本学特任教授 前田 裕司
本学特任教授
前田 裕司
弁護士、東京ディフェンダー法律事務所、東京弁護士会所属、
日弁連裁判員本部副本部長、同 取調可視化実現本部副本部長、
同 国選弁護本部本部長代行等の要職を務める。
刑事弁護のプロフェッショナル。裁判員裁判における弁護活動の
あり方を各地の弁護士会で講演した他、平成23年7月25日には
最高裁で逆転無罪判決を勝ち取る。
本学特任教授 三宅 弘
本学特任教授
三宅 弘
弁護士、原後綜合法律事務所所長、第二東京弁護士会所属、
内閣府行政透明化検討チーム座長代理、同 公文書管理委員会委員、
同 消費者委員会個人情報保護専門調査会委員等の要職を務める。
情報法のプロフェッショナル。法廷メモ事件のほか、最判平成21年
1月19日のいわゆる損害軽減義務判決の代理人も務める等
オールラウンドに活躍。
聞き手:
本学助教 峯岸 優子
本学助教
峯岸 優子
弁護士、松本合同法律事務所
埼玉弁護士会所属、本学法科大学院1期生

本座談会の趣旨

峯岸 本日は、刑事裁判で逆転無罪の判決を最高裁で勝ち取った前田先生、民事裁判で損害軽減義務に関する重要判例を作られた三宅先生の両辣腕弁護士から御活躍の秘訣などについて教えていただくとともに、両先生が、実務家教員として重要科目を直接指導する「獨協ロースクールの良さ」をお聞きしたいと思います。どうぞよろしくお願い致します。

前田三宅 こちらこそ、よろしくお願いします。

弁護士を志したきっかけ

前田 裕司

峯岸 それでは、まず両先生が弁護士を志されたきっかけを教えていただけましたらと思います。

三宅 私は大学4年生になる頃までは、政治学者になりたいと考えていました。そこで、原子力発電所の立地をめぐる政治意識について調査をしていました。その際、原子力発電所に関しては、地役権が設定され、送電塔として利用されていることが判明しました。しかし、当時の私には地役権が何なのかよくわかりませんでした。そこで、これではダメだ、まずは法律を知らなくては話しにならないと感じ、法学を詳しく勉強し始め、その必要性も自覚できて勉強が面白くなり、結局弁護士を目指すことになったわけです。人生わかりませんね。

前田 私は大学生になる頃には、すでに弁護士を目指していました。実は、高校生のころには、政治に興味があり、政治記者を目指していたのです。しかし、政治記者の仕事をよく調べるうちに、たとえば大新聞社の記者でも、結局は大企業の従業員でしかないのではないかと感じ始めました。もっと自由に、もっと社会のために貢献できる仕事は何であろうかと考えたときに、その答えが弁護士だったわけです。

専門分野をどのようにして確立したのか


峯岸 現在、前田先生は刑事、三宅先生は民事・情報という確固たる専門分野をお持ちでいらっしゃいますが、若い頃からこの分野で活躍しようというお考えだったのでしょうか、お聞かせください。

前田 私が若い頃は、実は労働事件の方を専門にしていました。受任事件の7割くらいが労働事件だったと思います。30件くらいの労働事件を常に抱えている状況でした。しかし、バブル期以降、労働事件は減少し、労働運動は衰退していってしまいました。
そしてバブル崩壊から数年後に、オウム真理教事件が起こったのです。この事件が私の弁護士活動にとって、一つのターニングポイントです。あのような事件ですから、刑事弁護人の担い手はあまりいませんでした。しかし、そうだからこそ、私はこれを担おうと思ったのです。人のやりたがらないことをやる、この私の信念が刑事弁護人としての道へと自らをシフトさせた大きな要因です。日弁連の刑事関連委員会に参加し、そのことから北千住パブリック法律事務所の所長等を歴任するなど、刑事事件を担うことが圧倒的多数になったのです。

