の適用事例。 ケイパビリティ・アプローチという複雑な考え方の基本について理解すること。
7 ケイパビリティ・アプローチの視点と取り組み(3):ケイパビリティ・アプローチの演習① さまざまな事例を用いてケイパビリティ・アプローチについての理解を深める。「本を読むことができる」について自分でケイパビリティ・アプローチを適用してみる。 事例や演習を通じて、ケイパビリティ・アプローチをどこまで理解しているか確認すること。できていない場合、積極的に質問すること。
8 ケイパビリティ・アプローチの視点と取り組み(4):ケイパビリティ・アプローチの演習② 韓国子どもコミュニティセンターの事例などを通じて「夢を見ることができる」について考える 事例や演習を通じて、ケイパビリティ・アプローチをどこまで理解しているか確認すること。できていない場合、積極的に質問すること。
9 ケイパビリティ・アプローチの視点と取り組み(5):ケイパビリティ・アプローチによる支援 『ダーウィンの悪夢』に出てきた、所得アプローチでは解決できない「貧困」に対するケイパビリティ・アプローチを用いた取り組みの成功例 所得アプローチでは解決できなかった問題にケイパビリティ・アプローチが有効であることを理解すること
10 ケイパビリティ・アプローチに基づく人間開発 「人間開発」の定義とケイパビリティ・アプローチおよび持続可能な開発。国際開発協力への寄与。 人間開発の理論的根拠にケイパビリティ・アプローチがあることを理解し、日本語訳の定義の間違いに気づくこと。
11 開発協力型国際NPOの取り組み(1):持続可能な生計 ケイパビリティ・アプローチを実践的に応用したアプローチの紹介。第8回で紹介した成功事例への適用。 複雑なケイパビリティ・アプローチを実践用に簡易化したアプローチについて理解すること。
12 開発協力型国際NPOの取り組み(2):権利に基づくアプローチ 近年国際NPOに注目されてきたアプローチの紹介。ニーズ・アプローチとの比較。ネパールの債務奴隷廃止への適用事例。 権利に基づくアプローチの有効性と課題/限界、ディレンマについて理解すること。
13 アドボカシー型国際NPOの取り組み(1):持続可能な開発目標(SDGs) 持続可能な開発目標とは何か。ミレニアム開発目標(MDGs)との関連。日本政府に対する日本の国際NPOのアドボカシー事例。 SDGsへの日本の市民社会の取り組みを通じ、自分自身の事柄としてとらえなおしてみること。
14 アドボカシー型国際NPOの取り組み(2):企業の社会的責任(CSR) 企業の社会的責任とは何か。オリンピックと関連した国際NPO取り組み事例。 企業の社会的責任の促進には、国際NPOが重要な役割を果たす場合があることについて振り返ること。

科目一覧へ戻る/Return to the Course List