三宅 弘三宅 私も被疑者の人権擁護と労働者の権利保護を将来の専門としたいと考え、司法試験では、刑事訴訟法と労働法を選択しました(旧司法試験では、訴訟法は民事訴訟法または刑事訴訟法のいずれかを選択となっていました)。しかし、現在はいずれも主たる業務ではありません。入った事務所が、一般民事とともに企業法務を取り扱う事務所であったことが強く影響していると思います。
 もっとも、情報の分野に関しては、弁護士なりたての頃にはすでに専門にしていこうと決めていました。実は、司法試験に合格した時、情報公開を求める市民運動が盛んになり、私も合格後に顔を出したりしていました。そして、弁護士になってまもなく、ある自治体が下した情報非公開の決定処分取消を求める訴訟を起こしたところ、日本で最初に勝訴したのです。これを機に、私は情報公開のプロになろうと決意しました。
 その頃、アメリカ人のローレンス・レペタにめぐり合うことになります。彼が日本の裁判所でメモを採ろうとしたところ、裁判所からそれを禁じられたのです。当時の日本では法廷でメモを採る自由は認められていませんでした。しかし、アメリカ人の彼は納得できません。なぜ、アメリカでできることが、日本でできないのだと彼は言うのです。それでは、訴訟を起こそうということになりました。この訴訟は、地裁・高裁・最高裁とすべて敗訴でした。しかしながら、最高裁判決が出されたその日に、最高裁から各地の裁判所へ、法廷でメモを採ることを認めるようにという通達が出されたのです。当時の裁判長が矢口洪一・元最高裁判所長官です。今となっては、この出来事が司法制度改革のはじまりであると思います。

勝ち取った最高裁判決について

峯岸 それでは、いよいよ両先生が勝ち取られた最高裁判決のお話しを伺いたいと思います。この事件を受任された当初から、このような判決が最高裁で出されることを予想されておられたのか、そして感想等色々とお聞かせください。

三宅 まず、法廷メモ事件についてお話しさせてください。この事件では、上告前に、日弁連が「法廷でメモを採ることを禁じているか」について世界中をアンケート調査したのです。その結果、禁止しているのが日本と韓国だけであるということがわかりました。そこで、知る権利の観点から、このような状況はおかしいではないかと上告理由書で主張し、日弁連でもこれを支持する運動を展開しようとしたわけです。
 これに対し、最高裁サイドからは「何とかするから待ってくれ」という雰囲気が伝わってきました。でも、当時の私たちは裁判官を信用できませんでした。その後、大法廷で弁論が開かれ、弁護士5年目の私は「裁量権濫用論」を大展開しました。そのとき、忘れもしません、裁判長と目がバッチリ合ったのです。
 この訴訟は国賠訴訟で、結果的に敗訴に終わったわけですが、前述のとおり即日、全国の裁判所に法廷でのメモを認める通達が出されました。そのとき、「何とかするから待ってくれ」とは、このことなのかと了解しました。訴訟には負けましたが、感慨深かったですね。

前田 裕司 前田 私が無罪判決を取った事件は、控訴審まで私は弁護人になっていませんでした。しかし、弁護人であった同じ事務所の弁護士から相談を受けており、控訴審で無罪判決が出るものと予想していました。ところが、控訴審は、経験則に違反する非常識な判断をして、被告人を有罪だとしたのです。  そこで、上告審では、私も弁護人になりました。上告趣意書を書いてみて、こんなに筆の進む、作業の楽しい上告趣意書の作成は初めてでした。控訴審は被害者の供述に沿って、被告人を有罪だと判断したのですが、そもそも被害者の供述がおかしいのです。被害者の供述の不自然さを色々と指摘し、その供述に基づく控訴審判決の不当性を強調して、「このような事件を最後の審判者である最高裁が救済しなかったら、司法に対する信頼が根本から揺らぎかねない」と訴えました。そして、これは刑事訴訟法405条の定める上告申立理由にはあたらないが、同法411条3号の「判決に影響を及ぼすべき重大な事実の誤認があり、破棄しなければ著しく正義に反する」場合にあたるから、原判決は破棄を免れないと主張したのです。
 最高裁は、上告趣意書のとおりの判決を下しました。無実であることは確信していましたが、最高裁が逆転無罪の判決を出してくれるかどうかについては懐疑的でしたから、弁論が入り無罪の判決を得たときはヤッターという感じでした。本判決は、裁判員裁判を担う市民のために、「合理的な疑いを超えた証明」とは何かを市民に示したメッセージであると私は感じています。

三宅 損害軽減義務の事件は、次のとおりです。ビルの地下1階を借りて、カラオケ店を営んでいる賃借人がいたところ、そのビルは建築から30年以上が経過し、水漏事故等のため賃借人の営業にも支障を及ぼす状況で、老朽化による大修繕を余儀なくされていました。しかし、ビル賃貸人には十分な資産がなく、大修繕の履行が難しい状況でした。もっとも、水漏事故によるカラオケセット等の損傷に関しては、保険金が賃借人に支払われており、カラオケ店を引き続き営むためには、賃借人は他所に転出して営業を再開すればよかったわけです。ところが、その賃借人は出て行かず、かえって水漏事故等によるカラオケ店休業中の営業利益を逸失したとして、その賠償を求めて、賃貸人を訴えたのがこの事件の概要です。
 私は、上告審では営業利益の逸失分すべてを損害賠償請求できると解するのは妥当ではなく、民法418条の過失相殺に関する規定の適用により、その減額が認められるべきこと等を主張しました。その頃、学界でも特に英米法に示唆を受けて、債権者には損害額が大きくなりすぎないよう、その損害を軽減する義務があるとの説が有力に主張されるようになっていました。
 最高裁は、私の主張を容れ、「遅くとも賃貸人に対し損害賠償を求める本件訴えが提起された時点においては、賃借人がカラオケ店の営業を別の場所で再開する等の損害を回避または減少させる措置を執ることなく発生する損害のすべてについての賠償を賃貸人に請求することは条理上認められ」ないと判断しました。よし!と思いましたね。それと同時に、本判決が出された背景には、債権法改正が検討され始めていた影響があったのではないかと今は考えています。

弁護士のプロフェッショナルに必要なもの

峯岸 このように、両先生は画期的な判決を最高裁から勝ち取っているわけですが、刑事・民事・憲法訴訟・行政裁判、それぞれの分野のプロフェッショナルな弁護士に必要なものは、何であるとお考えでしょうか。お聞かせください。

前田 刑事の場合には、被疑者の権利・利益の擁護に徹する、ということが一番重要であると思います。一般の方からすれば、何でこんな悪人を弁護するのかと思われる時もあるでしょう。しかし、被疑者には罪を犯さざるを得なかった、何らかの事情があったのかもしれません。また、冤罪であるかもわかりません。真理を求め、被疑者の境遇に思いを致し、その権利・利益の擁護に徹するという姿勢が大切です。
 それとともに、検察も、裁判所も国の組織です。それに比べて、弁護士は個人であり、まともに戦ったのではかなうわけありません。日弁連で委員会組織を作り、その中で刑事弁護のあり方を検討・研究して、その成果を積極的に発信していこうとしているのは、そのためです。そして、単に成果の発信者になってしまうのではなく、その成果を自らが実践することで、再検討し、改善していくことを心掛けています。過去の経験だけで語るのは無責任で、私にはできません。

三宅 弘 三宅 ふつう偉くなるとメッセージを送るだけの人も多いのに、前田さんは、現在も事件をやっておられる。その姿勢がすばらしいですね。  民事の場合には、依頼者のためですね。しかし、そもそも事件の性質上、どんな優秀な弁護士でも勝訴できない事件はあります。その意味では、事件のスジをしっかり把握することが大切だと思います。スジの良い・勝てそうな事件は判決まで持っていって、しっかり勝つ。逆に、スジの悪い・負けそうな事件は判決まで行かず、何とか和解に持ちこむ。事件のスジを見切った上で、この事件がどうなりそうか、依頼人に伝えて、しっかり信頼関係を勝ち取るようにすることが、民事の弁護士のプロフェッショナルには必要だと思います。
 他方、憲法訴訟・行政裁判は、9割以上が敗訴です。正直言って、勝てません。しかし、「負けて勝つ」こともあります。先ほどの法廷メモ事件が、その典型です。訴訟には負けても、制度を変えさせて、実質的には勝つ。そんな事件として、もうひとつ紹介したいと思います。それは、大学入試センター試験の点数開示事件です。ある学生が、大学入試センター試験の自分の点数開示を求めて、大学を経営するある市に自己情報開示請求をしました。しかし、市はこれを認めませんでした。そこで、相談を受けた私たちは、国家賠償訴訟を併合することを提案しました。こうすれば、国(文部省)も被告になるのです。この事件も地裁・高裁・最高裁とすべて敗訴しました。しかし、その間に、国側では大学入試センター試験の点数は本人に開示される扱いになり、全国の受験生が恩恵を受けることになったのです。これも「負けて勝つ」です。

獨協ロースクールでの担当科目1 法律文書作成

峯岸 非常に勉強になりました。それでは、このような一流の先生方が獨協ロースクールで御担当の科目についてお話しいただきたいと思います。お二方とも、文書作成に関する科目を担当されていますので、まずその科目の内容についてお教えください。

前田 私は、1年生秋学期の「民事法文書作成の基礎U」を担当しています。この科目は、私と民法の研究者教員である花本先生、実務家教員である柳先生の3人で担当しています。すでに、春学期に学んでいる民法の基礎知識が実際の事件に応用できる形で、しっかり理解されているかを確認し、またその理解に基づき訴状等の法文書を作成できているか、どのようにしたら説得力のある法文書になるかを指導する科目です。
 この科目では、基礎科目で学んだ民法理論を、実務に応用できるかを試みさせることで、民法理論を実際に使える形にまで理解が進むよう、実務から理論にフィードバックをすることが想定されています。正に、実務と理論の架橋を図る実践的な科目といえるでしょう。
 事案は、われわれ弁護士のところに、実際に法律相談で来るようなものばかりです。相談⇒検討⇒文書作成を実践してもらい、裁判所、依頼人、相手方に書面を出す前に、一回ボス弁にみてもらう文書を作って下さいというような科目になっていると思います。学生が書いたものについては、複数の教員が目を通し、コメントを付けて返却しています。私の場合には、各学生に対するコメントをすべてまとめて載せた資料を全学生に配布しています。他人の長所・短所を学ぶことは、非常に勉強になると考えるからです。少人数教育を旨とする獨協だからこそ、出来るのだと思います。

左:三宅 弘 右:前田 裕司 峯岸 私も受けたいくらい、豪華な授業ですね。一年次から実務家2名が直接指導する実務的な科目を開設したのはどうしてですか?
三宅 獨協では、研究者教員と実務家教員が参加し、授業のやり方やカリキュラムなどの検討を行うFD委員会を定期的に開いています。そこで、議論した結果、「民事法文書作成の基礎U」のような科目を新設することが、実務と理論の架橋にもなり、司法制度改革の理念に沿うだけではなく、学生の皆さんにとっても実務家になった時に役に立つはずであるということになったのです。
峯岸 実務的な観点から、効果的な教育方法を検討しているわけですね。三宅先生の法律文書作成は、どのような内容なのですか? 
三宅 私が担当するのは、3年生向けの「法律文書作成」という科目です。2年生のときに、派遣裁判官の先生から「民事訴訟実務の基礎」を習い、要件事実論を学ぶのですが、使っていないと忘れてしまいます。そこで、「法律文書作成」では、資料を与えて、要件事実論をベースにして、訴状・答弁書・内容証明等の法律文書がしっかり書けるかを学ぶ、非常に実践的な科目をおこなってきています。
 獨協は、司法制度改革の理念を尊重し、実務と理論の架橋を図るためのカリキュラム編成をしてきました。今年の新司法試験合格者は、幸いにして11名と増えました。獨協のような司法制度改革の理念に忠実な法科大学院の学生が、今後も少しでも多く受かってくれることを願ってやみません。

獨協ロースクールでの担当科目2 リーガルクリニックU

峯岸 実務家教員である両先生は、3年生対象の「リーガルクリニックU」も御担当であろうと思います。私も、この科目を受講し、大変勉強になりましたが、この科目について御紹介ください。

前田 「リーガルクリニックU」は、学生が弁護士事務所で、現実の事件に直接携わることで、実務家になったときに必要な諸種の能力を弁護士の直接指導のもとで育成するとともに、理論的・実務的知識をさらに深めるという、最も実践的な科目です。すなわち、担当弁護士が受任した事件について事実調査や法的調査などの補助業務につくほか、訴状・契約書・示談書等の法律文書の起案にもあたります。
本学実務家教員の事務所のほか、東京弁護士会が開設した北千住パブリック法律事務所、渋谷パブリック法律事務所でも実習をすることができます。私の前職は、北千住パブリック法律事務所の所長でしたので、私がこの科目で指導するのは今年で6回目になりますね。

左:三宅 弘 右:前田 裕司 三宅 今年初めて、「リーガルクリニックU」の合同発表会がありました。この発表会はまず、各学生の方から、それぞれの派遣先事務所で、どのような事件を担当したか、その事件の争点をどのようなものと考え、どのように主張を構成したか等につき報告があります。それに対し、色々な先生から、その主張はおかしいのではないか、事実をしっかり確認したか、事件の本質を見誤ってはいないか等の指導があるというものです。これに参加して、改めて実務と理論の架橋を図るために実施している獨協の臨床法教育「リーガルクリニックU」は、全国に誇れるなと思いましたね。
 法科大学院は、学者を養成するところではないのですから、法曹を養成するための教育がなされるべきです。実務を知り、手続きを学ぶ、これらを体感することで、何が大事かがわかってくるんですよ。これは、獨協のウリです。他のロースクールを出た人でも、もう一度獨協に来て学んでほしいと強く推薦します。

前田 実務を知り、手続きを学ぶと、基本書の読み方が変わるんですよ。理解が深まる。私も司法試験に合格し、司法研修所に行って、何だそういうことだったのかと思うことが沢山ありました。実務を知っていれば、もっと理解が早まっていたなと思います。

三宅 そうそう。生きた法律を学ぶことが大切なんですよ。関西では、刑事クリニックはやらないそうですね。しかし、北千住パブリック法律事務所では、前田さんが所長の頃から、接見に行ったり、どんどんやってますよね。何にしても、直接飛び込んで経験することが大事なんです。

峯岸 私も、北千住パブリックの民事のリーガルクリニックを履修し、前田先生にお世話になりました。刑事の大家でいらっしゃる前田先生に民事を学べたというのは、大変得難い機会だったと思いますが(笑)。今でも、和解交渉に行った先の相手方の家の雰囲気や、前田先生の当時の対応を思い出します。リーガルクリニックでの経験をとおして「ああ、弁護士の知識というのはこうやって生かしていくのだな」と、日々の受験勉強が一気にリアルに感じられるようになりました。リーガルクリニックはお勧めですね。

弁護士を取り巻く状況

三宅 弘 峯岸 臨床法教育の重要性がわかりました。もっとも、弁護士を取り巻く状況には変化があるとも報道されています。修習生の4割がまだ就職先が見つかっていないなどとも言われますが、この問題について先生方はどのようにお考えですか。
三宅 そもそも3月の大震災で、状況はさらに変化しているのではないですか。原発問題に基づく補償に関しては、今の弁護士ではやりきれないくらい仕事がある。また、司法研修所の教育のあり方も変えていく必要があります。法曹以外へも法曹有資格者を送り込むことで、法による支配をあまねく実現するということが、司法制度改革において念頭に置かれていたはずです。たとえば、自治体や企業に就職したり、外国の大使館で働くなどです。そうであるならば、司法研修所の教育も、自治体で条例制定に携わったり、企業で研修したり、外国の大使館で実習するという内容も盛り込んだ教育内容に改めるべきでしょう。そうすれば、実務家像もかなり広がるはずです。

前田 東京にこだわるなと言いたいですね。私も何年間か地方で弁護士をしていましたので、少しは地方のことを知っていますが、地方はまだまだ弁護士が足りないところがいくらでもあります。弁護士への需要はあるのです。また、韓国は法曹一元制度を導入するそうですが、日本ではいまだにごく一部のものが裁判官や検察官になり、あとは皆弁護士になるという状況です。今の状況に手を付けないで、就職が厳しいというのはおかしいでしょう。
 なお、獨協の合格者に関しては、その就職状況は極めて良好であるということを申し添えておきたいと思います。

獨協ロースクールの良さ

峯岸 それでは最後に、司法試験を目指す方たちに、獨協の良さを伝えていただけましたらと思います。
前田 獨協の良いところは、実務と理論の架橋を実践しているところです。このような教育は、実務家として活躍するために大いに役に立つとともに、試験にも役立ちます。また、教育環境が充実しています。一人一つの専用キャレルデスク、IT環境も整備されています。そして、少人数教育の良さがうまく生かされており、われわれも直接指導する機会が多くあります。きちっとした法律実務家になりたい人はぜひ獨協に来てください。

三宅 獨協では、多くの優秀な実務家から、学生の皆さんが実務家になった時に必要な能力の育成を目指した教育を直接受けることが出来ます。そのための科目として、法律文書作成やリーガルクリニックがあることは、前述のとおりです。純粋な未修者のレベルから新司法試験合格に近いレベルまで想定したカリキュラムを考えているのは獨協くらいではないでしょうか。来ていただけたら必ず満足してもらい、合格レベルにまで行けるはずです。そのための教育を、責任をもって実践してまいりますので、ぜひ獨協に来てください。そして、法の支配が日本の末端にまで浸透するように共に頑張りましょう。

前田 私もこのところ、とみに、次の世代を育てたいという気持ちが強くなっています。私らから直接指導を受けられるのは、獨協だけです。ぜひ、来てください。待っています。

左:三宅 弘 右:前田 裕司 峯岸 実務家の先生方がここまで教育に携わってくれる法科大学院は、あまりないと思います。先生方のお話しは若手弁護士である私にとっても非常に有益な内容でした。それとともに、私も助教として、両先生を助け、学生の皆さんが新司法試験を突破し、晴れて法曹として活躍できるように、ますます頑張りたいと決意を新たにしました。
 それでは、前田先生、三宅先生、本日は長時間にわたり、色々なお話しを頂戴いたしまして、本当にありがとうございました。
前田三宅 いや、こちらこそどうもありがとう。